ITEM of the Year 2025~2025年はこの製品が来る!~米虫 敦先生(大東中央病院 放射線科)
1位 ReMap(東レ・メディカル)
供給が停止されていたReMapについて、原稿執筆の2025年3月上旬時点で、近日中に供給再開されると情報が入ってきた。
ReMapは、マイクロカテーテルを挿入可能な動注リザーバーとして東レから発売されている。特殊タンク形状と傾斜型セプタムにより、2.9Frハイフローマイクロカテーテルまで挿入可能な構造の皮下埋込型ポートである。本製品を用いることにより、簡便に外来ベースでマイクロカテーテルを用いた選択的動注化学療法を可能とする。東レ・メディカル株式会社の担当者からは、「現在、Babyタイプのみの販売となっております」とコメントをいただいている。
2位 ClotTriever® ThrombectomySystem(Inari 社)/ 3位 IndigoTM AspirationSystem(Penumbra社)
2022年頃より血栓溶解薬であるウロナーゼの供給が不安定となっている。これは、本剤の原料は中国で調達されたヒト尿
から分離精製して製造されているが、新型コロナウイルスによる採尿機会の激減により、調達が困難となったことによる。
ウロキナーゼが入手困難となったことにより、近年は血栓に対するIVRの実施が難しくなっていた。この状況に対する方策
として、日本IVR学会を含む関連学会より、血栓回収デバイスであるPenumbra社のIndigoTM Aspiration SystemおよびInari 社のClotTriever® Thrombectomy Systemの早期導入が厚生労働省に申請されていたが、無事に両デバイスとも承認された。
Penumbra社のIndigoTM Aspiration System(代理店:朝日インテック)は、血栓を吸引する掃除機のようなデバイスである。既に一部の施設で先行して症例集積が行われており、本年秋頃には一般施設でも使用可能になるとの見込みである。
Cl ot Triever ® ThrombectomySystem(代理店:メディキット)は、細長いメッシュ袋のようなデバイスで血栓をガイディングカテーテル内に搔き込むデバイスである。今後、関連学会により適正使用指針が作成され、早急に使用可能となることが期待される。また、本デバイスのメーカーであるInari社は本年1月にStriker社に買収された。本絵原稿執筆時点では、ClotTriever® Thrombectomy Systemの国内代理店はメディキット社となっているが、今後に国内代理店が変更になるかもしれない。
4位 スーパーキャス5(メディキット)、イントロカン セーフティ(ニプロ)、サーフローZERO(テルモ)
広く普及しているテルモ社のサーフロー留置針は、造影剤の高圧注入には適応外使用である。2024年1月27日から新留置針「サーフローZERO」が新発売された。カタログを眺めてみると「高圧注入仕様 300psi以下に耐える設計」と記載がある。ならば、従来品のサーフロー針は非耐圧だったのだろうか?調べてみると従来品の「サーフロー留置針」や「シュアシールドサーフローII」の添付文書には「高圧(21psi以上)では使用しないこと」と明記されていた。サーフロー針は、全国のCT室で造影剤の高圧注入に広く使用されている。これらが全て「適応外使用」だったことになる。広く普及していたサーフロー留置針が、パワ-インジェクターによる造影剤の高圧注入には適応外使用であることは、今まであまり周知されていなかった。企業からの情報提供の姿勢について、考えさせられる一件である。なお、メディキット社のスーパーキャス5、および二プロ社のイントロカンセーフティは、従来より300psiまでの耐圧に対応している高圧注入仕様である。
5位 X線防護眼鏡、X線防護衣、ほかX線防護デバイス(各社)
2021年4月1日から、水晶体の線量限度が大幅に引き下げられ、防護眼鏡や防護衣に注目が集まっている。以前は、防護眼鏡や防護衣を取り扱っている業者は少なく、選択肢も限定的であった。近年になって、防護眼鏡や防護衣を取り扱う業者が増え、バリエーションや選択肢も豊富になってきた。毎年、ITEM会場を散策すると、新たな視点の防護デバイスが見受けられる。これらのデバイスは、カタログをいくら眺めても装着感や使用感を知ることはできない。是非、展示会場で現物を触ってみて、最適の商品を見つけて欲しい。
6位 診断用モニター「31HN713D-B」(LGエレクトロニクス・ジャパン)
本製品は12メガピクセルに対応し、高精細な画像・映像を表示できる31インチの大画面診断用モニターである。特長の一つとして、追加の測定機器なしに画像補正が行われ、安定した画像品質の維持を可能とするフロントセンサーを搭載したことが挙げられる。確度の高い値が維持されることで、医用映像の信頼性の向上が期待される。また、暗室での紙文書が確認しやすいように「ダウンライトモード」と「ウォールライトモード」を載。モニターの明るさや囲の環境に合わせて室内の照明を調節する必要がなくなった。その他にも、簡単な組み立てやユーザーの姿勢に合わせて手軽に傾きや高さ、左右の向きを調整できるなど、快適な作業環境をサポートする製品だ。
7位 Coronis Fusion 4MP(バルコ)
「Coronis Fusion 4MP」は、従来よりも広い色域でのカラー表示を可能にしたPACS向けカラーディスプレイである。ワイドスクリーンによる1面モニターによって、1台でCT、MRI、超音波などの画像を同時に並べて比較検証できる。モノクロ表示(GSDF)とリニアカラー表示のどちらにも対応し、ビューア毎に輝度を変更することも可能。キャリブレーション推奨輝度600cd/m2を40,000時間保証する高輝度表示・ロングライフ設計。高画質な画像と長時間の表示環境を提供することで、画像観察の質と効率の大幅に大きく寄与する。
8位 磁性体センサーマグフィーアクシア(イーメディカル東京)
安全なMRI検査環境をサポートする「マグフィーアクシア」が生まれ変わりました。MRI検査を安全な環境で、ストレッチャー、 車椅子、 ボンベなどの小さな磁性体、 人やアルミには反応せず、MRI装置に吸着する可能性のある「磁性体」だけを検知し、表示灯と音声で知らせる磁性体センサーである。非常に危険な吸着事故防止につながります。
環境ノイズ抑制機能を搭載しており、ドアの開閉や自動車、 検知不要な環境ノイズを抑制します。またポール間を通過する磁性体だけを 検知できるように演算処理し、 間違った警報を少なくします。ベクトル検知も搭載されており、磁場変化の大きさや方向を検知できるように磁気センサーを配置している。これにより「大きさ×方向=ベクトル」を演算処理が可能になり、磁性体の移動方向を検知、 不要な環境ノイズを抑制し、ハサミなどの小さな磁性体の検知ができるようになった。
9位 X線テレビシステム「SONIALVISION G4 LX edition」(島津製作所)
本製品は、新機能「Smart FOV」に対応し、透視画像処理機技術「DeEP」を搭載。「Smart FOV」は、天板を動かすことなくFPD 画角内の視野を短手方向へ移動し、さらに関心領域を任意の視野サイズで全画面拡大表示できる機能である。患者の体内に内視鏡等が挿入された状態でも、より安全な検査を支援する。「DeEP」は構造物の輪郭を強調させると共にノイズ抑制処理によって背景ノイズを低減することで、デバイスの視認性を向上させる。術者のストレス軽減と透視時間の短縮による被ばく低減効果が期待される。
10位 医用画像管理システム「FINO.VITA.GX」(コニカミノルタジャパン)
「FINO.VITA.GX」は、新機能が加わりさらなる性能向上を実現した。「FINO.Worklist」は診療の⽣産性向上にこだわったデータアーカイビングシステムで、放射線検査のデータは勿論、DICOMや患部写真、紹介状・同意書など必要な情報を効率よく確認することで医療の質向上と業務の効率化に貢献する。また、CT画像の同期操作をスムーズかつ正確に行う胸部/腹部CT同期位置アシスト機能や、解析精度を高めた胸部AI機能が搭載され、読影の操作性が大幅に改善された。また放射線、マンモグラフィ、内視鏡、超音波と幅広く対応可能な「FINO.REPORT」は、AI判定と読影結果を突き合わせる機能を実装し、精度の高い読影をサポートする。