320列面検出器CTと3テスラMRIによる最先端の臨床応用
日時:2014年2月21日
場所:ステーションコンファレンス東京
共催:東芝メディカルシステムズ株式会社
座長
広島大学大学院医歯薬保健学研究院放射線診断学研究室
粟井和夫先生
演者
広島大学大学院医歯薬保健学研究院放射線診断学研究室
福本 航先生
【KEY Sentence】
●Vantage Titan 3Tを用いたTime-SLIP法は、従来と原理の異なる非造影MRAの手法として注目されている。
●Time-SLIP法は血管系の形態を描出できるほか、反転時間を段階的に変化させることで血行動態の把握も可能になる。
●Time-SLIP法は、血流のみならず脳脊髄液、尿、唾液、膵液などさまざまな液体の流れも描出可能なFlow labeling
imagingである。
●Time-SLIP法には大きくFlow-in法とFlow-out法があり、撮影部位によって適切に選択することが必要である。
●より効果的な撮影方法や反転時間の設定などを定めることで幅広い臨床応用が期待される。
Time-SLIP法は血流だけでなく脳脊髄液や尿、唾液、膵液などの流れ(flow)も描出可能であるため、従来のMR angiography(MRA)を拡張した「Flow labeling imaging」の手法ととらえることもできる撮影方法である。その最大のメリットは造影剤を使用することなく、血管系・非血管系を問わずあらゆる領域のflowの画像化が可能な点である。Vantage Titan 3Tの臨床経験をもとに、非造影MRAの一手法として近年注目されているTime-SLIP法の臨床応用の可能性について症例を呈示して解説する。
今後の展望
Time-SLIP法により、血流のみならず、脳脊髄液、唾液、尿、膵液といった体液の流れも描出が可能であることが確認された。Time-SLIP法では、さまざまな領域のflowの描出が可能だが、まだ症例数が少なく、撮影方法や反転時間の設定など明確に定まっていないことも多く、現段階ではまだ撮影には経験が必要とされる。今後、さらに症例数を蓄積して撮影方法などを確立することで、新たな診断の一助となる可能性があると考えている。
(本記事は、RadFan2014年5月号からの転載です)