スペクトラテック、世界初、ファイバーレスによる全頭測定型fNIRS装置の普及価格帯の製品化に成功

2014.05.09
Spectratech OEG-APDシリーズ
 (株)スペクトラテックは世界で初めて光検出器に超高感度APD(アバランシェ・フォトダイオード)を採用した小型のファイバーレスによる全頭測定型functional NIRS装置(以下fNIRS装置)の開発に成功。同社は本技術をSpectratech OEG-APDシリーズとして製品化した装置。同シリーズは新しい設計思想に基づくセンサー部のパレット・モジュール構造を採用。新パレット・モジュールは頭部領域を分割適合するように設計され、前頭部、側頭部、頭頂部、後頭部から全頭部に至るまで拡張的な測定に対応できる。
 第一弾として脳血流測定点を最少17CHから、37CH、54CHまで拡張性を持たせたSpectratech OEG-17APDの受注をこの5月から開始する。
 近赤外光を用いて脳血流変化を計測するfNIRS技術は脳の活動状態を可視化できるため多くの脳研究に活用されている。4月には「光トポグラフィー検査を用いたうつ症状の鑑別診断補助」が保険適用となり、基礎的な脳科学の世界が臨床現場でも認知されるに至った。
 これまで、同社は前頭部専用の小型・低価格なSpectratech OEG-16シリーズを研究者に提供してきた。低価格ながらも高性能で高い再現性を有するOEG-16シリーズは多くの脳科学の研究者から支持されている。
 最近では、多くの脳科学研究者から全頭部位で測定したいとのご要望を頂くようになってきました。一方、運動野や言語野などの特定の領域に限定された高感度fNIRS装置への要望も根強くあった。これらの要望に答えるべくSpectratech OEG-APDシリーズはAPD採用による飛躍的な高感度化を達成するとともに、全頭測定に対応するものとして開発された。
 これまで市場に出された全頭測定型fNIRS装置は、頭部関心部位に装着した光ファイバーを介して装置本体に導光し、多数の光検出器(手のひらサイズ)によって測定するものだった。このため装置構成が大型化し、高価(数千万円程度)となり、普及の障害になっていた。
 同社は光検出部の小型化と高感度化に徹底的にこだわり、この数年基礎開発を進めてきた。その結果、検出感度を高めるだけでなく、外部ノイズが光検出器に入りこまないように、透明導電膜としてITO (Indium Tin Oxide)膜を世界で初めてfNIRS光検出窓部に採用した。この独自開発のITO-Shield技術は超高感度特性を示しながら雑音レベルが格段に低く、小指程度の光検出ユニットに収めることを可能にした。安定して頭部接触を維持でき、毛髪による感度低下の問題も緩和された。装置本体は小型ノートパソコン程度の大きさで持ち運びが容易なため何処へでも装置を持ち運び脳機能測定できる。リハビリセンター、老人施設、自動車の中、映画館、森の中といった任意の場所で測定することができるため、被験者の数、属性等を飛躍的に増大させることが可能。
 無論、OEG-16シリーズ時代から定評のある弊社独自技術であるスペクトラム拡散光変調技術により高精度で干渉性の少ない多チャンネル化fNIRS装置を実現。
今回発売の同製品は最少構成で450万円(消費税別)。年間販売見込みは50台を予定している。
 なお、同製品は最先端の脳研究向け製品で、特定の診断や治療を目的とする医療機器ではない。
 fNIRS装置は最近では医療現場を越えて心理学、教育学、言語学、保健学、介護学、スポーツ、BCI (Brain Computer Interface)など多くの研究用途で利用され注目を浴びている。同製品は幅広い分野での活躍を目指して開発された。
 同社は医療機器の開発、ファブレス製造、販売を事業とし医療、半導体、画像の研究者及び技術者を中心に集まった、スペクトラム拡散技術を利用した医療装置に関する特許など新規性の高い技術を有するベンチャー企業。
 同製品は平成24年度ものづくり中小企業・小規模事業者試作開発等支援補助金の支援を受けて開発された。

●お問い合わせ
(株)スペクトラテック
広報担当
TEL:045-471-4893
URL:http://www.spectratech.co.jp