【RSNA 2012 On-Site Report!】「医療過誤の開示について」Jay Starkey先生(UCSF)

RSNA2012 Report:RSNAからの宅急便
2012.11.28

Jay Starkey先生(UCSF)より、現地レポートをいただきました!
 

【RSNA 2012 On-Site Report!】「医療過誤の開示について」
UCSF
Jay Starkey


 誤診は世界中で起こっています。今年のRSNAのテーマは「患者第一主義」です。
 先日、医療過誤の開示に関する会議に出席してきました。内容は日本の放射線科医にも関係があり、興味深いものでした。


 会議では、ある女性のシナリオが提起されました。女性は最近乳がんだと診断されましたが、2年前に撮影したマンモグラフィーに病変があることを発見したのです。ところが、当時の診察では病変は乳がんと診断されず、マンモグラフィーは正常と判断されました。


 会議長は、そうした重大な誤診は患者に全面的に開示されるべきであり、必要に応じ謝罪をすべきだと発議しました。


 皆さんは、誤診をしてしまった経験はありますか? おそらく、大半の人があると答えるでしょう。


 診断の間違いを患者さんに伝えたことがありますか? 大半の人がないと答えるでしょう。


 会議では、誤診の開示を妨げる障害物についての話し合いが行われました。
 以下が、挙げられた事項になります。


 ・医療組織、機関からのサポートの欠如
 ・不十分なコミュニケーション能力のトレーニング
 ・開示への反響に対する恐れ
 ・開示することの利益に対する信念の欠如(開示がどう患者を助けるのか)
 ・患者との間接的なかかわり(放射線科医は通常患者を直接診察しない)
 ・場所の不足(放射線科医は診察室を持たない)
 ・時間の不足(放射線科医は超多忙)
 ・医学放射線学会の誤診に関する指針の欠如


 これらの事項は日本においてもほぼ同様だと思いますが、多少異なるとも言えます。


 数年前、スタンフォード大学の放射線科医の女性と話をしたときのことです。彼女は、放射線科医が患者さんと良い関係を保つには、より患者さんとの接点を持つべきであると強く主張していました。 私も、良い治療を行うためには患者さんを直接診る必要があると思います。誤診は医師たちが葛藤し続けている難しいテーマです。誤診が生じた場合、患者さんは知る権利があります。米国の医師たちは、訴えられるのを恐れています。日本では米国ほど訴訟についての心配はありませんが、刑事訴追の可能性はあります。日本の放射線科医たちが、誤診に対する刑事訴追についてどの程度心配しているかはわかりません。ぜひ皆さんの意見を聞かせていただきたいと思っています。


 RSNAでの患者中心のこの一年を享受しましょう!


      火曜日のPlenary Session:
      “To Disclose or Not to Disclose Radiologic Error: Should Patient First Supersede Radiologist
       Self-Interest”
       Leonard Berlin MD