第五回加齢画像研究会報告

2016.11.28

第五回加齢画像研究会の参加レポートを山口久美子先生(東京医科歯科大学)にご寄稿頂きました!

関西医科大学枚方校舎
はじめに
 本稿では、2016年10月8日(土)に、関西医科大学枚方校舎(図1)で開催された第五回加齢画像研究会について報告させていただく。今回の当番世話人は、関西医科大学の米虫 敦先生であった(図2)。放射線科・美容外科・解剖学者が発起人となって2012年に発足した研究会も5回目となり、今年からは整形外科系のセッションも加わり発展してきている。
 今回のテーマとして、顔面加齢の画像評価、乳房の加齢変化、骨盤底筋の加齢画像、五十肩のIVRの4つが挙げられており、6セッション14演題の多岐にわたる充実した内容であった。
米虫 敦先生(関西医科大学)
セッション1 骨盤・乳房
 セッション1の1つ目の演題として、骨盤底筋の解剖と加齢について、東京医科歯科大学臨床解剖学分野で行われている骨盤底筋の付着に関する詳細な解析結果内閉鎖筋の表面から起始しているものの他に骨盤の骨から起始しているものもあった。約半数では仙棘靭帯がまばらであった。仙棘靭帯は骨盤臓器脱の手術において内臓を持ち上げる支えとされることがあるが、靭帯の個体差を認識した上での治療が望まれる。骨盤底筋の厚みや付着について、若年成人と高齢者の画像所見を比較すると、筋の厚みや付着に違いがある。近年、解剖体として研究することができるのは高齢者にほぼ限られる。解剖と画像をうまく使うことが臨床的な手技の開発につながり、より良い医療につながると考えられる。
 引き続き、乳房についての演題が2つ続いた。関西医科大学総合医療センター乳腺外科の山本大悟先生による、乳房の解剖と手術と加齢、乳腺外科の立場から、では、若年者と高齢者では乳がんの見つけやすさも手術の容易さも大きく異なる、について、山口より報告させていただいた。解剖体を比較すると、骨盤底筋が付着する部位は、教科書で見られるものと異なる場合が多い。教科書的に記載されている「肛門挙筋腱弓」という脚を動かすということをお話いただいた。実際の手術ビデオの供覧もあり、わかりやすく興味深い内容であった。聖マリアンナ医科大学附属研究所ブレスト&イメージング先端医療センター附属クリニック放射線科の印牧義英先生による、乳房の加齢画像:体位による変化について、では、仰臥位で撮影するCTと腹臥位で撮影するMRIにおける乳房の形態について20~80歳代まで解析した結果をお話いただいた。年齢に相関してCTとMRIの差が大きくなること、出産経験ありのほうがCTとMRIの差が大きくなること、加齢とともにクーパー靭帯が見えなくなるなど、具体的な画像とともにわかりやすくお示しいただけた。

★続きはRadFan2016年12月号にてご覧ください!