【JSMP2015参加レポート】医学物理士が注目すべき新製品 —小澤修一先生(広島がん高精度放射線治療センター/広島大学)より

ITEM2015 Report(ITEM in JRC 2015 国際医用画像総合展):Expert's View
2015.04.21

小澤修一先生(広島がん高精度放射線治療センター 開設準備室 広島大学 医歯薬保健学研究院 放射線腫瘍学)より、JSRT2015参加レポートを頂きました!
 
ITEM in JRC 2015 On-Site Report! ―医学物理士向け―
 
広島がん高精度放射線治療センター 開設準備室
広島大学 医歯薬保健学研究院 放射線腫瘍学
小澤修一

 
4月18日
 
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 本日はITEM2015で発見した「医学物理士が注目すべき新製品」をご紹介したいと思います。
 ガフクロミックフィルムを開発販売している米国アッシュランド社が新しいEBTフィルムをリリースされ、アールテック有限会社様のブースに現物が展示されていました(写真参照)。国内での正式販売はもう少し先になるということでしたが、このEBT-XDは現在販売されているEBT3から以下の点で進化しています。
 
① 測定可能線量レンジが200Gy(!)まで対応となり、放射線治療のQAにも使える最適な測定線量レンジが0.4Gy-40Gyとなりました。EBT3では測定可能線量レンジはカタログ上40Gyまでだが、実質放射線治療のQAで使用できるのは8Gy程度でしたので、定位照射では十分な精度での線量検証が難しかったですが、このEBT-XDでは1回20Gyを超える定位放射線治療の線量検証も可能となっています。
② EBT3と比較してActive Layerの粒子サイズが小さくなっており(下の顕微鏡写真を参照、左がEBT3、右がEBT-XDの結晶の映像)、照射後のフィルムをスキャンする際に問題となる光の散乱や偏光効果を抑えることができ、スキャン時に生じるLateral Effect(フィルムスキャン時のフィルム設置位置による測定値の変化)が小さくなるとされており、EBTフィルム使用時の線量誤差が改善していることが期待できます。
 
 現在、定位放射線治療で使用するような小照射野での線量計測は未だに標準化されておらず議論の対象となっています。その上、近年では定位放射線治療でIMRT/VMATが適応されることが多くなっており、このEBT-XDの登場は放射線治療の物理的品質管理において大いに注目すべき測定モダリティーであると思います。
 

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