第1回九州消化管画像研究会 参加見聞記 | 放射線科情報ポータル Rad Fan Online(ラドファン オンライン) 医学出版社メディカルアイ

第1回九州消化管画像研究会 参加見聞記

2019.09.06

第1回九州消化管画像研究会の参加レポートを
渡邉淳史先生(大腸肛門病センター高野病院)にご寄稿頂きました!

 
 
はじめに

 立秋の候、第1回九州消化管画像研究会[代表世話人:有馬浩美氏(大腸肛門病センター高野病院放射線科)]が2019年8月10日(土)、大腸肛門病センター高野病院を会場に開催された。本研究会は九州地区における医療技術者を集い、消化管検査を中心にCTやMRI、超音波、X線透視といったモダリティにおける研究発表や講演を通じて、撮影技術や検査の質的向上を目的に今年発足した(図1)。

 当日は快晴の中、熊本は元より九州各地をはじめ、遠くは北海道から110名を超える消化管検査に携わる診療放射線技師や医師、他のコメディカルが一堂に会した。予定数をはるかに上回る参加者となったこともあり会場内は満席となり、研究会ではフロアからの活発で専門的な質問が飛び交うなど夏の厳しい暑さにも負けず盛会に感じられた。今回はプログラムに沿い、各セッションの中身について報告する。

図1 代表世話人の有馬浩美氏による挨拶及び研究会概要説明

消化管疾患の画像検査のコツ

 セッション1では消化管疾患における各画像検査からのポイントについて3名の演者より発表があった。はじめに、福島敏和氏(熊本地域医療センター放射線部)が「消化管領域におけるMRI検査」と題し、MRI検査での消化管領域の撮像シーケンスや描出画像について解説。MRI検査の役割として、主に微小な肝転移の診断と直腸がんの多臓器浸潤やリンパ節転移の拾い上げといった2つに大別されるとされ、撮像シーケンスとして造影MRIでは前立腺や子宮などの隣接する臓器への浸潤に、拡散強調画像(DWI)ではリンパ節転移の拾い上げに有用であると述べた。ほかにも最適な画像を得る上でのコツとして均一な脂肪抑制画像の撮像やベルト、鎮痙剤を用いた動きの抑制などを挙げていた。

 続いて、有馬浩美氏(大腸肛門病センター高野病院放射線科)が「炎症性腸疾患における消化管超音波検査」と題し、消化管領域における超音波検査の特徴を解説。特にクローン病や潰瘍性大腸炎をはじめとする炎症性腸疾患は若年者の罹患率が高い傾向にあり、X線被ばくを要しない超音波検査が診断に大いに活用できることを強調されていた。検査では腸管壁の層構造や血流評価を行い、寛解期から活動期にかけての経時的変化に着目して観察する必要があることを述べながらも、消化管領域における検査は技術習得が難しく、多くの症例経験を積み重ねる必要があることを加えた。

 最後に、脇田慎一氏(いづろ今村病院画像診断センター)が「炎症性腸疾患における造影検査~小腸を中心に~」と題し(図2)、小腸造影検査における撮影時の工夫について解説。小腸造影検査は技師の熟練度により左右されやすい検査であることなどを述べる一方、特に炎症性腸疾患では特有の病変像である縦走潰瘍や敷石像の有無が診断に関わってくるため、その描出は非常に重要であるとのこと。実際の検査では体位変換や圧迫などにより小腸の重なりを外すことで特徴的所見の見落としをなくし、加えて腸管蠕動を促す薬剤投与を用いて被検者のX線被ばく低減に努めるなどさまざまな工夫を凝らしていた。

図2 脇田慎一氏による炎症性腸疾患における小腸透視検査のコツ

各施設における大腸CT検査

 大腸CTは方法として2つに大別される。1つは内視鏡などにより病変が確定した後に行う術前の精密検査として実施する方法、もう1つは病変を拾い上げるためのスクリーニング検査として実施する方法である。これは各施設の取り決めやマンパワーによって左右されるところではあるが、今回3名の発表にはそれぞれの施設の特色が窺えた。

 はじめに、岩元優樹氏(熊本医療センター放射線技術部門)が「当院における大腸CT検査」と題し、公的病院における大腸CTの運用状況について説明。高度急性期病院である自施設では、以前は内視鏡後の大腸CTのみだったため拡張不良例が多く見られたが、今年より炭酸ガス自動注入器を導入したことで十分な検査を行う環境が整い、大腸がん術前と内視鏡挿入困難例の2つを中心に検査を行っているとのこと。また、Snフィルタを用いて100KVでの撮像を試みることで通常時と比較して被ばく低減が可能であることを加えた。フロアからは100KVでの撮像では平坦型病変の場合、形態が崩れる恐れがあるとし自施設のように内視鏡後であれば可能かもしれないがスクリーニング検査での使用には慎重になる必要があるなどの意見も挙げられた。

 続いて、田中幸成氏(阿蘇立野病院放射線科)が「阿蘇地域における大腸CT検査の現状」と題し(図3)、郊外に位置する病院での大腸CTの実状について説明。自施設は南阿蘇唯一の病院であり、患者の多くを高齢者が占めているとのこと。実際に大腸CT検査を運用してはいるものの年間の検査数は少なく、未だに大腸CTの普及に至っていないとのことであった。この問題に対しフロアからは、大腸CT自体の利点とその精度を如何にして上手く自施設の医師また住民に伝えることができるかを含めて地域の中核病院として今後の取り組みに期待したいと述べられていた。

 最後に、森 一宏氏(天神クリニック診療技術部)が「健診機関における大腸CT検査の運用」と題し、健診領域での大腸CTの工夫と課題について説明。福岡市中心部のビル内に位置するクリニックでありながら限られたスペースを利用して80列CTを導入できたことにより大腸CT検査を行うに至ったとのこと。導入して約2年ということもありマンパワーの確保や検査枠の問題など解決すべき課題はまだまだ多く、数多くの病院が立ち並ぶ都市部において差別化を図る上で健診領域での大腸CTの普及にこれからも尽力したいと熱く述べられていた。

図3 田中幸成氏による阿蘇地域における大腸CT検査の現状

★続きはRadFan2019年10月号にてご覧ください!

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