ソニー、業界初医療有機ELモニタ「PVM-2551MD」発表

2011.09.16
細井明日香氏
市川 潔氏

PVM-2551MD
PVM-2551MDと液晶モニタの比較
左のPVM-2551MDは右の液晶モニタと比べて薄い設計となっている
 ソニー(株)は9月14日、ソニー高輪オフィス(東京都港区)にて医療用モニタの新製品「PVM-2551MD」について記者発表会を行った。
 はじめに、細井明日香氏(ソニービジネスソリューション(株)営業・マーケティング部門メディカル営業部メディカルソリューション課)より、新製品についての説明が行われた。同氏はまずソニー(株)が有機ELモニタの大型化を実現した経緯と、映像制作・業務用モニターとして既に市場に導入している実績を紹介。同氏は「その映像技術を用いて、有機ELを採用した業界初の医療用モニタを開発した」と述べた。更に「現在主流である液晶モニタと比べ、有機ELは動画応答に優れており、また正確な黒色を再現できることで、高いコントラストの表現を可能とした」と「PVM-2551MD」の医療用モニタとしての有用性を示した。また「低信号でも色の再現が広いため、正確な色の確認が可能であり、暗い映像でも正確に表現することができる。これは血管などの表示への有用性が期待できる能力である」と医療用モニタに有機ELを採用したメリットを説明した。
 また、「PVM-2551MD」では、ソニー(株)独自の技術である「スーパートップエミッション」を用いたことにより、有機ELモニタの弱点である湿気などにも強い構造となっており、耐久性を高めている。デザインについても医療現場での使用を想定しており、モニタ上部ではなく背面に排熱口を設置して、薬液やほこりが入りにくい構造になっている。また、画面部はフルフラットサーフェイスを採用し、また保護パネルによって画面を傷から守り、汚れを拭き取りやすくするなど、衛生面の良さ、安全性、設置性の良さを考えた設計となっている。
 細井氏は「PVM-2551MD」について各国の医療安全規格を取得していると紹介し、「高電圧な電気メス使用時の、映像乱れなどを軽減するために、医療モニタ専用回路を搭載している。医療現場での様々な環境での使用に耐えられる製品である」と語った。 更に同モニタは医療現場で求められる、二画面表示機能や左右反転機能を有しており、特に手術室での術者の要望に広く応えることが可能。また、内視鏡との接続に多く使用される「DVI-D」が標準装備されており、医療機器との接続に幅広く対応できるインターフェースとなっている。導入ターゲットは内視鏡向け、手術室モニタリング向けを想定しており、11月9日に発売予定(オープン価格)である。
 細井氏の製品説明の後、「PVM-2551MD」と液晶モニタを並べ、実際の画像の違いを見るためのデモンストレーションが行われた。その中で超音波診断装置を使用した映像も紹介された。市川 潔氏(ソニー(株)プロフェッショナルソリューション事業本部メディカルソリューション事業部企画マーケティング部商品企画課)は「超音波診断装置で撮影された動画では、有機ELモニタは液晶モニタに比べ、高い動画応答性と黒色表示によるコントラストを示す。超音波診断装置用の医療用モニタとしても高い評価をいただいている」と解説を行い、医療用モニタに有機ELを採用することのメリットを強調した。

左:有機EL医療用モニタ「PVM-2551MD」
右:液晶モニタ