日本メドトロニック、カプセル型で世界最小サイズのペースメーカ「Micra®経カテーテルペーシングシステム」の薬事承認を取得

2017.02.17

リードを使わず心臓内に留置

 日本メドトロニック(株)が本日、世界最小のペースメーカ、メドトロニックMicra(マイクラ) 経カテーテルペーシングシステム(以下 Micra TPS)に対する薬事承認を受けたことを発表した。Micra TPSは、小型ペーシング技術を利用し、本体を皮下に植え込むのではなく、カテーテルを用いて心臓内に送り込み、直接心室に留置できる。これにより、従来のペースメーカと異なり、胸部の皮下ポケットやペースメーカ本体と心筋をつなぐリード(導線)に関連する合併症のリスクがなくなる。本製品は、右心室に留置されるシングルチャンバ型ペースメーカで、1.5テスラ及び3テスラMRI全身撮像に条件付で対応している。

 杏林大学医学部付属病院の循環器内科教授であり、Micra TPS国際共同治験の運営委員会のメンバーである副島京子氏は、「ペースメーカは、約60年の歴史の中で、小型化やペーシング技術の向上など、大きく発展してきました。一方で、リードの断線、静脈閉塞、皮下ポケットからの感染は依然として大きな問題であり、リードがなく、直接心臓内に植え込む新しいタイプの開発が切望されていました。この度、従来品と同様の機能で重さ1.75g、1ccにまで小型軽量化された本製品は、当院を含む国際共同治験施設での植込み経験により、安全性と有効性が確認されました。また、皮下ポケットやリードによる生活制限がないことは患者さんに安心感を与え、生活の質の向上に寄与することが期待できます」と述べている。

【製品の特長】
 Micra TPSは、カプセル型で、小さなフックで心壁に取り付けられ、先端の電極を通じて電気刺激を送り、ペーシングを行う。従来のペースメーカは、外科手術で皮下ポケットを設けて装置を植え込み、静脈を通して、リードを心臓内に留置する必要がある。本製品は、このような皮下ポケットもリードも不要なため、それらに関連した合併症のおそれがない。また、外科手術による胸部の傷もなく、外からは装置のふくらみもないため、患者さんが外観上判別できず、装置を意識することなく生活できる。また、Micra TPSの電池の予測寿命は約12.5年i)で、追加留置の際は、電池が消耗した一方の製品を電源オフにすることで、電気的にデバイス同士が互いに干渉することなく、追加のデバイスの留置ができる。


Micra Transcatheter Pacing System (販売名:Micra 経カテーテルペーシングシステム)
医療機器承認番号:22900BZX00047000

従来のペースメーカ Micra TPS

【臨床試験結果に関して】
 2015年の11月、メドトロニックMicra TPSの国際共同治験から得られたデータがNew England Journal ofMedicineに発表されii)、米国心臓協会学術総会(American Heart Association Scientific Sessions)の最新の特別報告で公開された。本報告によるとMicra TPSの植込みは患者さんの99.2パーセントで成功し、安全性と有効性の評価項目を満たした。

2016年8月、欧州心臓病学会(European Society of Cardiology congress)で、これらのデータをさらに補強する長期臨床成績が示された。この治験は、744人の患者さんが登録され、単一群、19ヶ国、56の医療機関において、12ヶ月間の継続的なフォローアップを通じて、安全性と有効性が評価された。

本製品は、国際臨床試験から得られた初期のデータに基づいて2015年4月に欧州での薬事承認を取得しており、米国では2016年4月に取得している。

i),ii) Dwight Reynolds, Gabor Z. Duray, Razali Omar, et al. A Leadless Intracardiac Transcatheter Pacing System. New England Journal Med.
Published online November, 2015

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日本メドトロニック株式会社
URL:http://www.medtronic.co.jp