エレクタ、次世代の定位放射線治療機器 「Icon™ (アイコン)」による日本初の治療が古川星陵病院で開始

2016.11.28

 東京-2016年 11月28日- 医療法人華桜会 古川星陵病院(宮城県大崎市)は、新たに導入したレクセル ガンマナイフ®の最新機種「Icon™(アイコン)」1による日本初の臨床使用を本格的に開始した。 第1例目の患者は転移性脳腫瘍の59歳の男性であった。

 「Icon™の導入により、従来のレクセルフレームによる固定に加え、非侵襲のマスクシステムによって頭部を固定したガンマナイフ治療が可能になり、今まで治療が難しかった比較的大きな腫瘍を分割照射で治療できるようになります。」古川星陵病院 副院長 鈴木二郎記念ガンマハウス施設長(脳神経外科)の城倉英史先生はこのように述べている。  「ガンマナイフは現在、国内54病院で使われていますが、いち早くIcon ™を導入したことにより、当院の競争力が高まると考えています。」

 Icon™導入後一週間の症例数は10例、そのうち2例がフレームレス固定による治療であった。これらの治療はすべて単回照射であったが、Icon™はコーンビームCT(CBCT)および高度なモーションマネージメントシステムが新たに導入されており、2週目以降は分割照射による治療が予定されている。

 「マスクシステムで頭部を固定した治療においても、既存のレクセルフレームによる固定と同等の高い精度を確認することができました。」と城倉先生は指摘する。「マスクシステムを用いた治療では、フレーム固定と比較して治療準備にやや多くの手順を要しますが、そのワークフローは極めてシンプルで効率的です。1人の患者の頭部をレクセルフレームで固定しながら、並行して別のスタッフが別の患者にマスクの作製をすることにより、準備段階での待ち時間を短縮することが可能です。」

 古川星陵病院でガンマナイフ治療を行う医師は、Icon™の導入によって、これまでのガンマナイフでは困難だった分割照射による治療を行うことに期待を寄せている。

 「今後は、分割して照射を行うことが適切な大きな腫瘍を効果的に治療することができます。」さらに城倉先生は続ける。「各照射前にCBCTスキャンを行うことで、確実に目標をとらえることができます。さらに、赤外線モーションマネージメントシステムが患者の頭の動きをすべて監視するため、安全性も高まります。これまで我々に紹介するのをためらうようなサイズの腫瘍に関して、紹介医の敷居がかなり低くなったと考えます。」

 同病院では、1991年以降、3世代のガンマナイフシステムを使って、約7,500例の治療を行っている。

 エレクタではIcon™の導入を通して、「命をささえる – We care for life –」というミッションのもと、患者さんのさらなるQOL向上を目指し、患者さんや医療関係者への貢献を続けていく。

以上

1販売名: レクセル ガンマナイフ パーフェクション医療機器製造販売承認番号22000BZX00768000

参考資料
Icon™ (アイコン)外観



定位放射線治療について
 定位放射線治療とは、定位放射線照射と呼ばれる放射線治療法の一つで、病巣に対し多方向から放射線を集中させ、高精度で照射する方法。通常の放射線治療に比較し、周囲の正常組織への線量を極力減少させることが可能だ。当初は、脳病変を対象に広まった治療法だが、現在では治療機器の進歩によって体幹部病変の定位放射線治療も多数行われている。

ガンマナイフ治療について
 ガンマナイフは、1968年にスウェーデン カロリンスカ大学の脳神経外科医ラース・レクセル(Dr. Lars Leksell)によって開発された定位放射線治療装置。

 ガンマナイフによる定位放射線治療は、ガンマ線(γ線)を用いて虫眼鏡の焦点のように病巣部に対して集中的に照射することで、周辺の正常組織への被曝を最小限に抑えることができる。ガンマナイフユニット内には、約200個のコバルト60線源が半球状に配置されており、これらの線源から発生したガンマ線が病巣部を集中的に照射する。照射時に貫通する頭皮、骨、脳、血管、神経など重要臓器への影響は少なく、照射を受けた病巣を徐々に凝固・壊死させる。

 1本1本のガンマ線は細いビームなので、周囲の正常な細胞にはほとんど影響を与えず、ビームが集中する箇所(病巣部)のみが、まるでナイフで切り取られたかのように治療できるため、“ガンマナイフ”という名前がついた。開頭手術を行わなくとも脳内の病変を治療・コントロールでき、患者さんの負担がより少ない治療法。

 ガンマナイフは、ターゲットへの照射の誤差0.5mm以下と高い精度が確保され、重要な組織が密集している頭蓋内においても正常な組織に与える影響を最小限にして治療を行うことができる。また手術が困難である脳深部の病巣に対しても治療が可能。

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