日立、世界トップクラスのがん専門病院である米国MDアンダーソンがんセンターが頭頸部がんの放射線治療に関わる共同研究に合意

2017.06.07

 (株)日立製作所(以下、日立)の100%子会社で米州においてヘルスケア事業を統括する日立ヘルスケアアメリカズ(Hitachi Healthcare Americas Corporation)と、世界トップクラスのがん専門病院である米国のMDアンダーソンがんセンター(MD Anderson Cancer Center、米国テキサス州ヒューストン/以下、MDアンダーソン)は、頭頸部がんのX線と陽子線による放射線治療の臨床試験に関わる共同研究を実施することで合意した。
 本共同研究は、頭頸部がんの患者に対して、X線と陽子線の2種類の放射線を用いた治療を行い、治療効果や副作用を比較するもので、MDアンダーソンの放射線治療学教授で陽子線治療センターの医療管理者であるSteven J. Frank 博士が主導し、MDアンダーソンをはじめとする10医療機関で実施する予定だ。

 MDアンダーソンのSteven J. Frank 博士は、「今回の研究に対する支援に感謝します。このような、複数の治療法の比較検証は、放射線を用いたがん治療ではほとんど行われておらず、きわめて先駆的な取り組みとなります。私たちは、長期にわたる協力関係で、これまで、スポットスキャニング照射技術を用いた患者2,000人を含む7,500人以上の患者を陽子線で治療してきました。本年、陽子線の治療を開始して11 年を迎えることができましたが、引き続き協力することで、陽子線治療の優位性に関する知見を得ることができると確信しています。」と述べている。

 日立の執行役常務 ヘルスケアビジネスユニットCEOの渡部眞也は、「15年にわたるMDアンダーソンとのパートナーシップにより、日立は、陽子線がん治療システムのリーディングカンパニーへと成長しました。今後、MDアンダーソンとの協創により、経験を積み重ね、陽子線治療の枠を超えた新たな価値を創造し、世界の医療にイノベーションを起こしていきます。」と述べている。

 今後、日立は、今回のMDアンダーソンとの共同研究の成果を活用し、陽子線治療だけでなく、超音波診断装置やMRIシステムなどの画像診断装置や、ITを活用したサービスなど、日立の社会イノベーション事業の注力分野の一つであるヘルスケア分野の研究開発を加速させ、医療の発展に貢献していく。


●スポットスキャニング照射技術および強度変調陽子線治療について
スポットスキャニング照射技術とは、陽子線のビームを拡散させるのではなく、細い状態のままのビームを用い、照射と一時停止を高速で繰り返しながら順次位置を変えて照射する技術である。強度変調陽子線治療(IMPT:Intensity Modulated Proton Therapy)は、スポットスキャニング照射技術を用いた陽子線治療の一種、複数方向から照射する陽子線の強度分布を自在にコントロールすることにより、病巣の形が複雑な場合や、正常組織が隣接しているような場合にも線量を病巣に集中し、正常組織への線量を低減できる。MDアンダーソンがんセンターでは、2008年5月から、強度変調陽子線治療を開始している。

●MD アンダーソンがんセンターについて
MDアンダーソンがんセンターは、がんの治療法として、放射線治療に先駆的に取り組んでおり、放射線治療の最先端を担っています。MDアンダーソンがんセンターの陽子線治療センターは、世界最大規模の陽子線治療施設であり、より高度な治療のための研究や、放射線治療の専門家を育成するための教育も行っている。陽子線治療センターでは、2006年5月の治療開始から現在までに7,500名以上の患者を治療している。

●お問い合わせ
(株)日立製作所 ヘルスケアビジネスユニット 放射線治療システム事業部 [担当:藤崎、松野]
〒110-1105 東京都台東区東上野二丁目16番1号 上野イーストタワー
電話:03-6284-3741(直通)
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