京都プロメド株式会社

遠隔画像診断事業者セレクション2017 : 放射線科医の独立・起業系
2017.02.28
京都プロメド株式会社
〒602-0873
京都市上京区河原町通丸太町下ル伊勢屋町406
マツヲビル2F
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土曜:9:00-17:00
日祝:9:00-16:00
HP:https://www.promed.jp/

“高級専門店”のハイクオリティな遠隔画像診断
~設立10周年を迎えて

複数の医師が常駐する読影センターで
大学や大病院と同等の読影を提供

 遠隔画像診断の事業形態は一般企業系や大学病院系など様々であるが、京都プロメド(株)は、放射線科医自身が経営者として読影センターを運営するスタイルである。事業形態が様々である一方で、共通した課題となっているのが、読影の質である。大学や大病院と比べ、医療機関の外で行われる遠隔読影は、いかにしてその質や診断スピードを保証するのか。
 今年、設立10周年を迎える、遠隔画像診断サービス大手の一角、京都プロメド(株)は、創業以来のポリシーである「読影の質とスピード」に加え、新しいテクノロジーの導入も積極的に進めている。今回は、創業から一貫して変わらない「読影の質」を維持する秘訣、最新の技術に対するチャレンジ精神と今後の展望などについて、代表取締役兼画像診断センター長の河上 聡氏にお伺いした。

 

京都プロメド(株)
代表取締役兼画像診断センター長
河上 聡氏
大学、大病院と遜色のない読影を10年間維持
 京都プロメド(株)は、京都大学放射線医学講座の受け皿を作る目的で2007年に設立された。従来、京都大学では各地の医療機関の読影をサポートしてきたが、限られた地域と時間でしか協力ができなかったため、より多くの医療機関を支援することを目指して創設したものである。
 当初は2人で始まった当社も、現在ではシステム担当3人、事務担当9人を抱えるほどの規模となった。読影医ののべ総数は約50人で、全員が京都大学の医局員かその出身者となっている。読影端末は13台を備えており、独立した複数のブースで集中して読影作業を行うことが可能である。
 「規模は大きくなっても、読影の質とスピードを提供するというポリシーは一貫して変わっていません。社内の読影センターには複数の医師が常駐し、大学や大病院と遜色のない環境で、質の高い読影を目指しています。読影医が自宅において1人で作業を行うのとは違い、診断が難しい症例のときなどは複数の読影医がその場で相談し合い、多角的な視点から対処することが可能となっています」と河上氏は語った。また、1時間程度で所見を返却する緊急読影も行っており、救急処置が必要と判断される場合は、依頼元の病院に直接電話で確認することもある。さらに、検査内容や読影結果に関して主治医や担当技師と電話で相談・討議することも日常的に行われている。これらはすべて「ネットワーク越しのリモート読影室」を提供したいという当社の方針の現れである。
 河上氏は「営業時間も開業当初は平日9時から17時のみでしたが、医療機関様の要望にあわせ、現在は平日19時まで延長し、土曜日や休日も読影体制を維持し緊急検査にも対応しています。検査内容の入力や過去画像も含めた画像確認等は全てこちらの受付担当者が行い、忙しい依頼元医療機関の方達に極力負担をかけない形での運用を心がけています。読影自体に加え、こうした運用方針もご理解いただき、創業から現在に至るまで、内容が不満で解約するといった事例は幸い1件も無いんですよ」と笑った。

遠隔読影を支えるシステム、ネットワーク技術
 「当初は病院との接続やネットワーク構築も手探り状態で苦労も有りました。しかし、この10年間で専任のシステム担当者も増え、病院側とのPACS接続や画像取得はもちろんレポートシステム等の院内システムとの連携も全て自前で行えるようになり、システムトラブルも減りました。また、NTT西日本の「Bizひかりクラウドオールインワンネットワーク」を導入し回線から通信機器までNTTに窓口を一本化したことで、ネットワーク環境も整備されると同時にコストも下げられました」と語る。
 病院とのデータのやりとりには、専用回線IP-VPNを使用し高速性とセキュリティ保持を確保するとともに、画像サーバ本体もNTT京都データセンターに保管し、データの紛失や情報漏洩のリスクを最低限に抑えている。
 なお、個人情報保護についてはシステムやネットワークでの対応とともに、当社自身で医療情報安全管理推進部(MEDIS)が認可する保健医療・福祉分野のプライバシーマークを取得して万全の対策を期している。

独立した複数のブースで集中して読影作業を行う
大学、大病院と同等の読影端末を設置
専任の受付スタッフがご依頼内容や画像枚数を確認
個別ブースは照明調節等個人環境に対応
小規模医療機関対応
初期費用・基本料金不要の京都ProMed CL

 当社のサービスは、専用回線と接続用端末を使用する「標準タイプ」、それに加えてレポート等の院内システムとも連携する「システム連携タイプ」が基本である。しかし、回線も含め専用設備を用意することはもちろん理想ではあるが、依頼件数が少ない施設では初期投資、ランニングコストが負担となる。「読影は必要だがコストが問題なので、なんとか考えてほしい」という小規模医療機関の要望に応えて用意されたのが、インターネットクラウドサービスを活用する「京都ProMed CL」である。
 京都ProMed CLは、専用回線や機器を設置しないため、初期設備投資やランニングコストがかからない。患者情報は一時的VPNにより扱うので、セキュリティ上も安心して利用できる。もちろん読影・診断自体は、標準タイプとまったく変わらないため、低コストでありながら高い診断クオリティを提供することが可能となっている。さらに、従来の方式は画像転送にかなり手間がかかり依頼元医療機関の負担が大きかったが、今回、自社開発の画像アップロードシステムにより画像転送が大幅に改良された。実際の使用感もホームページ上の動画で確認できる(図参照)。「システムを自社開発でき、同時にこちらの手間も大幅に軽減できました。そのため、従来初期設定にかかった費用も不要となり、また1件あたりの読影料も通常のシステムと同じにすることができましたので、多くの医療機関様に貢献できるかと思っています」と河上氏は語る。
スマートフォンを利用した情報交換、「Join」との連携
 京都プロメドの新たな試みとして、(株)アルムが提供する医療関係者間コミュニケーションアプリ「Join」との連携を行っている。Joinは、PACSなどの院内システムと連携してスマートフォンやタブレットで医用画像を共有することができるアプリケーションで、専門医師が院内にいない状況での医師間の相談や、医療機関同士での情報共有などに活用できる。京都プロメドと読影契約のある医療機関で新たにJoinを導入する場合には、京都プロメドの遠隔読影用に敷設した設備・回線を共有することで、新たな導入コストなしで利用できる。
 さらに、今回、逆にJoinの既存システムを利用して、京都プロメドと直接接続されていない施設でも、Joinの回線を通しての読影依頼が可能となった。スマートフォンでの読影依頼が可能となったのはおそらく世界初であり、2017年1月16日付日本経済新聞でも取り上げられている。しかし、スマートフォンで依頼されたからと言って、決してスマートフォン自体で画像を見るわけではなく、DICOMファイルを送信して通常の読影端末にて読影は行われるのでご安心いただきたい。
 河上氏は、「専用設備・回線を経由しても、京都ProMedCLやJoinを通しての依頼であっても、読影環境は全て同じであり、内容にももちろん差はありません。読影の本質を変えることは決してありませんが、システム的にはチャレンジを続けていきたいと思います」と京都プロメドの方針を語った。

京都ProMed CL:実際のアップロードの様子を動画で紹介。

 

Joinとの連携(イメージ図)

 

読影センターに常設されたキッズルーム
キッズルーム内にウェブカメラを設置。
読影端末上からいつでも子供を見守ることができる。
キッズルームで遠隔読影の質と読影医の働きやすさを
 「私自身が現役の放射線診断医であり、読影環境の重要性を誰よりも感じているため、読影医が落ち着いて読影に専念できる環境を整えることを心掛けています」と河上氏は述べる。
 大学や大病院と同等の環境のもとで、同等レベルの読影診断を提供できるように、受付事務や技術担当職員とも協力しあって日々努力している。
 当社では、30代前半ぐらいまでの女性医師も多いので、子育て支援や産休からの職場復帰には十分に配慮したい。また、産休等で臨床現場を離れた医師が、当社で引き続きキャリアを継続できれば、新たな職場へと復帰する手助けにもなると考えている。この度、本社施設を拡張し、その一角に託児用のキッズルームを設置した。子供を預けながら勤務できる体制づくりを進めることで、子育て世代の医師達にも男女を問わず存分に力を発揮してもらえるものと考えている。
 さらに、定年後の医師に読影センターに参加してもらうことも視野に入れている。若い世代の医師と同じ環境で交流することは、診断医の継続教育という観点からも有意義なことであると思う。
これからの10年も揺るがぬポリシーの継続を
 読影料について河上氏は、「当社では、連続する部位の検査は原則一部位として扱います。例えば、胸部CTと腹部CTは、機械的に2件とカウントするのではなく、1件の胸腹部CTとして読影しています。このような方式も実際の医療現場のニーズに合わせたもので、医療機関とのやり取りを尊重しているからこそのスタイルともいえるでしょう」と語る。
 当社は設立以来一貫して、大学や大病院と同等の読影環境で、質の高いサービスを提供することをポリシーとしてきた。今後も、単なる通り一編のレポートを提供するのではなく、対話を通じてより正確な診断を行う「医療人同士のコミュニケーション」を提供し続けていきたいと考えている。
 現在、当社が依頼を受けている医療機関は約80か所にのぼる。最近では、西日本だけではなく、秋田など東北の医療機関での利用も増えてきた。地方では大病院でも読影医が不足していることが多く、遠隔読影サービスで地域の医療に貢献していきたいと考えている。
 最後に、当社がこの10年間事業を続けるには運用に関わる多くの機関からのご支援、ご協力が不可欠であったが、何よりも大切なことは読影を通しての医療機関との信頼関係の構築であったことを強調しておきたい。様々な人とのめぐりあいが財産となり、現在の京都プロメドが成り立っている。これからもこのめぐりあいを大切にして、“高級専門店“のような質の高い遠隔読影サービスを提供していきたいと思っている。

 

京都プロメド(株)
マネージャー
松本麻子氏
スタッフとともに成長し続ける会社
マネージャー 松本麻子氏に聞く

 最初は、河上先生と事務の私の2人だけでしたので、アットホームな雰囲気でスタートしました。私はマネージャーとして、受付から総務まで、会社の内部に関わること全般を担当してきました。3年目までは事務スタッフも2、3人、依頼件数も数千件と小規模でしたが、依頼件数も順調に増え、それに伴い業務量も増え、常に人手不足の期間が数年ありました。数年かけてスタッフを増やし、今ではスタッフは12人、依頼件数もCT、MRだけでも合計が月13,000件に達するほどに成長いたしました。
 幸い内部運営に関しては任せていただいておりましたので、一従業員の視点で、勤怠から社内レイアウトまで、どうしたら働きやすい環境を作れるかということを考え、提案し、作り上げてきました。スタッフは増えましたが正社員での離職者はほぼおらず、居心地の良い職場環境になっているかと思います。

 
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