ITEM of the Year 2025~2025年はこの製品が来る!~久保貴俊先生(東京大学医学部附属病院 放射線科)
1位 DC Beads M1( Boston Scientific)
DC Beadsシリーズの国内で使用可能な最小径はこれまで100〜300μmであったが、昨年より新たに70〜150μmのM1が使用可能となった。粒径が小さくなっただけでなく、粒径のばらつきも少なくなったと報告されている。これまでのDEB-TACEでは比較的近位塞栓となることが多かったが、M1を用いたDEBTACEでは、一見するとLip-TACEと見まがうほどの濃厚な腫瘍内集積が見られることもある。国内での症例集積はまだ始まったばかりであるが、これまでのDEB-TACEとは異なる挙動や成績を示す可能性があり、今後の国内からの成績報告に注目したい。
2位 Carry Leon NSX(ユー・ティー・エム)
Carry Leon NSXは、先端外層3cmにPTFEを採用することで、ヒストアクリルが固着しづらいマイクロカテーテルである。ヒストアクリルの血管内投与が保険適応となって以来、塞栓物質としての重要性はさらに増している。その中で、カテーテルの固着は無視できない合併症の一つであり、特に経験の少ないIVR医にとってはヒストアクリル使用の心理的ハードルの一因となっている。本製品は、体感としてもヒストアクリルの先端固着が非常に少なくなった印象があり、ヒストアクリルを塞栓物質として使用する際には、積極的に採用を検討してはいかがだろうか。
3位 TEMNO Elite(MERITMEDICAL)
TEMNO Eliteは、経皮的針生検に使用する半自動式生検針である。本製品の大きな特徴は、弁付きの外筒針を選択できる点にある。近年、遺伝子検査などのために複数の生検検体が必要となることが増え、肺生検でも外筒針を用いた生検が行われることが少なくない。エビデンスが確立しているわけではないものの、肺生検での外筒針使用が空気塞栓のリスクになる可能性があるというエキスパートオピニオンも存在する。このような弁付き外筒針を用いることは、外筒針併用経皮的肺生検の合併症の軽減という観点から一定の価値があるかもしれない。
4位 VIVA RFAシステム(Century Medical)
2021年にRFAの適応が拡大され、国内でも肝外病変に対するRFAの施行が増えている。ただし、当初、肝外病変で薬事承認を受けていたのはCool-tipのみであり、多様な焼灼針が使用可能な肝病変とは状況とは異なっていた。昨年、新たにVIVA RFAシステムが肝外病変に対する薬事承認を取得し、ラインナップに加わった。VIVAの大きな特徴は、先端の通電長が可変式(5〜30mmまで6段階)の焼灼針を選択可能な点である。特に、異なるサイズの複数病変を治療する場合や、病変が大きい場合などには有用である。
5位 Argyle™ Fukuroi Midline カテーテル( Cardinal Health)
Midlineカテーテルは、従来から存在する末梢静脈カテーテルとPICCの中間に位置する静脈留置カテーテルである。日本では保険制度の影響もあり、普及が進んでいない現状があるが、タスクシフトが進む中で、今後、非透視下で挿入可能なMidlineカテーテルの需要が高まる可能性がある。そのため、放射線科医はMidlineカテーテルの適応や特徴についても、十分に理解しておく必要がある。
6位 診断用X 線装置「RADspeed Pro SR5 Version」(島津製作所)
本製品は光学カメラによる検査支援機能「VISION SUPPORT」を搭載したことで、X線高電圧装置のコンソールおよびX線管保持部の画面上に患者のライブ映像が表示され、操作室・検査室の双方で患者の状況を把握できるようになった。この映像を活用して、通常は手間がかかる撮影位置の決定作業をスムーズに行えるようになった。決定した位置から被検者が動いた場合にも、光学カメラが被検者の動きを検知して音と表示で通知するため、撮り直しのリスクが減少するなど、撮像者を効率的にサポートすることが期待されている。
7位 MRI用AI画像再構成ソフト「SwiftMR」(エアーズメディカル)
SwiftMRは、同社の誇る深層学習ソリューション。画質を全く犠牲にすることなく撮像時間の短縮を可能にし、患者様一人一人のスループットを向上し、満足度向上にも貢献している。なんと言っても、凄いのは、古いMRI装置に対して新品同様なMRIと同じソリューションをもたらすところだろう。
SwiftMRは既存のMRI装置と簡単に統合でき、ソフトウェアやハードウェアのアップグレードは必要はない。つまり新しい装置に買い替える必要はなくSwiftMRの最新の性能を味わえるあらゆるベンダー、古い装置でも連携が可能でも、高画質と高速スキャンを可能にしているのは驚異的だ。300万枚の画像データをAIが深層学習をしており、ノイズを除去しながら組織信号を高解像化することで、高SNRかつ高精細な画像を提供し、撮像時間の短縮を実現している。今おすすめのソフトと言える。

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8位 CT用造影剤自動注入装置『DUAL SHOT GX10』(根本杏林堂)
デュアルショットGX10は、デュアルタイプのインジェクター最上位モデルであり、拡張性も高く、広範囲な検査に対応が可能だ。 またスイッチは、目的に合わせた配置と形状で、直感的に操作ができて、とても使いやすいのも特筆すべきだ。注入条件の設定は体重を入力するだけでカンタン。体格の違いによる差を無くし、全患者さんに最適な造影検査を可能にした。さらに同装置には「圧力監視モニター」が標準搭載されており、すべてのユーザーに検査室内での安全確認を提供しているのもありがたい。好評の「CEエビデンスシステム」と「造影剤モレ検知サポートシステムLD」もオプション。施設ごとに異なる検査環境に応じた安全性をサポートしている。
9位 MRIアンビアンスシステム(フジデノロ)
「MRIアンビアンスシステム」は、3テスラのMRI室に対応したサウンドシステム、LEDモニター、プロジェクションマッピング技術により、MRI室の無機質な冷たい雰囲気を心地よい雰囲気に変える。映像、サウンド、RGBライトによる演出は入室前から可能で、検査を前に不安と緊張に包まれる患者の心理的ストレスを大幅に軽減させる。本製品は、安心してリラックスできる検査環境を提供する患者にやさしい映像音響システムだ。
10位 マルチモダリティ対応 DICOM 動画ビューワ『Kada-View』CT Viewer オプション(フォトロン メディカル イメージング)
同社の誇るDICOM動画ビューワ『Kada-View』。今回は新たな機能を搭載した。新機能CT Viewerオプションでは、Sliding slab MIP機能により冠動脈の近位部から遠位部までをスピーディーに連続して見ることが可能であり、カラーマップやグラデーションカラーマップ機能により病変性状を簡単に読影できるのが嬉しい。また特筆すべき点は、手技中に術前CT画像を術中のアンギオ画像と同時に表示し、それを参考に病変の形状を確認しながらPCIを施行できるところだ。これ
により、より多くの患者さんの手技を安全かつ簡便に行える。アンギオやCT、IVUS、そしてUSなどのDICOMデータを同時に連携でき、瞬時に病変を表示することが可能だ。さらに複数の動画を、画面に表示されている状態のまま1つの汎用ファイルに変換できる機能は学会発表用資料の作成にも有用だ。『Kada-View』CT Viewerは、新機能により、多くの術者の要
望を叶えた、実践的な動画ビューワとなったと言えるだろう。