GE ヘルスケア・ジャパン、医師不足が著しい神奈川県県央医療圏の医療ニーズに応えるデジタル・ソリューションを提供‐海老名総合病院におけるコマンドセンターの導入を通じて、新規入院患者数の増加、救急応需率の向上、職員の負担軽減など病院運営の効率化を実現‐

2024.02.06

 医療課題の解決に取り組む GE ヘルスケア・ジャパン株式会社(本社:東京都日野市、代表
取締役社長兼 CEO:若林正基、以下 GE ヘルスケア)は、医師不足が著しい神奈川県県央医
療圏の医療ニーズに対応するべく、2023 年 6 月より社会医療法人ジャパンメディカルアラ
イアンス 海老名総合病院(以下、海老名総合病院)と連携し、コマンドセンターの導入・
稼働を開始しました。

 神奈川県県央医療圏は人口約 83 万人*1 を擁しながらも、人口 10 万人あたりの医師数は神
奈川県内で最低レベルにあり、医療需要に対して医療従事者が少ないという厳しい状況が
長きに渡り続いていました。当該医療圏において、海老名市を中心に急性期医療の中核を担
う海老名総合病院は、超高齢化などにより増加の一途にある医療需要に対応するべく様々
な取り組みを進めきましたが、救急への対応や患者さんの受入数などにおいて頭打ちの状
況が続いていました。
 主要な課題としてあったのが、病床稼働率が一定の割合を上回ると入院の受け入れが難し
くなり、それに伴って、紹介や救急応需率も低下し、地域の医療需要に応えきれていないと
いう状況でした。様々な検討の結果、打開策として GE ヘルスケアが世界に先駆けて開発・
提供を開始した「コマンドセンター」の導入を決定。GE ヘルスケアの医療コンサルタント
との協議を重ね、地域医療のニーズの明確化、施設の課題の洗い出し、ソリューションの構
築などを経て、2023 年 6 月の隣接地に新築された新病棟への移転と同時に、コマンドセン
ターの本運用を開始しました。
 その結果、6 月以降の新規入院患者数、救急応需率、病床稼働率は共に上昇を続け、コロナ
禍以前の水準と比較しても高い実績を上げています。具体的には、病床稼働率はコマンドセ
ンター稼働と病棟移転の前の 88.2%から 92%に改善し、これに伴い新規入院患者数がコロ
ナ禍以前の 2019 年の実績と比較しても 2.7%増加し、救急受け入れ件数も同じくコロナ禍
以前の 2019 年の実績と比較して 26.5%増加しました。(図 1 参照)


 海老名総合病院の副院長兼患者サポートセンター長の小泉正樹氏は次のように述べていま
す。
「病棟移転後も病床数は変わっていませんが、多人床を減らし、高機能病床を増やしました。
達成したような入院患者数や稼働率の伸びは病床構成の改良だけでは成し得なかったと思
います。コマンドセンターでリアルタイムなベッド状況が可視化され、以前は稼働率 85%
を超えると受け入れが難しい状況でしたが、今では 90%を超えても順調にベッドコントロ
ールが出来ています。コマンドセンターを導入する過程で GE ヘルスケアが我々の課題を明
確にするサポートをしてくれて、その課題を解決するためには何を可視化してどう運用を
変えるべきかを一緒に考えてくれました。こうしたプロセスは我々のスタッフの意識や行
動を変えていく上でも非常に効果があったと感じています。コマンドセンターの効果を実
感出来たので、今後も活用の幅を拡げたいと考えており、例えば法人内の座間総合病院(344
床/ケアミックス)と連携して収容先を決定する試みを始めたので、地域全体での最適な病
床リソース配分にもコマンドセンターを活用したいと考えています。」
 更に、医療従事者が限られている中で、コマンドセンターによって情報を探すための無駄な
時間が削減され、看護職員の負担軽減や、より患者サービスに時間を割くことが出来るなど
の効果も生まれています。


 海老名総合病院の看護係長兼ベッドコントロールマネージャーの川上香織氏は次のように
述べています。
「毎朝病棟管理者が全員集まり、病床調整ミーティングを行っています。コマンドセンター
導入前は各病棟の空床や入院予定などを報告し、それをホワイトボードに書き込んでから
議論していましたが、導入後はコマンドセンターにすべての情報が可視化されたことで、空
床報告の時間はゼロになり、ミーティング時間が半減しました。また私自身も情報取集する
時間が短縮されて、病床や患者把握がすぐにでき迅速にベッドコントロールができるよう
になりました。時間の短縮化によって、病棟管理者が早く病棟に戻りスタッフとの対話や業
務調整を行うことで、業務の効率化やスタッフの負担も軽くなったと思います。」(図 2 参
照)


 社会医療法人ジャパンメディカルアライアンス本部 役員室兼エリア執行本部 地域連携
統括部次長の松原寛則氏は次のように述べています。
「コマンドセンター導入にあたり病院の抱えている課題について本質まで掘り起こして整
理し、その課題を解決するためにコマンドセンターが活用できそうな点について徹底的に
GE ヘルスケアの担当チームと一緒に議論を重ねた結果、根本的な課題解決だけでなく、そ
の副次的な効果として、全体最適で物事を考えていく集団に変化することができたのは大
きな収穫です。また、コマンドセンターは様々な機能を持った Tile がありますが、どの Tile
も電子カルテの情報を集約してリアルタイムに表示する事に長けている点は共通の特徴で
す。様々な職種で情報収集に時間を要する事は共通課題であるため、その時間を短縮し、行
動する時間に変えることができるので、ベッドコントロールシステムとしての活用以外に
も色々な角度から医療 DX を推進できるツールだと感じています。」


 海老名総合病院の院長であり、さがみメディカルパートナーズ(以下、SMP)の代表理事で
もある服部智任氏は次のように述べています。
「海老名総合病院単独ではコマンドセンターを活用して病床の有効利用に既に成果を上げ
ていますが、地域全体の医療需要に応え、提供する医療サービスの効率化を図る必要がある
と考え、2019 年に設立していた SMP においても、SMP に参加している各施設の病床状況
を見える化し、病態に適した医療機関へのスムーズな転院が可能となる仕組みづくりを、コ
マンドセンターを使って始めています。受け入れ側病院から急性期病院側に「〇〇さんは転
院可能ですよ」といった連絡が入るようなプル型の転院調整の実現をコマンドセンターに
期待しています。」


 GE ヘルスケア・ジャパンの代表取締役社長兼 CEO を務める若林正基は次のように述べて
います。
「病院運営を取り巻く環境は厳しさを増す中で、私たちは単に製品やサービスを提供する
だけでなく、お客様の目指す姿や目標を理解し、その実現をお手伝いするための様々な取り
組みを行なっています。その一環でもあるコマンドセンターというソリューションの提供
は、システムを稼働させることがゴールではなく、お客様の目標が達成されることを私たち
のゴールとし、成果を出すことにこだわっています。国内第一号のコマンドセンター稼働事
例である淡海医療センター様で病床稼働率など高い成果が出たのに続き、海老名総合病院
様でも高い成果に繋がったことを非常に嬉しく思います。お客様の成長と共に私たちも成
長し、お客様に選ばれ続ける存在でありたいと思います。」

新規入院患者数・救急搬送受入件数・病床稼働率の改善率(図 1)

看護部におけるコマンドセンターを活用した朝会ミーティングの様子(図 2)

*1・・・厚生労働省「二次医療圏ごとの人口動態・患者動態等」参照