日本放射線腫瘍学会 第30回学術大会 参加印象記

2017.12.15

日本放射線腫瘍学会第30回学術大会の参加レポートを小此木範之先生、村田裕人先生(国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 放射線医学総合研究所病院)にご寄稿頂きました!

図1 学会場の一角から

はじめに
 2017年11月17日から19日に、日本放射線腫瘍学会(以下JASTRO)第30回学術大会が、グランフロント大阪で開催された(図1)。大会長は大阪国際がんセンター放射線腫瘍科の主任部長であり、大阪大学名誉教授でもある手島昭樹先生が務められた。本大会のメインテーマは「放射線腫瘍学の役割拡大:ビッグデータ時代における挑戦」と題され、3日間を通じて活発な議論が繰り広げられた。筆者は医師として10年目、放射線腫瘍医として8年目の若輩の臨床医である。僭越ながら、今年のJASTROで印象に残ったことを紹介させて頂く。

ビッグデータ時代と人工知能の役割
 メインテーマに据えられた「ビッグデータ時代」に関連する演題が、本大会では多く見られた。データの集約という意味では、これまでも様々な規模でデータベースが構築されてきた訳だが、集約された情報をいかに使うかが重要になってきていることを本大会では実感した。中でも印象に残ったのは、所謂、人工知能(AI)によるdeep learningの利用である。集約したデータをいかにして活用するかという観点で見たときに、AIの重要性は今後さらに増していくだろう。
 元来、放射線治療分野は、線量計算・最適化、位置精度確認など、機械の利用頻度が他の医療領域に比べて圧倒的に高い。そう考えれば、放射線治療分野は、医療分野全体の中でもAI利用の可能性・発展性が大きい分野と言える。本大会では、deep learningを用いた全脳照射あるいは前立腺癌の治療計画の自動化への取り組みなどが報告されており、印象深かった。AIに学習させる情報の質の問題、得られる結果の客観的評価法など、まだまだ課題はあるだろう。しかし、臨床業務の効率化は我々にとって、歓迎されるべきところである。臨床医としての経験や直感すらも、データ化され応用される時代が来るのかもしれない。AIの進歩に今後も目が離せない。

腫瘍免疫と放射線
 2013年、Science誌のBreakthrough of the YearにCancer immunotherapyが選出されたことを皮切りに、現在は、抗CTLA-4抗体や、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体など、腫瘍細胞あるいは免疫担当細胞に特異的に作用する薬剤が、既に実臨床に広がっている。この現状を反映するように、本大会でも腫瘍免疫、特に免疫チェックポイント阻害薬と放射線治療の併用についての演題が見られ、いずれも興味深いものであった。会場は満席であり、注目度の高さが伺えた。
 免疫チェックポイント阻害薬の効果は目覚ましく、多種の疾患で奏効率が30~40%と、新規抗がん剤として見たときにこの数字は驚異的な数字である。しかし、換言すれば、免疫チェックポイント阻害薬だけで根治に至る症例は少ないとも言える。局所を放射線治療で、微小転移や遠隔転移は免疫チェックポイント阻害薬で治療し、放射線治療と免疫チェックポイント阻害薬の相乗効果を最大化するための戦略を検討する。このような戦略が、今後、放射線腫瘍学の大きなトピックになっていくだろう。その観点から見たとき、基礎実験あるいはトランスレーショナル・リサーチが必要不可欠となる。本大会では、放射線治療により誘導されるPD-L1発現に関する分子機構の解明や、放射線治療により誘導される抗腫瘍免疫とCTLA-4シグナルの阻害に関する研究など、とても印象に残る発表が見られ、“免疫放射線治療”の幕開けを感じさせる内容であった。

★続きはRadFan2018年2月号にてご覧ください!

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