OCT(光干渉断層計)により更に進化する眼科領域~キヤノンライフケアソリューションズ~

HP WS PLAZA : New Ways of Workstation
2013.07.24

医療、健康、予防をキーワードに、医用画像診断のパイオニアとして邁進し続けるキヤノンラフケアソリューションズ株式会社。2012年9月より「OCT-HS100」の販売を開始し、高速スキャンによる高画質3D画像を眼科領域にもたらした。その実現のために使用されているのが「HP Z420 Workstation」である。
「OCT-HS100」の導入により、眼科医療の現場にどのような変化が起こり得るだろう。小坂靖史氏(同社眼科・感染管理ソリューション販売推進部眼科機器販売推進課課長代理)、高橋昭法氏(同社営業推進統括本部フィールドサポート本部ヘルスケアフィールドサポート部ヘルスケアフィールドサポート第一課東京駐在チーフ)、田部井裕介氏(営業統括本部フィールドサポート本部ヘルスケアフィールドサポート部ヘルスケアフィールドサポート第一課東京駐在)にお話を伺ってみた。
 

OCT-HS100

 
目的
・OCTの3Dスキャン機能をフルに活かすための環境作り
・インフォームド・コンセントへの有効活用
アプローチ
・緑内障等疾患の検診
・安定したシステム運用
システムの効果
・緑内障等疾患の早期発見
・長期製品サイクルによるキッティング作業の削減
ビジネスへの効果
・3D画像によるスクリーニングのサポート
・眼科領域のドックとしてのOCTの位置づけ
 
眼科領域におけるOCTの有用性

小坂靖史氏
 OCT(Optical Coherence Tomography)とは光干渉断層計のことであり、近赤外線と光干渉計を用いて網膜などの組織を画像化し、更にそれを立体的に見ることができる最先端の断層画像技術である。
 特長として、近赤外線を用いるため深達性に優れ高解像度化が可能である点が挙げられる。また、近赤外線による検査は非侵襲であり、3D画像から部位の特定をしたり、正常眼データからのスクーリニングも可能であったり、今後眼科領域において更なる活躍の場を期待されている。
 同社では2012年9月に同社初のOCTである「OCT-HS100」を販売している。OCTの販売にあたり小坂氏は「OCTは2008年より保険が適用され、需要がますます高まっています。大学病院や総合病院では既に標準的に導入され、今は開業医の先生が導入を実施しているフェイズです。以前より当社ではOCTを輸入製品として取り扱っていましたが、自社での開発は今回が初。今後はより多くのルートを開拓していきたいです」と語った。国内での稼働状況は現在20台程度であり、クリニックが最も多く、次いで一般病院が多いとのこと。

 では、実際OCTは臨床の現場でどのように活用されているのだろうか。小坂氏に尋ねてみた。「診断で最も多いのは加齢黄斑変性をはじめとする黄斑疾患です。また、網膜剥離などの網膜疾患。そして最近特に多いのが緑内障です。OCTは断層を写すことができるため、剥離や浮腫などの診断に使われることが多いのですが、初期の緑内障においては網膜の一部分の層が薄くなるという症状が現れます。OCTの断層画像を活用することで経過的に観察することが可能です」。
 

網膜の断層画像

 
 眼底カメラなどの2D画像では診断に苦労した箇所も、OCTの3D画像表示によると素人目にも分かるほどくっきりと写る。黄斑変性も緑内障も共に失明率の非常に高い病気であり、OCTによる早期発見は確実に眼科医療に貢献するものであろう。
 しかし、OCTがいかに優れた装置であっても、OCTのみで診断を行なうことは非常に危険であるという。「3D画像の精度は着実に上がってきています。しかし、診断の際には眼底カメラなどと併用し、OCTはあくまで根拠の1つというのが現在の認識です」と小坂氏は述べた。
 

OCTによる解析画面

 

3D断層画像のカラーマップ

 
HP製Workstationの安定性

高橋昭法氏
 HPのWorkstationを導入した経緯について尋ねてみた。小坂氏は「まず当社の標準開発ベースにHPのWorkstationがあり、推奨品として設定されたのが大きいですね。当然、OCTのような3D画像を特長とする製品である以上一定の描画速度は必須ですし、安定性も大事でした」と語る。HP製品を安定性で選ぶ企業は数多であるが、では安定性とは具体的にどういうことだろうか。「動作の安定や、品質の安定はもちろん前提としております。HPのWorkstationは5年間まで保証を延長できますが、現状トラブルはなく順調にお使いいただいております」と小坂氏。更に高橋氏は「HPのWorkstationの特長の1つに製品サイクルが長いというものがあります。製品のモデルチェンジや改変があった場合、商品やパーツなどの型番が変更になり、キッティング作業の変更などが必要となります。特にコンシューマ製品の場合は製品サイクルが短くなる傾向が顕著です。HPのWorkstationの製品サイクルの長さによってキッティングを減らせることで、負担は大きく軽減しました」と嬉しそうに語った。
 OCTのような精密な機械では、例えば筐体の大きさなども計算されて作られているため、規格が変更になる度に作り直さなくてはならない場合もあるという。製品モデルチェンジごとに何度もテストを行う手間も費用も、HP Workstationの製品サイクルならあまり心配する必要がない、とは小坂氏の言葉である。更にGlobalで同じ仕様の品が供給されるため、海外事業を行うにあたり、HPがワールドワイドで製品とサポートを供給できることの利点は計り知れない。

 
高速スキャンによる高解像度3D画像の実現

田部井裕介氏
 「HP Z420 Workstation」を基に開発された「OCT-HS100」を実際に使用した感想を伺ってみた。小坂氏は「解像度とスキャンスピードはずば抜けています。「OCT-HS100」は縦分解能が3μmなのですが、今までは5~7μmしか存在しておらず、業界初となっています。断層の重ね合わせが肝要なOCTにおいて、精度の向上は今後重要な要素になってくるでしょう。スキャンスピードは70,000A-scan/秒であり、10mm×10mm幅の断層面を1つの画像で表示することが可能です。3D画像でこの速度は驚くべきです」と「HP Z420 Workstation」の性能への信頼を覗かせた。
 この高速スキャンは医療現場では、その場で撮った画像を利用して患者への説明をすることが可能になるという点において、インフォームド・コンセントに非常に有用である。また、小坂氏いわく「測定のほとんどはオートで行われる」とのことであり、オートトラッキング機能をはじめ、オートアライメント/オートフォーカス/オートC-GATE機能を搭載しており、操作性向上への徹底的なこだわりを見せつけている。更に、水冷システムを内蔵したことにより、エアフロー向上と騒音低減を実現し、作業環境の改善に貢献している。
 現在、導入施設で最も多い要望はHDDのカスタマイズとのこと。初期状態のHDD容量は2TBであり、1度の検査で使う容量は最大100MB程度である。外づけのRAIDも取り付けられており、バックアップに隙はない。田部井氏は「現在、検査が重なってもパフォーマンスに支障はなく、スムーズな動作を維持しています。しかし、今後検査データの容量の増加に伴い、動作が遅くなるといったトラブルは予想されるので、容量の問題を解決することは今後の課題となっていくでしょう」と、カスタマイズの要求に対して前向きな姿勢を見せた。

 
OCTが築く眼科領域の未来
 「OCT-HS100」を活用することにより、ひいては「HP Z420 Workstation」の性能を活かすことにより、今後どのような展望が見えてくるのだろう。小坂氏は「『OCT-HS100』は当社での1台目のOCTであり、今後は様々なバリエーション、ハイエンドなものからローエンドなものまで派生させていきたいです。診療的な展望について話をすると、今は眼科のみですが、今後は様々な分野の検診に参入していきたいです。とりわけ検診は日本が力を入れている分野であり、眼底カメラなど当社の既存の製品とも条件が一致します。更に先を見据えるのであれば、ゆくゆくは脳ドックなどと同列に、緑内障であったり加齢黄斑変性症のためのドックにOCTを組み込んでいきたいです」とOCTの更なる可能性について言及した。これは日本の高齢化に伴い、目の検診の重要性が増していることを根拠とした考え方である。
 「現在はスクリーニングとして使われることが多いOCTですが、より多くの施設に普及させるために、価格面での問題があります。その課題に踏み込んでいくことにより、OCTをトレンドとして確立させていきたいと思っています」と小坂氏は語る。田部井氏は「サービスとしての品質を上げるために、ベースがしっかりしていることは1つの約束事です。地盤が固まっていることで、提供するサービスのキャパシティを今後も増やし続けていきたいです」と今後の戦略について想いを語った。
 

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