GEヘルスケア・ジャパン、低侵襲のインターベンションを3D画像と専用アプリで きめ細かに支援するバイプレーン型アンギオ装置 「InnovaIGS630」、 「InnovaIGS620」を発売

2012.06.15

~高度化する低侵襲のインターベンションを3D画像と専用アプリできめ細かに支援するバイプレーン型アンギオ装置「InnovaIGS630」・「InnovaIGS620」を発売~

 医療課題の解決に取り組むヘルスケアカンパニー、GEヘルスケア・ジャパン株式会社(本社:東京都日野市、代表取締役社長:川上 潤)は、6月15日(金)、1度のX線照射で2方向の画像を同時に観察できるバイプレーン型の多目的X線撮影装置(血管X線撮影装置:アンギオグラフィーシステム)(*1)「InnovaIGS630(イノーバ・アイジーエス630)」と「InnovaIGS620(イノーバ・アイジーエス620)」を、先進の血管内治療を施行する大学病院や地域基幹病院を主対象に発売。これにより、高度化する低侵襲の脳血管内治療や不整脈治療をきめ細かに支援する新たなソリューションを提供する。

インターベンションの普及・進化で拡大する「患者に優しい」脳血管内治療・不整脈治療
 世界に先駆けて進む日本の高齢化や患者のQOL(Quality of life)に対する意識の高まりなどを背景に、X線透視画像を見ながら血管や腫瘍などを治療するインターベンション(IVR)(*2)は、外科手術に比べて侵襲の少ない患者に優しい治療法として過去数年間にわたり着実に伸びている。また最近では、慢性完全閉塞(CTO)や従来開胸・開腹術を必要とした胸部・腹部の大動脈瘤に対するステントグラフト術が可能になるなどIVRの複雑化・高度化が飛躍的に進んでいる(*3)。なかでもIVRが重要な役割を果たしているのが頭蓋内のステント留置術(*4)と、心房細動などの不整脈に対するカテーテル・アブレーション(心筋焼灼術)治療(*5)。三大死因の1つである脳血管疾患につながる可能性のある頭蓋内動脈狭窄症の治療は従来、薬剤投与を中心とした内科的治療やバイパス術などの外科手術が一般的だったが、近年頭蓋内の微細血管にも対応する極細のステントが開発され、新たに本年4月から保険適用となった(*6)。また不整脈治療は近年では、成功率が高く安全性にも優れたカテーテル・アブレーション治療の普及が進んでおり、また本年4月からは保険点数も加算(*7)になるなど現在、被ばくや身体への負担が少ない低侵襲のインターベンションの普及に向けた取り組みが国全体で加速している。

インターベンションの高度化に伴い一段と高まるバイプレーン型血管X線撮影装置の重要性
 IVRが複雑高度化する中、この低侵襲治療を支援する血管X線撮影装置の果たす役割はますます拡大してきており、精度の高い治療を施すための多様かつ質の高いサポートが一段と求められている。特に異なる2方向のX線透視画像を映し出せるバイプレーン型装置は、Cアーム1つのシングルプレーン型に比べて複雑な手技をより安全に施行できることから、その重要性は今後ますますと高まると見込まれている。

高度化するインターベンションを3D画像と専用アプリできめ細かに支援する「InnovaIGS630/620」
 脳血管内治療・不整脈治療などますます高度化するIVRのニーズに応えるため、2D(次元)のX線透視画像に形態情報の描出に優れるCT(コンピューター断層撮影装置)やMRI(磁気共鳴断層撮影装置)などの3D画像を重ね合わせる機能や精密な画像撮影機能、ならびに各治療専用のアプリケーションを搭載し、治療計画から実際の手技までの全IVR工程において一段と的確なサポートを目指したのが、今回発売されるInnova IGS(Image Guided System)シリーズの2機種「InnovaIGS630」と「InnovaIGS620」。
 InnovaIGS630は30c×30cmのフラットパネル型デジタルディテクタ(以下FPD)を搭載した脳血管専用装置で現行のInnova 3131IQの後継機種、InnovaIGS620は20cm×20cmのFPDを搭載した冠動脈・頸部・下肢など循環器専用装置でInnova 2121IQの後継機種。InnovaIGS630はステント留置術、InnovaIGS620はアブレーション治療の一段と的確なサポートに貢献すると期待されている。
 InnovaIGS630には秒間50フレームの高解像度3D 画像を撮影可能な「InnovaCT HR(イノーバ・シーティー・エイチアール)」搭載(従来機では秒間30 フレーム)。頭蓋内ステント留置術の際も極細のステントを1本ずつクリアに描出できるため、ステントが折れたり曲がったりしていないか、血管壁に隙間なくフィットしているかといった留置したステントの状態を詳しく観察できる。

▼極細のステントを1本1本クリアに描出でき頭蓋内ステント留置術を的確に支援するInnovaCT HR

従来のステント画像


InnovaCT HR によるステント画像

 InnovaIGS620 には心拍の影響を抑えた重ね合わせ画像でより安全な不整脈治療をサポートする「EP Vision(イーピー・ビジョン)」を搭載。CT などで撮影した心房や心室、大血管の3D 画像からロードマップ(血管地図)を再構成してInnovaIGS620 の透視画像上にリアルタイムで重ね合わせる。3D 画像と透視画像の心周期をあわせることで心拍による画像のずれを最小限に抑え、より安全で迅速な治療を支援する。

 アンギオ装置による3D撮影を世界で初めて実施し、脳血管内治療分野おける世界的権威である仏ナンシーユニバーシティ ホスピタルのリュック・ピカール(Luc Picard)先生(診断・インターベンショナル神経放射線担当)は、「当院の診断・インターベンショナル神経放射線部門とGE は長年にわたるパートナーであり、私がアンギオ装置による初の3D 撮影に成功して以来、神経領域におけるインターベンションのイメージング分野において、GE はこれまで数々の革新的な技術を開発してきました。今回、新たな機能を搭載したInnova IGS シリーズが発売になることを大変嬉しく思うとともに、GE が今後もインターベンションをより的確に支援する新たな技術開発を進めてくれるのを楽しみにしています」と、今回発売するInnovaIGS630/InnovaIGS620、ならびに今後のさらなる進歩に対する期待を述べている。

【「InnovaIGS630」・「InnovaIGS620」のその他の主な特長】
1. CTやMRIで事前に撮影した患者の3D画像上に、IVR中にInnova IGSシリーズで撮影した透視画像をリアルタイムで重ね合わせる(Fusion)アプリケーション「Innova Vision(イノーバ・ビジョン)」を搭載。CTやMRIで撮影した体内の形態画像上に透視画像を極めて高い精度で重ね合わせることで、血管の位置を正確に描出できるようになるため、一段と高い精度でのIVR支援を実現。
2. 表示される画像はIVR中の患者テーブルや撮影機構部(ガントリー)などの動きにリアルタイムで追従するため、必要なロードマップ(血管地図)を繰り返し撮影することなく手技を継続可能。業界最高レベルを誇る高精度なリアルタイム追従で、検査効率を大幅に高めるとともに、患者の被ばく低減や注入する造影剤の使用量の削減など患者の負担を軽減。
3. カテーテルを繰り返し挿入する場合にも、毎回透視画像を撮影せずに重ね合わせた3D画像をもとに位置決めが可能、検査効率のアップと被ばくの低減を実現。
4. 国内の血管X線撮影装置で唯一、患者のベッドサイドに操作コンソール「InnovaCentral(イノーバ・セントラル)」を設置、3D画像の透過度やしきい値などを変更できるため、「カテーテルの先端をより見やすく表示したい」「微細な血管がどのよう出ているか詳しく確認したい」といった手技中のニーズに迅速に対応でき、検査の利便性向上に貢献(オプション)。
5. InnovaCentralで操作可能な56インチの大画面モニターを新たに搭載(オプション)。画像や各種データの表示レイアウトをサイズや配置場所に応じて120通り登録可能で、各診療科のニーズにマッチした最適な検査・治療環境を提供。

 同社では、6月14日(木)~16日(土)に名古屋国際会議場(愛知県名古屋市)で開催されるアジア・オーストラリア地域の脳血管内治療学会「AAFITN 2012」(http://www.congre.co.jp/aafitn2012/)において、先の仏ナンシーユニバーシティ ホスピタル リュック・ピカール先生によるランチョンセミナー「Find new wisdoms through old things: From historical review to newest technology」を15日(金)に開催、これにあわせて「InnovaIGS630」と「InnovaIGS620」の2機種を発売。
 現在、顧客の医療機器と当社のサービスセンターをブロードバンドで結び、装置の不具合が発生した場合に遠隔で保守・修理する「InSiteBB(インサイト・ビービー)」を提供しているが、今回この遠隔メンテナンスサービスを強化し、従来の24時間365日にわたる装置データの監視・診断のみならず、不具合が発生する前にその兆候を検知する予兆監視を強化。不具合の兆候を事前にキャッチした場合には、遠隔で該当箇所を解析し、必要に応じスタッフを出動させるという。この予兆監視によって装置のシステムダウンの削減につながると見込まれている。。結果として、スケジュール通り、確実に検査・治療を実施できるため、急な予定変更などで患者の負担を増やすこともなく、また一日に撮影できる患者数も増やせるため、病院経営効率化にも貢献すると期待されている。

 GEヘルスケア・ジャパンは本年4月に、FPD搭載多目的X線撮影装置Innovaブランドの新IGSシリーズとして循環器用の「InnovaIGS520」、全身用の「InnovaIGS530」、頭腹部用の「InnovaIGS540」とシングルプレーン型の3機種を発売。今回IGSシリーズのバイプレーン型として脳血管用の「InnovaIGS630」、循環器用の「InnovaIGS620」の2機種を先進的な血管内治療を施行する大学病院や地域基幹病院の循環器科・脳神経外科・放射線科を主対象に販売することで、高度化するインターベンションをきめ細かに支援する体制を整え、高齢化の進展で一段とニーズの高まる低侵襲治療のさらなる普及に貢献することを目指すとしている。

*1 血管造影撮影法(アンギオグラフィー)とは、血管内に造影剤を注入し、その流れをX線で撮影することで、血管の走行・形状・分布などを観察する方法で、略してアンギオともいわれる。X線を通しにくい造影剤を目的の血管に流し込んだ後にX線撮影することで、造影剤の入った部分の血管の形をクリアに映し出せる。手術をしない限り、見ることのできなかった血管の形態がほとんど身体を傷つけずに低侵襲で見られる。くも膜下出血や脳梗塞など脳血管障害、脳腫瘍、肺がん、肺梗塞、肝硬変、肝腫瘍、子宮がん、骨腫瘍、手足四肢血管狭窄などの診断に主に使用される。造影された血管をX線撮影する装置が血管X線撮影装置(アンギオグラフィーシステム:アンギオ装置)。
*2 インターベンション(IVR)とは、アンギオ装置で撮影したX線の透過像をリアルタイムに見ながら、血管内からカテーテルなどを用いて病巣にアプローチする治療法。外科手術に比べて、患者の身体への負担およびリスクが少ない。血管内に挿入したカテーテルを操作して、動脈硬化などで狭くなった血管を広げたり(血管形成)、コイルを詰めて血管が破れる恐れのある動脈瘤に血液が流れ込まないようにしたり、がん組織に栄養を与える血管の血液を遮断する(血管塞栓術)といった治療が代表例。動脈瘤、動静脈奇形、肝臓がんなどは、IVRによって外科手術なしに治療が可能になっている。
*3 出典:株式会社アールアンドディー2011医療機器・用品年鑑
経皮的冠動脈インターベンション(PCI)の症例数は毎年4%~5%の割合で増加し、08年で5.2%増の229,000症例、09年で4.1%増の238,500症例、10年で3.1%増の246,000症例。ステントグラフトの症例数は腹部で08年が2,520症例、09年で78.6%増の4,500症例、10年で28.9%増の5,800症例、胸部で08年が300症例、09年で350.0%増の1,350症例、10年で55.6%増の2,100症例と急速に増加している。
*4 頭蓋内ステント留置術は、動脈硬化により血中のコレステロールや脂肪が蓄積して、頭蓋内にある血管の血流の通り道が狭くなる頭蓋内動脈狭窄症の患者に対し、狭窄部位にステントを留置して血管を拡張する手技。
*5 アブレーション治療は、心臓の拍動リズムに異常を来して脈拍数が多くなる「頻脈性不整脈」の治療法の1つ。足の付け根などの太い血管からカテーテルを入れて、心臓内部の不整脈の原因となっている部分を小さく高周波電流で焼き切る。手術が成功すれば不整脈の根本的な治療となる。
*6 出典:厚生労働省 ホームページ 平成24年度診療報酬改訂について
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/iryouhoken15/index.html
*7 心房中隔穿刺又は心外膜アプローチを伴う経皮的心筋焼灼術の保険点数は31,350点から40,760点にアップ。

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