日立製作所と米国メイヨー・クリニック、北米初の重粒子線治療システムの納入に関する基本合意書を締結

2019.11.20

 (株)日立製作所(以下、日立)と米国の大手総合病院であるメイヨー・クリニック(Mayo Clinic)は、北米初となる重粒子線治療システムの納入に関して基本合意書を締結した。重粒子線治療システムは、メイヨー・クリニックのフロリダ州ジャクソンビルにある病院向けに建設される予定である。

 重粒子線治療は1970年代に米国で研究が開始されたが、現在、北米で治療を行っている施設はなく、アジアやヨーロッパのいくつかの施設で治療を行っている。

 「メイヨー・クリニックは、フロリダ州、ミネソタ州、アリゾナ州に拠点を置く、NCI(National Cancer Institute)指定総合がんセンターとして、北米初の重粒子線治療システムを導入する使命があります。重粒子線治療は、従来、治療が難しかった患者を治療する方法として、大きな可能性を秘めています」と、メイヨー・クリニックのジャンリコ・ファルジアCEOは述べる。

 「深刻で複雑な悩みを抱える患者に革新的な治療を提供することは、メイヨー・クリニックのDNAです。重粒子線治療を患者に提供することを可能にする日立との長年のパートナーシップを誇りに思います」と、メイヨー・クリニック・フロリダのケント・ティーレンCEOは述べる。

 メイヨー・クリニック・フロリダの放射線治療科長スティーブン・バスカーク氏は、「メイヨー・クリニックの研究者は、複数の治療法の組み合わせや新しい治療法を含めて、さまざまな種類のがんに対する重粒子線治療の有効性を評価できます」と述べる。

 日立の執行役副社長の小島啓二氏は、「メイヨー・クリニック・フロリダに北米初の重粒子線治療システムを納入することは非常に光栄です。日立は日本で重粒子線治療システムの納入実績があり、既に治療が行われています。さらにアジアでは、2施設に重粒子線治療システムの設置を予定しています。日立が持つ重粒子線治療システムの実績やデジタル技術、メイヨー・クリニックとのパートナーシップを通じて、北米だけでなく世界中で、先進的ながん治療の実現と社会価値の向上に貢献できると確信しています。引き続き、日立はメイヨー・クリニックとのパートナーシップを強化していきます」と述べる。

 ミネソタ州ロチェスターのメイヨー・クリニック放射線治療科長のナディア・ラック氏は、「炭素を用いる重粒子線治療は、陽子やヘリウム、その他の粒子を含む粒子線治療の一種です。重粒子線治療は、従来の放射線療法に耐性のあるがんにも治療効果を発揮します。がん細胞に集中して照射することで、がん細胞に隣接する正常組織への影響を抑えることができるため、放射線の影響を受けやすい器官周辺のがん治療に適しています。メイヨー・クリニックの放射線治療医および医学物理士は、アジアとヨーロッパで長年、重粒子線治療を研究しており、治療計画と治療に関する高度な専門知識を有しています」と述べる。

●日立の粒子線がん治療システムに関するホームページ
http://www.hitachi.co.jp/products/healthcare/products-support/pbt/

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