バイエル ヘルスケア、塩化ラジウム-223 の第III 相臨床試験ALSYMPCA の結果がニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシンに掲載

2013.07.23

バイエル ヘルスケア社(本社:ドイツ、レバクーゼン)は17日、症候性の骨転移を有し既知の臓器転移のない去勢抵抗性前立腺癌(CRPC:castration-resistant prostate cancer)に対する塩化ラジウム-223のピボタル第III相臨床試験であるALSYMPCA(ALpharadin in SYMptomatic Prostate CAncer)のデータが、ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシン(NEJM:The New England Journal of Medicine)のオンライン版7月18日号に掲載されることを発表した。これらのデータに基づき、Xofigo注射液(塩化ラジウム-223)は2013年5月、米国食品医薬品局(FDA:Food and Drug Administration)により承認されている。
ALSYMPCA試験において、塩化ラジウム-223群ではプラセボ群と比較して死亡のリスクが30.5%減少し、有意なリスク減少(HR=0.695)がみられた。この全生存期間(OS:overall survival)の延長効果は、試験登録前のドセタキセルによる化学治療歴の有無にかかわらず認められた。すべての試験対象患者に標準的治療が提供され、それに上乗せして塩化ラジウム-223またはプラセボが投与された。同試験では、事前に計画していた中間解析(n=809)および最新の解析(n=921)が実施された。全生存期間の延長効果は両解析で同様に認められた。
2009年9月、同社は塩化ラジウム-223の開発および販売に関し、アルジェタ社(本社:ノルウェー・オスロ)との契約締結に至った。この契約のもと、バイエルが塩化ラジウム-223を開発し、世界各国における販売承認申請および販売を行う。米国では、アルジェタ社はバイエルと塩化ラジウム-223のコ・プロモーションを行っている。

塩化ラジウム-223について
塩化ラジウム-223は、骨転移に対する抗腫瘍効果を持つアルファ線を放出する治療用放射性医薬品である。有効成分はアルファ線を放出する塩化ラジウム-223同位体であり、カルシウムと同様に、骨転移など骨代謝の亢進した領域に骨塩(ヒドロキシアパタイト)複合体を形成する。塩化ラジウム-223の高LET(線エネルギー付与)放射線は、隣接する細胞にDNA二本鎖切断を引き起こし、骨転移に対する抗腫瘍効果が生じる。塩化ラジウム-223のアルファ粒子の放射範囲は100μm未満であるため、周辺正常組織へのダメージを抑えることができる。
塩化ラジウム-223は米国で承認され、症候性の骨転移を有し既知の臓器転移のないCRPCを適応とし、Xofigoの製品名で発売されている。塩化ラジウム-223は、現時点では欧州医薬品庁(EMA:European Medicines Agency)など、米国以外の当局からの製造販売承認は取得していない。同社は2012年12月、骨転移を有するCRPCを適応として、塩化ラジウム-223の販売承認申請をEMAに提出した。

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