腹部領域におけるHIFU治療の現状

2013.11.26

森安 史典(東京医科大学消化器内科)

 本章では、HIFU治療の現状を当施設の経験をもとに概説した。
 HIFU治療の原理は、経皮的に癌部に焦点を当てて強力な超音波をパルス波で照射し、超音波の熱作用と非熱効果を利用して癌組織を破壊するものである。我々は、無麻酔、覚醒下で、数日に分けて分割照射するという、安全性が高く、患者負担の少ない治療法を採用している。肝癌では、肝の辺縁に存在する腫瘍など、他の局所治療が適応のないものや、腫瘍径が小さい早期の肝癌などが良い適応である。膵癌のHIFU治療では、癌性疼痛に対する徐痛効果や、化学療法とHIFUの併用による生存期間の延長が認められる。