GEヘルスケア、より安全で正確ながん免疫療法に向け、ヴァンダービルト大学メディカルセンターと提携

2019.01.21

• 人工知能(AI)を活用したアプリケーションで、治療前に個別の患者が免疫療法にどのように反応するかの予測を支援
• 提携により、不必要で高額な治験の失敗を低減し、免疫療法承認の迅速化を図りながら、同療法の治験と治療に適した患者の選別が可能に

米国シカゴおよびナッシュビル–2019年1月6日
 本日、GEヘルスケアとヴァンダービルト大学メディカルセンター(VUMC)は、より安全で正確ながん免疫療法の実現に向け、5年間の提携を発表した。特定の患者に対する免疫療法の効果とその悪影響の両方について、治療の開始前に、その予測を支援する複数の診断ツールを開発する予定である。

 これが開発されれば、医師は免疫療法の対象を適切な患者に絞り、有害で効果のない高額の治療過程を避けることができるようになる。免疫療法は、免疫機構を利用してがん細胞を認識、攻撃するため、従来の治療よりも効果的であるといえるが、多くの場合奏効率が低く、副作用が強く出ることがある*1。

 GEヘルスケアとVUMCは数千人のVUMCのがん患者の免疫療法の治療応答性を遡って分析し、それを匿名処理した人口統計学的特性、ゲノム、腫瘍、細胞、プロテオーム、イメージングの各データと相関させる。さらに、このデータを利用して医師が患者各個人に最適な治療を特定するのを支援するAIを活用したアプリケーションを開発する予定。 それと並行して、GEヘルスケアとVUMCはポジトロン断層撮影(PET)イメージングトレーサーを新たに開発。これをアプリケーションと一緒に使用すれば、医師が治験のためにがん患者を層別化しやすくるという事になる。現在、薬剤を市場に出すには、平均して12年*2、約20億ドル*3 がかかる事になる。多くのケースで、免疫療法の治験参加に不適切な患者が採用され、不必要な費用が発生するとともに、新たな治療法の承認が遅れている。

 PETトレーサーは最終的には、日常的な診療で免疫療法の効果をモニタリングするために使用されることも期待されている。ヴァンダービルト大学メディカルセンターのセンター長兼最高経営責任者(CEO)であり、ヴァンダービルト大学医学部長ジェフ・バルサー博士(MD、PhD)は、以下のように述べている。「免疫療法はかなり有望ですが、現在のように治療に対して応答性を予測できない患者がいる状況では、罹病率の上昇とコストの増加にもなります。今回の提携で両組織の強みを活かして、特定の療法に対して患者がどのように応答するかを医師がより正確に予測できる新たなツールを開発すれば、個々人に合わせたがん治療を推進するチャンスが生まれます。」

 GEヘルスケアのプレジデント兼最高経営責任者(CEO)キーラン・マーフィーは、以下の通り述べている。「GEヘルスケアとヴァンダービルトはそれぞれのデータサイエンス、ゲノム、イメージング、そして細胞分析の能力を結集して、臨床での意思決定の改善を図ります。今回の提携は、治療法のイノベーターや医療提供者が使用するツール、技術、そしてデータの統合を高めるすばらしい事例です。」

 この提携では、GEヘルスケアが幹細胞移植症例数の多いヴァンダービルト・イングラムがんセンターに、自動化・デジタル技術を提供することも予定されており、この技術によりプロセスの自動化、ワーフクローのデジタル化、スループットの向上、業務の工業化を行って、幹細胞移植組織の製造業務の生産性、効率、さらにコストを改善が可能となる。最初の分析アプリケーションのプロトタイプは2019年末までに提供し、PETトレーサーのプルーフオブコンセプトは2020年末になる予定である。

*1 https://www.cancer.net/blog/2018-02/what-you-need-know-about-immunotherapy-side-effects
*2https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/
*3 https://www2.deloitte.com/us/en/pages/life-sciences-and-health-care/articles/measuring-return-from-pharmaceutical-innovation.html

●お問い合わせ先
GEヘルスケア株式会社
URL:http://www3.gehealthcare.co.jp/