MathWorks、MATLAB/Simulink製品ファミリーのRelease 2017bを発表

2017.09.25

~ディープラーニング機能の強化により、モデルの設計、学習、および配布が容易に~
 MathWorksは本日、「Release 2017b(以下R2017b)」を発表した。このリリースには、MATLABおよびSimulinkの新機能、6つの新製品、さらにアップデートおよびバグフィックスが行われた86製品が含まれる。また、ディープラーニングの重要な新機能が追加されており、エンジニア、研究者、およびその他の分野の専門家は簡単にモデルの設計、学習および配布を行えるようになる。
<ディープラーニングのサポートについて>
 R2017bにおけるディープラーニングの具体的な特徴、製品、および機能には以下が含まれる。
・Neural Network Toolboxに、有向非循環グラフ(DAG)および長期短期記憶(LSTM)ネットワークなど、複雑なアーキテクチャのサポートが追加され、GoogLeNet などの一般的な事前学習済みモデルへのアクセスが可能になる。

・Computer Vision System Toolboxの画像ラベル付けアプリケーションが提供する対話型の便利な方法で、イメージのシーケンス内のグラウンド・トゥルース・データにラベルを付けることができる。また、オブジェクト検出のワークフローに加え、画像内のピクセル領域を分類し、セグメンテーション結果を評価および可視化するための、ディープラーニングを使用したセマンティックセグメンテーションもサポートされる。

・新製品である「GPU Coder」は、ディープラーニングモデルをNVIDIA GPU用 CUDAコードに自動変換する。社内のベンチマーク*1により、ディープラーニングインターフェイス用に生成されるコードのパフォーマンスが、配布モデルにおいてTensorFlowの7倍、および、Caffe2の4.5倍、であることが示されている。

 事前学習済みモデルは、R2017aで導入された機能と合わせて、転移学習に使用することができる。これには、たたみ込みニューラルネットワーク(CNN)モデル(AlexNet、VGG-16、VGG-19)、およびCaffeよりインポートしたモデル(Caffe Model Zooなど)が含まれる。モデルの開発は、イメージ分類、オブジェクト検出、回帰などのためにCNNを使用する場合を含め、ゼロから行うことができる。

 MathWorks MATLABマーケティングディレクターのDavid Richは以下のように述べている。「スマートデバイスとIoTの増加に伴い、設計チームはよりインテリジェントな製品やアプリケーションを作成する必要性に迫られています。そのためには、ディープラーニングのスキルを自ら身につけるか、ディープラーニングの専門知識を持つ外部チームに頼る必要がありますが、外部チームはアプリケーションのコンテキストを必ずしも理解していません。R2017bを使用すれば、エンジニアリングチームやシステム統合チームは、MATLABの使用をディープラーニングまで拡張できるため、設計プロセス全体の管理を向上させ、より高品質の設計をより短期間で作成できるようになります。事前学習済みのネットワークを使用し、コードおよびモデルを共同で開発し、GPUおよび組み込みデバイスに配布することができます。MATLABを使用すれば、品質の向上と同時に、グラウンドトゥルースラベルの作成を自動化することにより、モデルの開発時間を短縮することもできます」。

<その他のアップデート>
R2017bでは、ディープラーニング以外にも、主要となる他の領域において次のような一連のアップデートが行われている。
・MATLAB によるデータ解析
新製品のText Analytics Toolbox、拡張性に優れたデータストア、機械学習向けビッグデータのプロットとアルゴリズム、およびMicrosoft Azure BLOBストレージのサポート

・Simulink によるリアルタイム ソフトウェアのモデリング
スケジューリング効果のモデル化および、ソフトウェア環境のための組み込み可能なコンポーネントの実装

・Simulink による検証と妥当性確認
要求仕様のモデリングのための新しいツール、カバレッジ解析のテスト、および準拠チェック

アップデートの一覧については、R2017bのウェブサイトをご参照頂きたい。

*1 社内ベンチマークは、TitanXP GPUおよび Intel(R) Xeon(R) CPU E5-1650 v4(3.60GHz)を使用して、AlexNetの推定パフォーマンスに対して実行した。使用したソフトウェアバージョンは、MATLAB(R2017b)、TensorFlow(1.2.0)、Caffe2(0.8.1)。ベンチマークでは、GPUで高速化された各ソフトウェアバージョンを使用した。すべてのテストは、Windows 10上で実行した。

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