TECHNICAL REPORT

2024.02.22

 

定位照射のコミッショニングを見据えた
3次元水ファントムSunSCAN™ 3D


 

はじめに

 Sun Nuclear社製3次元水ファントムSunSCAN 3D(図1)システムはその仕様から定位照射技術のコミッショニング も可 能 で ある。 本 シ ス テ ム はIAEA TRS 483やAAPM TG 155レポートのガイドラインを踏まえたさまざまな機能が搭載されている。

SRSにも通用する位置精度・時間削減を実現するAutoSetup

 付属の専用ソフトウェアSunDOSEのAutoSetup機能により、水タンクの水平調整、ビーム軸と水タンク中心位置合わせなどのセットアップが自動で完了する(所要時間7分)。水平精度は0.02°、水タンクの中心出し精度は0.1mmであり、SRSにも通用する位置精度を実現する。

ビームアライメントエラーに配慮した3つの特長

1. 円筒形デザイン
 SunSCAN 3Dは水タンクが円筒形状のため、検出器走査アームの回転が可能である(図2)。指頭型電離箱を用いると、スクエア型タンクでは走査方向に対する検出器の長軸・短軸の違いから、線量勾配の急峻な半影領域などで一貫性のある計測が困難であるが、SunSCAN3Dではビーム走査方向に対し一貫して検出器の短軸で測定でき、よりシャープなプロファイルを取得可能である。

2. 診断機能
 診断機能により本機能が指定するスキャン条件での測定結果に基づき、ビームアライメントエラーがSunSCAN3Dまたはリニアックのどちら由来のエラーかを判別できる。SunSCAN 3D由来の場合、走査アームのスイング、チルトによる検出器のビーム軸からの変位を評価するが、走査アームと直交(検出器挿入)方向の変位についてはPrecision Detector Holder(図3)を用いることで診断結果に基づいた0.025mm単位の修正が可能である。リニアック由来の場合、ガントリーのサギングやチルトによるビーム軸の変位が評価できるため、リニアックメンテナンス後の確認にも本機能を用いることができる。


3. Ray Trace測定
 小照射野におけるPDD測定においては、走査軸とビーム軸とのわずかな不一致がアライメントエラーに繋がり測定精度に影響を与え得る。SunSCAN 3Dでは、AutoSetup実施後、Ray Traceセットアップを用いることでビーム軸に対する走査軸の傾きを検出する。Ray Trace測定はその検出値に従ってPDDスキャン軸に位置補正を加えながら測定可能である。
リファレンス検出器設置不要の

Pulse Normalization機能

 定位照射で用いられるような小照射野では、リファレンス検出器が遮る部分が相対的に大きいためその設置が困難になる。リニアックのパルス放射線が3-6μ秒間、60-360Hzの 繰り返し周 波 数で 照 射されるのに対し、SunSCAN 3D搭載の電位計は1μ秒で電荷を取得しているため、入 射パルス放 射 線 数をカウント可 能である。Pulse Normalization機能では、パケットあたりの収集電荷をパルス放射線数で平均化し従来のリファレンス検出器を用いることなくノイズを低減したスキャンを実現する。

おわりに

 SunSCAN 3Dシステムは水タンクのセットアップや検出器のポジショニング精度 を高め、信頼ある信号値の取得、さらに時間削減 ※ の一助となる機能を搭載している。一般的な照射野に比べて小照射野計測では測定の手間が増えるため、それらに配慮した高精度かつ効率的なビームデータ計測をSunSCAN 3Dは実現する。