●一般社団法人中部地区医師会検診センター
沖縄で初! FPDデジタルマンモグラフィ装置搭載検診車を導入!
過酷な夏をものともしない、 Pe・ru・ruのもたらす安心感

Satellite View~Canon Special Session:事例取材:Enrich Women‘s Health~女性の健康を豊かなものに~
2016.06.17

● 一般社団法人中部地区医師会検診センター
 
沖縄で初! FPDデジタル
マンモグラフィ装置搭載検診車を導入!

過酷な夏をものともしない、Pe・ru・ruのもたらす安心感
 

一般社団法人中部地区医師会検診センター
所在地:沖縄県中頭郡北谷町字宮城1-584
TEL:098-936-8200
URL:http://www.chubu-ishikai.or.jp/
kensin-center/Default.aspx
 FPDの普及により、検診車に搭載するマンモグラフィも今やフィルムレスの時代となってきている。デジタル化によってカセッテの手入れ、画像データの受け渡しなど、ワークフローが大きく改善することはすでに言うまでもない。しかし一方で、装置の温度を一定に保たなければならない、稼働していないときにも通電をしなければならない、といった欠点もある。そのため、未だ導入に踏み切れない施設も少なくはない。
 沖縄県の中部地区医師会検診センターでは、昨年の春に東芝メディカルシステムズ社(以下、東芝)のFPD搭載マンモグラフィ検診車「Pe.ru.ru」を導入した。これは、沖縄県内では初のFPD搭載マンモグラフィ検診車の導入となる。平日はほぼ毎日のように稼働している中、同施設のPe・ru・ruは沖縄の厳しい夏をトラブルなしで乗り切った。今回はPe・ru・ru導入にあたっての決め手やこだわり、日常的な運用について同施設の放射線課技師長加藤好伯氏と、診療放射線技師の城間聡子氏、佐久眞 操氏、有働江梨奈氏にお伺いした。

 

一般社団法人中部地区医師会
検診センター放射線課技師長
加藤好伯氏
検診車外観
温度調整に非常に便利な「恒温器」
検診車内のPe・ru・ru
検診車の操作室より検査室を望む
施設内のマンモグラフィ撮影室
装置だけでなく、リラックスできる内装の雰囲気まで施設と検診車で統一した。
検診車内の操作卓は配置自由形
操作卓の下に高電圧発生装置を収め、操作室の空間にも余裕が生まれた。
FPDデジタルマンモグラフィ装置搭載検診車導入の課題
 中部地区医師会検診センターは沖縄県中部の北谷町に位置し、同施設での検診のほか、各種検診車で周辺地区に出張で検診を行っている。マンモグラフィ検診車では、市町村の集団検診や企業検診といった通常検診のほか、医師会会員となっている施設での検診も行っているためその回数は多い。検診車の稼働日数は1年で200日、4月を除くと平日はほぼ毎日となり、非常にタイトなスケジュールである。市町村の住民検診のみの稼働は年間約70回のため、いかに会員施設と密に連携をとって、地域住民の健康のために貢献しているかが分かる。
 同施設では、これまで使用していたフィルムの装置の生産終了に伴い、モダリティのデジタル化へと動いている。マンモグラフィ検診車はフィルムコストが高く、装置の老朽化に伴うトラブルも続いていたため、真っ先に買い替えの対象となった。しかし、検診車にFPD搭載マンモグラフィを導入するとなると、いくつかクリアしなければならない条件があった。
 同施設でのデジタルマンモグラフィ搭載検診車導入(装置の乗せ替え)にあたっての最大の懸念材料は、温度管理をきちんと行えるかどうか、にあった。各社のデジタルマンモグラフィ装置にはそれぞれ耐えられる気温の上限と下限が定められており、それを逸脱すれば、FPDが故障してしまうなどのトラブルが起きかねない。沖縄という土地でデジタルマンモグラフィ装置搭載の検診車を稼働させるためには、空調を万全にするなど、温度管理を徹底していかなければならない。従来の装置では必要でなかった温度管理を、どのようにして電気代や操作の手間を増やすことなく行えるようにするか、ということが非常に重要な問題となってくる。
 もう一つの問題は、装置乗せ替えの工期の短さである。先述したように、検診車はたくさんの施設で検診を行っており、過密スケジュールで稼働している。これまで車検の時などは他の施設から検診車を借りてくることでその穴を埋めていた。だが、装置の乗せ替えともなれば車検以上に時間が掛かる。スケジュールに支障を来さないように乗せ替えをしなければならないため、なるべく工期が短いことも装置の選定の大事な条件となった。
 
手間ひまいらずでFPDを守る恒温器
 同施設がPe.ru.ruを選択したのは、やはりこのような条件をクリアできることが決め手となった。最大の特長は温度管理、とりわけ「恒温器」の存在だろう。
 恒温器は撮影台を覆うカバーの形となっており、撮影台周囲の温度をPe.ru.ruの稼働条件に定められた10~40℃以内に保つ道具である。稼働させていないときに撮影台に被せるだけでよく、複雑で特別な手順などは一切必要がない。あんかのような仕組みになっており、もし周囲の気温が10℃以下になる場合は電源を入れて撮影台を温めるが、暑さを遮断し、撮影台を40℃以下に保つ保冷の場合は通電をしなくてもよい。沖縄では気温が10℃以下になることは滅多になく、通電させずとも稼働時間外の温度管理が容易に可能となる優れた代物なのである。
 導入にあたっていくつかのメーカの装置を検討した加藤氏は「多くの装置は、検診から帰ってきたら電源を引っ張ってきてエアコンをつけておく必要がありました。沖縄の気温というのは、実は向こう(本州)の方が高いこともあるのですが、やはり年間を通して見れば暑いです。装置によっては30℃以下に保たなければならないものもあるので、そうすると稼働時間外もずっとエアコンをかけっぱなしになってしまいますね」と語る。その点、Pe.ru.ru自体も稼働時間外は完全に電源を落としていても支障はないため、恒温器のおかげで検診車に24時間通電する必要はなく、FPDの温度管理を行え、かつ電力消費を抑えることが可能だ。
 24時間の通電が不要なことは、温度管理のコストの面以外でも大きなメリットとなる。夏場の沖縄は台風の通り道となっており、停電してしまうこともあるという。通電が必要な装置にとって、停電による電気供給の停止は致命的だ。しかし、24時間通電が不要なPe.ru.ruであれば、そうしたリスクは避けることも可能である。沖縄の過酷な気候でも安心して使えることが、装置を選んでいくうえで非常に重要となる。

 
エアコン設置台数は一気に3台 ~消費電力はさほど変わらず
 温度管理の話に戻ると、検診車の装置を乗せ替えるにあたって、改善しなければならないことがもう一つあった。空調の問題である。
 当初、検診車内は、エンジンクーラーのみで撮影室、操作室、待合室の温度調整を行っていたが、車内が30℃以上になることが多く、その対策としてエアコン(エンジンではなく電気を動力源とする)を1台追加し、温度対策を行った。それでもなお、車内の温度調節は困難であり、検査をしながら「自分たちが倒れてしまうのではないか」と思うこともしばしばあったそうだ。それが乗せ替え後は待合室、操作室、撮影室の3ヶ所にマルチエアコンが設置され、車内の温度調節が一気に容易になった。
 取材班が同施設を訪れたのは12月中旬、本州ではいよいよ寒さが厳しくなる時期だが、沖縄ではコートも必要がなく、少し動けば汗ばんでくるほどの暖かさであった。それでも検診車の内部は快適な気温に保たれており、これも3台も設置されたエアコンのお陰といえる。当然、エアコンを増やしたことによる電力の消費はいかほどかという懸念も出てくるであろうが、Pe.ru.ruであれば、その心配も要らない。24時間の通電が不要であることに加え、装置自体の稼働時の消費電力が少ないため、その分をエアコンに回すことができるようになったのだ。また、いくら南国沖縄といえど、真冬の1~2月はやはり寒い。冬場の検診車内ではカセットボンベタイプのストーブを重宝して使っていたが、車内で使用するには安全面でどうしても不安が拭えなかった。エアコンがヒーターの役割も果たすことができるため、今年からは寒い時の温度調節も安心して行えるようになる。検診車全体の電力の消費量はあまり変わらずに、1年を通して使える十分な空調設備を整えられるほど、装置の電力を抑えられるというのは、Pe.ru.ruの大きな利点である。

 
施設と検診車のダブルPe・ru・ruで操作をスムーズに
 同施設では加藤氏たっての希望で、検診車と施設内部のマンモグラフィ装置を同時にPe.ru.ruにしている。実は、当時の施設内の装置は検診車の装置よりも新しく、目立ったトラブルは少なかった。それにもかかわらず、検診車と施設での装置を同時に替えたのは、加藤氏の中に「ソフトコピー診断まで実現してこそデジタル化である」という意識があったことと、内外での操作を同じにすることで、手順を迷わず、すんなりと検査が行いやすくなるという大きなメリットがあったからだ。同施設では施設内の超音波診断装置を別々のメーカのもので使用しているが、スタッフによっては片方の装置しか操作することができないケースがあった。その教訓を生かし、「同じような感覚で使える」という意味で施設内外の装置を両方ともPe.ru.ruにしたのだ。そのお陰で、スタッフも戸惑うことなく内外の装置での検査に慣れることができた。また、同施設では時たま外部の診療放射線技師に応援を頼むことがある。常勤ではなく、いつもここの装置を操作しているわけではないスタッフにとっても、シンプルな操作性に加えて施設内外が同じであることによって、大分使い勝手が良くなっているという。
 また、保守点検についても内外で同じ業者が担当するようになったため、メンテナンスもスムーズに進められるようになった。

限られた工期でこだわりを実現
 検診車の乗せ替えにあたって、沖縄特有の厳しい気候に対応した温度管理、操作性やレイアウト、内部の装飾へのこだわりなど、様々な問題や要望があった。それらを全てひっくるめて実現することができるのは東芝の大きな利点だ。
 「乗せ替え工事期間の直後に、すでに検診の予約が入っているので、そこまでにきちんと工事を終わらせたい、というのはありまして、そういう意味では、本当に、お陰様でという感じです」。
 乗せ替え工事を振り返って、加藤氏はこのように語る。これまでの検診車の使い勝手が良かった面を残しつつ装置を乗せ替えること、そして、決められた期日までに乗せ替えが出来ること、これが施設側の強い希望であった。1年間のうち、検診が入らない期間はわずかに4月とその前後のみ。装置の乗せ替えは大阪にある株式会社オートサービス関西で行われるため、検診車の移動時間を踏まえると非常に短い工期となる。メーカの検討の段階で東芝がそのような条件をきちんと踏まえ、対応策を提案してきたこともPe.ru.ruに決めた大きな要因だそうである。
 しかし、いざ実際に乗せ替えをする段階になると、全くの障害なしに進めていくということは難しい。例えば、エアコンを3台に増やしたため、室外機も大きなものに乗せ替えとなった。ところが、乗せ替えを進めていくうちに、当初予定していた場所にその室外機が入らないことが判明した。そのようなトラブルに対しても、東芝側で素速く対応し、別の設置場所を設けることで解決。結果的に工期を遅らせることはなく、希望の期日通りに乗せ替えが完了した。
 マンモグラフィを搭載した検診車において実績を重ねてきた東芝だからこそ、短い工期でさまざまなこだわりを実現させることができたのだ。

 
■検診車レイアウト図
・ トラックシャーシ。
・ ミニローダー搭載場所に室外機庫を設置。
・ 高電圧装置上部に操作卓を作成し、システムモニタ、キーボード、マウスを配置。

8120mm(全長)

★検診車にもFPD搭載のデジタルマンモグラフィを搭載したいけれど、高い気温で壊れてしまわないか心配…。
 → かぶせるだけでOKな恒温器が冷却器の役割を果たすので、簡単に温度管理ができます。周囲の気温が10℃以下にならなければ恒温器への通電の必要はなく、通電する場合も、100Vコンセントでまかなえる、僅かな消費電力です(平均20W程度)。
 
★空調を整備したい!でも電力は大丈夫?
 → Pe・ru・ruの所要電力は4.5kWと小さいため、発電機の残りの電力をエアコンに回せますので、10kW以下の発電機でも、室内機3台のマルチエアコンを組合わせることができます。
 
 
■カワイイもの大好き女子が語る
女子同士だからこそ出るホンネ
内装へのこだわり

 

一般社団法人中部地区医師会
検診センター放射線課
 城間聡子氏
一般社団法人中部地区医師会
検診センター放射線課
 佐久眞 操氏
一般社団法人中部地区医師会
検診センター放射線課
 有働江梨奈氏
編集部女子 先程、検診車内を見せて頂きましたが、壁にシールが貼ってあって装飾が施されているのがカワイイなって思いました。
城間 そうなんです! 受診者様から部屋がカワイイってほめて頂くことが増えました。女性の方って結構そういうところ見てくれるので気付いてもらえるとうれしいです。
編集部女子 部屋全体の雰囲気も統一感がありますよね。
城間 ありがとうございます。カーテンのビーズ見てくれました!? 更衣室側からカーテンを閉めるとカーテンが広がるのと同時にビーズがカーテンに散りばめられるような感じになるんです。
編集部女子 キラキラしていて気になっていました。
城間 実はオーダーカーテンで、かなりこだわらせてもらいました。こんなわがままが通ったのも東芝さんのご協力のおかげです。
編集部女子 毎日使用するところがカワイイと気分とか変わりますか?
城間 かなり変わります。受診者様も気が紛れていつのまにか検査が終わってるなんてこともあるみたいで。痛みの軽減につながっているかなと思います。もちろん、私たちのテンションも上がるんですけどね。これが自分の部屋だったらいいなぁなんて思ったりしながら。
編集部女子 検査のしやすさとかどうですか。
城間 Pe.ru.ruになってから早く撮影を終えられるようになりました。
佐久眞 むしろ撮影も処理も早いので、受診者様が検査を終えて更衣室に戻ると前の方がまだ着替えていて更衣室に入れないなんてことも。
有働 人数が多くて検査数をなるべくこなしたいときはあらかじめ更衣室を別で作っておいたりとかもしてます。
編集部女子 そうなんですね。更衣室を見て思ったのは想像していたよりもスペースがあるなと。
城間 検診車内の基本的なレイアウトは以前とは変わらないんですけれども、変えずに装置を新しくできたのもPe.ru.ruのおかげです。一部、他のメーカの装置だとレイアウトを変えて設置しないといけないのは確実でしたので。
有働 なぜ、レイアウトを変えないことにこだわったかというと受診者様の動線を一方通行のままにしたかったんです(図1)。検査をスムースに進められるのはこのレイアウトですからね。
城間 あと、他の検査と違って撮影しているところが第三者から見えないですし、他の人は誰もいないという感じがして受診者様は安心感があると思います。
編集部女子 一方通行のレイアウトが一番使いやすいんですね。
図1 検診車内の受診者様の動線
(青矢印は受診者様の動線)
図2 アームリモートスイッチ
エアコンもシールで「デコって」可愛らしい印象に
カーテンに輝くビーズはこだわりの証

城間 逆に以前と変えたのは遠隔操作のボタン(アームリモートスイッチ:図2)を付けてもらったことです。
編集部女子 これはいつ使うんですか?
城間 例えばMLOで1方向撮影し終わって支持台を反対側へ回転させるときに、そのまま操作卓で動かせるんです。
編集部女子 なるほど。撮影し終わったら受診者様の近くに行くということをしなくていいんですね。
城間 受診者様との距離も近いじゃないですか。さらに上半身裸ですしね。なるべく受診者様には負担をかけない検査をしたいので。
佐久眞 私たちが歩く距離も少し減りますからね! なるべく楽したいなって。
編集部女子 ユーザ側としても少し楽ですね。
佐久眞 あと、室内を間接照明にしたので少し薄暗くてムーディーな雰囲気になってます。
城間 そうそう! 受診者様の恥ずかしいという気持ちも少しは和らぐかなって。
編集部女子 緊張して臨むことが多い検査なので少しでもリラックスできると検査も受けやすいですね。先程検査時間が短縮したという話が出ましたが、早く終わると終業時間も早くなったりするんですか?
城間 そうなったらいいですねえ。終業時間が早くなることはないのですが、他の作業にあてられる時間が増えました。巡回検診を終えて、検診センターに戻ってきてからの処理が早くなったので。フィルムを使用していた頃は現像、確認、読影準備など、大体1時間くらい作業をしていたのですが、今は10分程で終わります。USBメモリでデータを持ってくればいいだけなので。
編集部女子 1時間が10分になったんですか!?
有働 そうですね。さらに検診車に持って行くものも以前と比べて減りました。カセッテを大体多いときで10枚使用していたので、これと、サプライとレシーブマガジンも持ったりして大荷物でしたよ。これが今はUSBメモリ1つですからね。とても楽になりました。
城間 カセッテ10枚は重かったですねー。雨の日はビニールに入れて濡れないようにするんですけど雨が結構多いので、この運びにくいという状況は多かったです。湿度の管理もしっかりしないと乾燥してフィルムにスタチックマークが出てきたりしますし、ミニローダーが故障してパカッて生フィルムが出てきちゃったりしたこともありました。もう昔の話ですけど。
有働 あと、楽になったといえば装置の固定も楽になりました。以前使用していた装置はほぼ特注ということもあって固定も一苦労で。
佐久眞 12番までありましたよね。
有働 そう。固定の手順を番号で振ってました。それくらい段階を踏まないと固定ができなかったんです。
編集部女子 それが今ではカチャッとはめるだけでいいんですね。
城間 そうなんです。いろんな面において楽になったところは多いですね。

 
 
■ワンランク上の精度管理へ

 検診車にPe.ru.ruを選択したのには、これまで挙げてきたことの他にも、施設画像認定でA認定を取得している、施設内設置用と同じ性能の装置である、という理由もあった。画像評価でAをとれるほど綺麗な画像を撮影することができるのであれば、装置としての問題はない、という信頼も導入の後押しをしたわけである。現在同施設ではアナログからデジタルへの装置の移行にあたって、日常管理と撮影条件に変更を加え、精度管理の強化を始めている。
 これまで機器の日常管理は、目視管理を中心に行っていたが、それに対して加藤氏は「メーカ任せのままでよいのだろうか?」という思いを抱いていた。装置の入れ替えは、精度管理の見直しには絶好の機会だ。具体的には、ACR推奨RMI製156型ファントムとステップファントムでの目視管理に、さらにPe.ru.ruで行えるフローを追加した。
 Pe.ru.ruは画像処理の影響を受けない設定で撮影画像を外部出力できる。その画像をImageJにてROI解析し、得られたデジタル値をエクセルにて管理している。ImageJでのROI解析には、あらかじめ作成したファントム内に計11か所のROIを指定したROIファイルを使っているので、きちんと位置を揃えて撮影すれば、簡単にデータを得ることができる。エクセルでの管理では、データをコピペするだけで管理幅に納まっているか自動判定される。さらにステップファントムの線形性とACR推奨RMI製156型ファントムのデジタル値との関係も管理しやすいようにグラフも自動的に作成される。このようなツールでROI内の平均値と標準偏差を管理できることは、日常的に行っていく上で助けとなり、非常に便利だ。これまで行ってきた業務の妨げになることなく、管理項目の追加ができるのである。
 撮影条件の変更についての取り組みは、被ばく低減のために単にX線量を下げる、ということではなく「被ばくと画質をバランスさせて、被写体に最適なX線量を入れる」ということであった。精中機構の指導とメーカの協力のもと、特に厚みの薄い乳房を中心に、線量を上げつつ最適な条件を模索しているところだ。画質と被ばくのバランスを考え、AEC撮影時の基準線量を乳房厚が40mm時のCNRが10程度となるような撮影条件に変更したところ、ザラザラとしたノイズ感が低減して、目に見えて画質が改善された。この時の平均乳腺線量(AGD)が2mGy程度であったため、当面の間これを基礎値とすることにした。管理
幅については、AECの変動係数も加味して基礎値の±10%にて管理している。こうした取り組みを同施設では施設内のほか、検診車の装置でも行う予定だ。
 現在同施設が目指しているのは、施設画像認定の取得である。「まだ新しい精度管理を開始したばかりでデータは出揃っていませんが、高濃度乳腺を中心とした症例が集まり次第、取得に踏み切りたいです」と加藤氏は意欲を見せている。

 
 
■一般社団法人中部地区医師会の概要と取り組み
~県民の健やかな生活のために

 中部地区医師会は、日本医師会・沖縄県医師会との連携のもと医道の振興、医学、医術の発達普及と公衆衛生の向上とを図り以って社会福祉を増進させることを目的に昭和28年設立致しました。設立以来学術団体としての医師会活動はもとより、地域住民の医療福祉向上に努めており、昭和63年中部地区医師会館・検診センターを医師会活動拠点・地域住民の健康管理拠点として開設致しました。本県では平成22年平均寿命、全国1位だった女性が3位に落ち、男性は30位まで後退し、これから更に下がるものと予想されています。本会でも県民の平均寿命アップを目指し、人間ドック・健康診断・各種がん検診の啓発活動を積極的に行い、住民健診、企業健診、特定健診、特定保健指導、各種がん検診に力を入れ、地域住民の健康維持・増進に貢献するよう努めております。
 特に婦人科検診では、女性に特化した女性医師による「レディースドック」を実施しており、乳がん集団検診(マンモ検査)では、マンモ検診車を会員施設に配置し、地域住人が受診しやすい環境を提供しております。また、子宮がん検診でも県内で初めて液状化検体細胞診検査(LBC法)を導入し精度の高い検診体制を確立しています。
 在宅医療においては、地域のニーズに答えるべく平成7年に訪問看護ステーション、平成16年には訪問介護事業を開始、更に本県の医療従事者不足を補うため平成20年ぐしかわ看護専門学校を開校しており、多様化、複雑化した保健・医療・福祉ニーズにも応えられるよう柔軟に対応できる看護師養成を行っております。
 このように、検診事業・在宅医療事業・看護師養成事業等を沖縄県・管内9市町村・沖縄県医師会・関係団体等のご指導・ご支援を仰ぎながら行っております。