ITEM of the Year 2025~2025年はこの製品が来る!~ 小林智哉先生(東北大学大学院医学系研究科 画像診断学分野)

2025.04.04

1位 uMR Ultra(United Imaging Healthcare)

RSNA 2024で筆者が注目したのが、本製品である。「uAIFI・LIVE」という機能を搭載しており、高いスルーレートとマルチチャンネル、AI再構成などの技術の結果、T1・T2強調画像の高画質を維持しながらリアルタイムで動態を観察できる次世代のMRIである。超音波(US)では骨やガスの影響を受けるため観察が困難な領域でも、MRIならば影響を受けず被ばくもなしに広範囲な動態評価が可能となり、関節運動や嚥下機能の解析、perfusion解析の精度向上に寄与する可能性がある。また、USでは評価が難しい深部臓器の動態解析にも有用と考えられ、複数のコントラストで評価することで、より詳細な病態理解に貢献する可能性がある。USのリアルタイム性とMRIの高画質を兼ね備えた本製品は、診断・治療計画の新たな選択肢となるだけでなく、将来的な臨床応用の拡大が期待される。※薬機法未承認

2位 DeepXray Spina, Coxa(Alpha Intelligence Manifolds, Inc.)

本製品は、AI技術を用いてX線画像から骨密度を推定する革新的なシステムである。従来の骨密度測定(DXA法)は、専用
の装置が必要であり、コストや検査時間の制約があった。しかし、本製品は腰椎(DeepXray Spina)や骨盤(DeepXray
Coxa)のX線画像から骨密度を推定可能なため、追加の検査を必要とせず、より手軽に骨密度を評価できる。特に、高齢化社会において健康寿命の延伸には骨密度の管理が重要な指標となることから、本技術の導入は臨床現場に大きな変革をもたらす可能性がある。簡便な検査で骨密度を評価できることで、骨粗鬆症の早期診断や治療介入が促進され、将来的な骨折リスクの低減にも寄与するだろう。※薬機法申請計画中

3位 静脈可視化装置ベインキャスS(ICST)

本製品は、近赤外線技術を用いた静脈可視化装置であり、皮膚表面にリアルタイムで血管走行を投影することで、静脈路確保の成功率向上をサポートする。診療放射線技師の業務拡大により、静脈路確保が可能となったことから、本製品の需要が高まる可能性がある。放射線検査や造影剤投与が必要な場面で、静脈確保の迅速化は検査効率の向上や患者の負担軽減にもつながる。また、ベインキャスSは小型・軽量で持ち運びが容易であり、可視目視出来ない静脈の80%以上を見つけ出すことが可能である。本製品は画像保存機能などが付帯していることから比較的高価(45万円程度)であるが、10万円台の静脈可視化装置も登場しており、導入コストを抑えた選択肢も広がっている。静脈確保の効率化と精度向上を実現し、診療放射線技師の新たな業務領域においても有用なツールとなるだろう。

4位 Sonic DICOM(Fujidenolo Solutions Co., Ltd.)

2023年にも本誌で紹介した本製品であるが、改めて評価する。Googleアカウントで簡単に登録でき、無料トライアルでお試し可能である。本製品は、遠隔読影だけでなく、症例報告会や研究会での活用にも適している。クラウド上でのアクセスが可能なため、複数の施設間での症例共有がスムーズに行え、診断の質向上や教育への活用が期待される。さらに、研究開発の場面でも有用であり、AIを活用した画像解析や診断支援技術の検証に活用できる。オンプレミス版も提供されており、セキュリティ要件に応じた柔軟な運用が可能。シンプルな操作性と手軽な導入コストで、診断業務から研究開発まで幅広く活用できるクラウドPACSとして、改めてその価値が認識された。

5位 ユニバーサルトモシンセシス(島津製作所)

本製品は、従来のX線撮影に断層画像の要素を加えることで、視認性を向上させる革新的な技術である。本技術は、デジタルX線撮影装置に搭載され、単純X線の手軽さとトモシンセシス(断層撮影)の診断能向上を両立している。従来の単純X線では重なり合う組織が影響し、病変の検出が困難なケースがあったが、本技術では異なる角度から撮影した複数の画像を再構成することで、奥行き情報を持つクリアな断層画像を生成。特に、整形外科領域などで有用性が高く、骨折や関節の変形の視認性向上に寄与する。この特徴は、災害時の診療や在宅医療など、CTを使用できない環境でも有用である可能性を示す。可搬型X線装置と組み合わせれば、被災地や医療アクセスが限られた地域での診断の質向上に貢献できるだろう。既存の診療フローを大きく変えずに導入できる点も魅力であり、今後の普及が期待される。

6位 動態回診車AeroDR TX m01 / X線動画解析ワークステーションKINOSIS(コニカミノルタジャパン)

「AeroDR TX m01」は従来の静止画に加え、パルスX線によりX線動態®画像も取得可能な回診用X線撮影装置である。管球にはセカンドモニターを配置し、アライメントサポート機能など撮影支援機能も充実している。また、撮影されたX線動態®画像を「KINOSIS」で解析することで、視認性向上、動きの定量化、肺機能情報の可視化が可能となる。「AeroDRTX m01」の操作性と「KINOSIS」の解析技術は、撮影者を力強くサポートするだろう。

7位 「画像診断用モニター」RadiForce RX370DD、RadiForce RX1270DD(EIZO)

両製品は、工場で1台ずつ表示の測定が行われ、全てのモニターの階調をDICOM規格に準拠するよう調整の上で出荷されている。システム起動後、素早く輝度を安定させる機能と周囲の温度や経時による輝度変化を自動補正する機能を搭載。安定した輝度と階調で医用画像を再現する。RadiForce RX370DDは、解像度3メガピクセルに対応しており、CTやMRIはもちろん、胸部単純X線写真もほぼ全体表示が可能である。RadiForceRX1270DDは、マンモグラフィや超音波、胸部CT、MRIなど、多種多量の検査画像を超高解像度12メガピクセルの1画面上に自由にレイアウトして表示可能だ。複数モニター使用と比べて、画面を隅々まで見る際の首の動きや視線移動を抑え視認性が向上し、業務の効率化に貢献する。

 

8位 医用画像参照用ディスプレイ「MediCrystaシリーズ」(アイ・オー・データ機器)

本製品は、DICOM Part 14にて規定されるグレースケール表示関数(GSDF)に準拠した表示階調を実現。さらに、パネルの特性に応じて、パネル全体の輝度均一性を向上する機能を搭載している。また、JESRA X-0093 ガイドラインの管理グレード2に適合しており、製造工程での試験成績書も添付しているため、ユーザーの品質管理作業の負担軽減に貢献する。価格帯も手軽に導入できる製品だ。

 

9位 シンチレーション検出システム「HYPERSCINT HS-RP200」(東洋メディック)

カナダMedscint社のHYPERSCINT HS-RP200はプラスチックシンチレーターのさまざまな利点を活かしてリアルタイムに複数ポイントでの測定に対応したシンチレーション検出システムである。本製品は、呼吸同期・動体追尾・適応放射線治療・MR LINACなどの時間分解線量測定、小照射野、多発転移を想定した線量検証などに使用でき、持ち運びしやすいよう、モジュール式のプラットフォームを採用している。また、検出器は専門分野に合わせてカスタマイズが可能であり、その利便性の高さでユーザーをサポートする。

10位 Cardiology総合管理ソリューション「Goodnet」(ニプロ)

本製品は検査画像の管理・閲覧にとどまらず、各種解析プログラムとの連携や多様なテンプレートと柔軟なカスタマイズが強みのレポートシステムを提供する循環器向け総合管理ソリューションである。バージョン7では臨床のみならず研究にも活用可能な検査データのグループ化や、汎用ファイル管理など便利な機能も追加された。