【JRC2014参加レポート】「119 時間濃度曲線の立ち上がり時間が時間濃度曲線に与える影響」中根 淳先生( 埼玉医科大学総合医療センター)より

ITEM2014 Report (ITEM in JRC 2014 国際医用画像総合展):JRC & ITEM 2014 参加レポート
2014.04.12

CT検査 造影手技
119 時間濃度曲線の立ち上がり時間が時間濃度曲線に与える影響
‐Digital flow phantom study‐
埼玉医科大学総合医療センター 中根 淳

 
 私自身の発表です。
 
 インジェクターには、注入の安全面を考慮し、設定した注入速度に到達するまでに数秒の立ち上がり時間を設けているメーカーがある。近年、CTの多列化に伴う撮影時間の短縮により、造影剤の注入時間も短くなり、10秒以下の注入時間で検査している施設もある。このような短い注入時間の場合、総注入時間に対する立ち上がり時間の割合が多くなり、設定した造影プロトコルから生成される時間濃度曲線に、影響を及ぼす可能性が考えられる。インジェクターの立ち上がり時間は、使用者側で任意に設定することが困難であるため、デジタルフローファントムを用いて、立ち上がり時間が時間濃度曲線に与える影響について検討を行った。結果としては、インジェクターの立ち上がり時間を長く設定するほど、時間濃度曲線の最大CT値は低下した。しかし、最大CT値到達時間は、ほぼ変化を示さなかった。この結果は、インジェクターに立ち上がり時間が存在することで、注入量の減少および注入速度の低下が原因と考えられ、総注入時間に対して、立ち上がり時間の割合が大きくなる短時間注入で、顕著に表れると考察した。ただ、一つ勘違いしないでいただきたいこととしては、本検討は、あくまで実機を用いた場合の理想値であり、実機との整合性に関しては、検討課題であることをご理解いただきたい。
 CT装置については、新たな技術が搭載されると、ファントムなどを用いた基礎検討が数多く報告されている。しかし、インジェクターに関しては、新たな注入技術に対して、即座に臨床応用している報告例も見受けられる。今回は、基本的な報告だったかもしれないが、今まで報告されていない分野であり、検討に至った。現在、CT検査には、CT装置だけではなく、様々な機器が検査を取り巻く環境にある。その全ての機器に対して、同じような水準で検証をしなければ、いけないと私は考えている。
 

会場風景