SIR 2014 レポート ~タダでSIRに参加する方法(ただし、若手に限る)~

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2014.04.15

3月22~27日の6日間にConvention Center(San Diego,USA)で開催された、SIR 2014の参加レポートを、慶應義塾大学医学部放射線診断科の田村 全先生にご執筆頂きました!
 

SIR 2014 レポート ~タダでSIRに参加する方法(ただし、若手に限る)~
 
慶應義塾大学医学部放射線診断科
田村 全

 

会場となったConvention Center
どことなくパシフィコ横浜に似た雰囲気です。
 San Diegoはアメリカ西海岸、メキシコとの国境近くの都市である。空港からタクシーで10分ほど走ればダウンタウンに入ることが出来る便利な街で、毎年数々のConferenceが行われている。SIR 2014はSan Diegoの中心からほど近い海岸沿いにあるConvention Centerにて3/22~3/27の日程で開催された。私のような若輩者に十分なレポートが書けるか疑問ではあるが、まだSIRに参加したことのない若手IVRistにむけて、SIRに参加するまで、そして私の感じたSIRをありのままに書いてみたいと思う。果たしてレポートと言えるレベルに達しているかわからないし、初めての参加でありかつ主に私が直接参加できたSessionに限っての報告であるため、ベテランの先生方にとっては必ずしも有益な情報とは言えないかもしれないが、今後の若手IVRistの積極的な海外進出のためにと考えていただいて、ご容赦いただきたい。
 
SIRにタダで参加する方法
 昨年末、急に「そうだ、SIR行こう」と思い立った。私にとっては異動の直前であり、有給も大量に余っていたのでハードルは比較的低かった。上司の許可もいだたくことができ、参加することはあっさりと決定。しかし、SIRは参加費が異常に高い。2014年の参加費をホームページでチェックするとSIR NonmenberはRegistration時期によって異なるが$1350~1520である。いくらなんでも高すぎる。一瞬くじけそうになったが、参加費の表をよく見てみると$0となっているのもいくつかある。Member/NonmemberのSpeakerもしくはMember-in-trainingである。Speakerになるにはもう遅い。しかし、幸運なことに私は大学の研修カリキュラムに沿って動いている(Resident/Fellowとしてはギリギリであったが)。Member-in-trainingになれば参加費の問題は解決すると考えSIRのホームページを見てみるが、これがよくわからない。基本的にアメリカ以外でpracticeを行っている者はCorresponding Memberとして登録するようにと書いてあるのだが、肝心のMember-in-trainingに外国人も認められているかがホームページを読み込んでも不明であった。途方に暮れた私はPCを開き、個人的なツテで「SIR Member-in-trainingになったことある方はいませんか? もしいらっしゃったらその方法など伝授いただけませんか?」と質問、ちょうど病院の忘年会当日であったため、そのまま出かけてしまった。そして例年の通り記憶をなくして翌日自宅のベッドで目を覚ますと、全ては解決していた。なんとDotter Instituteに留学中の堀川先生がSIR事務局に直電して外国人がSIR Member-in-trainingになる方法を聞いてくれていたのだ! 超過保護である。持つべき者は優秀な先輩である。堀川先生、本当にありがとうございます。若手IVRistにとって大変有益な情報であるので、ここで共有したいと思う。
 日本人がSIR Member-in-trainingになるにあたって必要な書類は以下の4つである(当然ながら、全て英文)。
 
  ① 自施設のResident/Fellowであることの証明書
  ② JSIRのmemberであることの証明書
  ③ Membership application
  ④ CV(アメリカ式履歴書)
 
 ①には所属カリキュラム長のサインが必要ではあるが、書式に制限はおそらくなく、自分で作成すればよい。②はJSIRの事務局にメールすればすぐに発行してもらえる(通常SIR Memberになるためにはrecommendation letterが必要だが、JSIRのmemberであれば免除)。③はホームページでdownload、④は本やネットを参考に作成すればよい。その気になればごく短期間で作成可能である。すべての書類が作成されれば、Applicationに書いてあるSIRの事務局にEMSで送付。1~2週間ほどでSIR事務局からe-mailが届き、SIRのメンバーページにloginするための番号とパスワードが送られてくる。これでSIR member-in-trainingの資格をゲット(年会費 $50だが、JVIRも購読できるのでお得)、あとはホームページでRegistrationすれば完了である。これであなたもSIRにタダで参加できる(2014年3月現在)!
 
SIR 2014の概要
 SIR 2014は全体的に教育が重視されている印象で、Workshopがプログラムの中心に据えられている。Scientific Sessionは多くとも3つほどが並列されている程度だが、Workshopは常時6~9つが並列で、例えばPADはIからXIIIまで用意され、内容もAortoiliacからBelow the Kneeまで、technicalにもpedal accessを含む穿刺からprotection deviceまで幅広く網羅している。全部を聞けば現時点でのPADに対するIVRをおおよそ概観できるほどである。形式もCase-based、Q & A、classical、hands-on、current affairと様々で、司会、演者と聴衆がinteractiveに議論を行い、聴衆を飽きさせない工夫をしている(ちなみに会場からは座長を介することなく質問やコメントの声が次々と上がり、これがアメリカかと思わされた)。これに加えIn-training SessionやMedical Student Session、Clinical Associate Session、Categorical Courseが用意され、聞きたいものが重なってしまって聞けないことも多かった。これを解決すべくDigital Video Library(DVL)も用意され、Scientific Sessionを含む全ての演題が録画され1日ほどの遅れで公開されている。SIR終了前であれば$99(online accessのみの場合)で購入可能で、聞き逃したものもその気にさえなれば全て聴講することが可能である。毎日10時からは2時間ほどの予定でplenary sessionがあり、SIR全体に関わることはこのsessionで話される。昼には90分の空き時間、その他各sessionの間には30分の休憩時間があり、なるべく集中力の切れないような配慮もなされている。

Venous Intervention

 静脈系はIVRが扱うべき領域として認識がさらに深まっているように感じた。Scientific Session ではpost thrombotic syndromeの改善目的に施行されたchronic DVTに対する48例52肢のPTAの成績が報告され、92%でflowの改善、そのうち89%で症状の有意な改善を得た。1年後の開存率が67%と低いのが気になったが、症状改善がどの程度持続するかについてはあまり言及されていなかった。長期に効果が続くのか、一時的な効果でもやるべき価値があるのか、少し気になるところではあるが、今後acute DVTのように大規模試験が組まれていくのかもしれない。最終日のHow I Do It SymposiumでもVenous InterventionはTopicとして扱われ、acute DVT、chronic DVT、massive PEについて発表があった。acute DVTではCDTだけでなく積極的なPMT(pharmacomechanical thrombectomy)、さらに器質的狭窄にはstentを当たり前のように置いていたし、tPAが禁忌となるような患者でも22Fr.で大量の血栓を吸引できるAngioVACを用いて綺麗に治療していた。massive PEでも日本医大から以前より報告されているようにhybrid therapyで救命に成功した症例が報告されるなど、とにかくこの領域に対してaggressiveな姿勢で望んでいるのが印象的だった。

Arterial Embolization

 この領域はBPHに対するProstate Artery Emboliazation(PAE)とBariatric Embolization(BE)がtopicであった。ともにplenary session であるThe Next Big Thing in IRでも取り上げられ、注目度の高さが伺えた。PAEについてはScientific Sessionで500例もの治療成績が報告され、3ヶ月で87.2%、18ヶ月で80.2%、36ヶ月で72.3%と長期でも比較的良好な症状改善率が認められ、性機能不全や尿失禁は認められなかった。演者は標準的な治療法となり得るとかなり自信を示していたが、TUR-Pもそんなに困難症例が多いとは思えず、本邦において泌尿器科医が本当に依頼してくるかはやはり疑問である。ただ、手術拒否など難渋している症例は存在するはずで、日頃からコミュニケーションをとっていざというときは提案できるようキャッチアップしてくことは必要であろう。その他にもcone-beam CTを併用したprostate arteryの詳細な解剖についても報告があり、実践的な内容であった。BEは左胃動脈を塞栓することで噴門部の胃底腺から主に分布するグレリンを抑制し、食欲を低下させるという理論である。未だ動物実験の報告が主であり、長期の予後や合併症などが気になるところではあるが、肥満大国であるアメリカにおけるこの治療の重要度は高いと思われ、今後は臨床応用が進んでいくだろう。その他Scientific Sessionでは江戸川病院の奥野先生から凍結肩(狭義の五十肩)に対するTAEの成績が報告された。疼痛部の新生血管を塞栓することで近傍に存在する末梢神経への刺激を抑え、疼痛を低減する理論で、今回の報告では外科的治療の適応がなく、保存的治療に抵抗性の8例が治療され、速やかなVASの改善を得ていた。合併症も認められなかった。少数例での報告であり今後症例数の蓄積が待たれるものの、奥野先生は類似の治療をすでにJVIRで発表されており、日本発の新しい塞栓療法として発展に期待したい。

Nonvascular Intervention

 胆道系のScientific Sessionでは韓国、中国、インドで4演題を占め、アジアの存在感が目立った。韓国からはなんと10年間で695例もの経皮的胆道結石除去術(しかも単一施設!)の成績が発表された。特に新しいというわけではなかったが凄まじい数で、非常に驚いた。以前から韓国は肝移植後の胆管狭窄などこの領域で優れた報告を発表して世界をリードしている。私自身も胆道系のIVRに関わらせていただいているが、大きな刺激となった。John Hopkinsからは外科的に解剖が変更された患者群における胆道疾患に対する経皮的胆道鏡の有用性が報告された。放射線治療後の狭窄や、結石と思いきや炎症性polypなど、実際の症例が多く供覧された。当院では胆道鏡補助下に胆管閉塞をtraverseした症例を経験しているが、内視鏡医とのコラボレーションでより精密なInterventionが可能になると思われ、症例によっては今後も使用を検討していきたい。
 Categorical CourseではBiopsy in Personalized Medicineというtitleで生検が取り上げられた。Q & A形式で各症例につき適切なmanagementを考えていくというものであった。内容としては副腎生検の際は必ず褐色細胞腫を否定すべき、といった基本的なものも含まれていたが、アメリカのIVRistがいかに臨床的に深い知識を持っているかを実感できて興味深い内容であった。あるWorkshopのtitleにもあったようにAngiography, Biopsy, DrainageはIVRの”ABC”ならぬ”ABD”である。他科臨床医の信頼を得ていくためにもこの分野でも常に質を追求していく必要があると感じさせられた。
 
続きは「RadFan」5月号(2013年4月末日発売)にてご高覧ください。
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