第8回DIRECTセミナーレポート

2012.10.29

2012年9月23日、東京都品川区で開催された第8回DIRECTセミナーの参加報告を、船曵知弘先生にご執筆いただきました!

3グループに分かれて50分×3回のワークショップ
iPad(トライフォー社製のProRad Nadia cloudを使用)での確認
第8回DIRECTセミナーレポート
済生会横浜市東部病院救命救急センター
船曵知弘

DIRECT研究会によるセミナー
 DIRECT研究会は昨年7月からセミナーを開始し、今回は画像診断コースとして「絶対に見逃したくない救急病態の見方」というテーマで行った。DIRECT研究会の「DIRECT」とは、「Diagnostic and Interventional Radiology in Emergency、Critical care、and Trauma」の頭文字からとっており、主に初療に携わる医師を対象として、画像診断とIVRに関してその普及と質の向上により、救命率の改善を図るべく、有志で立ち上げた研究会である。24時間365日放射線科医が常駐している施設は少なく、緊急IVRが必要な場合、オンコールの放射線科医が到着するのを待たなければならない。しかしながら、救急の現場では、時に待てない状況もあり、その様な場合初療医(救急医・内科医・外科医など)がオンコールの放射線科医が到着するまでに、どのような「つなぎ」を行うことができるのかをレクチャーや症例検討を通して学ぶ会である。血管造影のシミュレータを用いてのハンズオンも受講生にとっては魅力である。これまで開催してきたセミナーでもIVRに関するセミナーが多く、来年2月には、いよいよブタを用いて生体でのIVRトレーニングを行う予定である。
 また、夜間休日の救急画像診断に関しても、初療医が自ら読影し、判断を決めなければならない。画像機器の進歩により特にCTは不可欠な診断モダリティであるが、これを専門にしている初療医は少なく、また系統的に画像読影のトレーニングを行う機会も少ないため診断に苦慮することも少なくない。外傷診療だけでなく、内因性疾患においても、詳細な画像読影が求められる。そのような初療医を対象として、今回画像診断セミナーを行った。

第8回DIRECTセミナー
 受講生は15名と一見少なそうに感じるが、少人数に分けてディスカッションができる最大人数と考えている。募集開始から6時間を経たずして申し込みがいっぱいとなり、キャンセル待ちも発生した。事前に画像をクラウド上で各自のコンピュータからアクセスして読影を行い回答する。全18問あり、中には正常例も含まれている。正常例が含まれていないと回答する受講生としてはどこかに異常があるだろうという視線で画像をみてしまう。画像の異常所見、診断、ディスポジションなどを各自考えて、回答を事前送信する。セミナーの受講生は、北は群馬県、西は徳島県・鳥取県など遠方からも参加した。会場は大崎で行われ、駅からのアクセスも良く、非常に綺麗な環境であった。
 当日は、はじめに全体で「見落としのメカニズム」に関するレクチャーを行い、その後5人ずつ3グループに分かれて50分×3回のワークショップとなった(図1)。18症例のうち、扱う疾患としては、クモ膜下出血、急性大動脈解離、肺塞栓症、急性虫垂炎、消化管穿孔、イレウスなどどれも救急外来で頻繁に遭遇する、もしくは頻度は少なくても生命に関わるような病態ばかりである。どのような疾患を忘れてはいけないのか、そのためにはどのような所見に気をつければ良いのか、どのように画像を読むと見落とさないのか、などに関して解説した。用いた症例は次回以降のセミナーでも取り上げる症例であり、ここで具体的に説明できないのが残念であるが、興味のある方はぜひ参加をおすすめしたい。このセミナーが他のセミナーと大きく異なるのは、各受講生1人に対して1台ずつiPadが配布(もちろんセミナー中だけ)され、再度レクチャーを聞きながら自分のペースで画像を確認できることである(トライフォー社製のProRad Nadia cloudを使用)(図2)。通常の講習会では画像は、レクチャーする側が自分のプレゼンしたいように、もしくはキーとなる断面だけを見せ、かつその画像のウインドウ幅ウインドウレベルは調節されたものである。このセミナーは、レクチャーを受ける側が自分のペースで、自分のやりたいようにウインドウ幅やウインドウレベルを変えながら画像を再確認できる。診療中に読影する際にも自分でウインドウは変更するものであり、非常に実践的な読影講習である。このような試みは画期的であり、今後このような画像診断を行うセミナーでは必須の形態になると思われる。
 また、3つのワークショップで解説されるのは事前に与えられた18症例中の13症例だけであり、残りの5症例に関しては、3つすべてのワークショップのレクチャーを聞いたあと、再度読影を各自で行なってもらう(チャレンジ読影)。これにより事前に自分で読影を行ったのと、レクチャーを聞いたあとに再度読影するときの感覚の違いを実感してもらうことができる。

今後のDIRECTセミナー開催計画
 セミナー終了後のアンケートが非常に好評であったため、今後も同様な開催形態で、更によりよい環境を目指し、継続していく予定である。今後の画像診断セミナーの開催予定としては、現時点では1月を目標に準備を進めている。今回は都内での開催で、遠方からの受講生には交通の便で大変であったが、次回もう一度都内での開催で足場を固めて、その後地方での開催も視野に入れて計画中である。

※続きは「Rad Fan2012年12月号」(2012年11月末発売)にてご覧下さい。