ドクターネット
Rad Scope 大原医療センター、月間600件もの読影業務を強力にサポートするドクターネットの遠隔読影サービス ~150名を超える読影医が翌日午前中までに質の高い読影レポートを作成~

2012.01.26
森谷浩史氏
大原医療センター
月間600件もの読影業務を強力にサポートするドクターネットの遠隔読影サービス

~150名を超える読影医が翌日午前中までに質の高い読影レポートを作成~

2010年10月から稼働開始したCT「Aquilion ONE」に合わせ、2011年4月からドクターネットの遠隔読影サービスを利用開始した大原医療センター。その使用実績やサービス活用の利点を、同院副院長の森谷浩史氏にうかがった。

CT導入による放射線科強化に対応するため
ドクターネットのサービスを利用

 大原医療センターが、ドクターネットの遠隔読影サービス「Tele-RAD」(遠隔画像診断支援サービス)と「Virtual-RAD」(クラウド型遠隔読影ASPサービス)を活用し始めたのは、CT部門を強化するため2010年10月に東芝320列CT「Aquilion ONE」を導入したのがきっかけだ。CT検査は1日あたり20~30件、月間約600件にのぼる。常勤の放射線科医である森谷氏と、非常勤医師2名によって読影が行われている。
 「Tele-RAD」(図1)を利用し始めたのは、2011年の4月から。「ドクターネットのサービスは、いつか利用したいと考えていました。元々、佐藤俊彦先生(同社前社長)と私が福島県立医科大学にいたころからの信頼関係もありましたが、1番は登録読影医の人数の多さが決め手です。人数が多い方が、より安心できると思ったからです」と森谷氏は話す。
 同院では、月間約600件のCT読影業務のうち、7割(約420件)を森谷氏が担当し、残り2割(約120件)を非常勤医師、1割(約60件)をドクターネットに依頼している。地域の開業医の紹介で外来を受診する患者は、その日のうちに検査するのが基本なので、急な検査が重なったり、集団検診で検査が増えることも多い。 「想定できない業務増加の際でも、読影医の多いドクターネットなら必ず対応してくれるから助かりますね」と森谷氏は使用感の良さを語る。また、森谷氏は「私の専門分野は肺野なので、あまり得意ではない脳と循環器領域を遠隔でお願いすることが多いです。戻ってきた読影レポートを私の所見と照らし合わせることで、私自身の勉強になっています」と語る。同社の遠隔読影サービスでは、遠隔読影医が得意分野とするサブスペシャリティの登録によるマッチング機能や、経験を積んだオペレーターが入念に割り振りすることで、常に質の高いレポートが返ってくるのが特長だ。「様々な専門領域の仲間が常にそばにいてくれる安心感があります」(森谷氏)。

図1 「Tele-RAD」の仕組み

翌日午前中までに届く質の高い読影レポート
ユーザーへの対応も誠実

 同院では、15~16時の時点で未読影のタスクを数え、その中から選んでドクターネットに読影を依頼している。同社の読影サービス「Tele-RAD」では、18時までに届いた読影依頼は、翌日午前中までには必ず読影レポートが出される仕組みだ。これにより、利用施設のスピーディな業務遂行を手助けしている。読影を依頼する際は、設置された同社専用端末が画像と依頼情報を受け取るので、送信ボタンを押すのみ。他社製のPACSやレポーティングシステムとも連携がとれており、同院の場合は専用端末上で「Tele-RAD」「Virtual-RAD」のボタンを1クリックするだけでよい(図2)。依頼施設から送信された画像は専用回線を通じて、同社のサーバ「FOCUS」へと送られる。そこで割り振りが行われ、読影が行われる。読影レポートはサービス利用施設のPACSへと送られ、他の一次読影の情報と共にレポートデータへと入っていく仕組みだ。
 「読影レポートは、てにをはを直す程度。依頼時に検査目的が不明確だった場合のみ、別の所見を書き込みます。先に読んでもらっていると、安心感がありますね」(森谷氏)。
 同社の登録読影医の数は150名以上。読影レポート作成にも、医師ごとの様々な癖がある。森谷氏は「いろいろな書き方のレポートを読めて、勉強になります。スマートな読影レポートが届くと、当院の定型文に登録することもありますね。多種多様な読影レポートを読むことは、研修医の勉強にもなります。登録読影医には著名な先生も多いので、私自身の勉強にもつながっています」と前向きに捉えている(図3)。
 これまで、読影レポートに不満がなかったかうかがったところ、一度 “異常なし”というシンプルな所見が返ってきたことがあったという。院内で勉強する研修医のため、もう少し詳しく書いてもらえないかと同社にお願いしたところ、その読影医を担当から外すという対応がとられた。「そこまでしなくても良かったのですが、私たちユーザーの意見を重く受け止めてくれたと感じました」と、森谷氏はその誠実な対応を高く評価している。

図2 専用端末を使用するスタッフ
図3 同院での読影の様子

「Virtual-RAD」を活用し
直接読影を依頼する

 同院では、クラウド型遠隔読影ASPサービス「Virtual-RAD」も利用している。このクラウド型サービスを活用すれば、インターネット環境さえあれば、いつでもどこでも読影できる。同院ではこのサービスを利用し、信頼する近隣の読影医に読影の依頼を行い、直接会ってディスカッションすることもあるという。「循環器領域の読影に関しては、特に信頼している先生がおり、どうしてもこの先生にお願いしたい、という希望にマッチしたサービスが『Virtual-RAD』でした。良く知っている先生に1クリックで遠隔で読んで頂けます。疑問点は気がねなく質問できるし、非常に質の高いレポートを頂けるので、お互いのはげみにもなります」(森谷氏)。

画像診断管理加算2を取得
業務のバックアップにも

 遠隔読影サービスを利用するメリットに、画像診断管理加算2の取得が挙げられる。「管理加算2の取得は病院経営にとって重要なことです。取得条件の1つに『常勤専門医が翌診療日までに、8割以上の読影結果を主治医へと報告している』がありますが、ドクターネットを利用することで業務パフォーマンスが上がり実現できました。加算1(70点)と加算2(180点)は、大きく違いますね。加算2がとれれば大幅に収益があがるため、ドクターネットの利用料は十分まかなえます。結果的に収益はプラスなので、コストパフォーマンスが非常に良いと言えます」(森谷氏)。
 また同院では、学会等で出張が多くなる期間に、サービスを利用する機会が増えると予想している。通常、森谷氏の不在時には非常勤医師が担当するが、学会ではその非常勤医師も不在となってしまうため、検査結果を待ってもらうしかなかった。森谷氏は「ドクターネットを活用すれば、この問題が解決します。業務が追いつかない時のバックアップとなってくれるのがありがたい。おかげで、開業医の先生方に、『何人でもご紹介ください』とお願いできるだけの余裕が生まれているのです」と語る。

今後の遠隔読影サービスへの展望

 最後に、森谷氏は今後の遠隔読影サービスについて、次のような展望を語った。「チャットなどを使って、登録読影医の先生とカンファレンスできる機能が欲しいですね。症例のフィードバックができるようになると、さらに良い」。また、近年注目を集めているCAD(コンピューター支援診断)について「例えば遠隔画像診断でCADを使えるASPサービスがあると便利でしょうね。もちろんCAD機能は完璧ではありませんが、あくまでCADの結果であると客観的に判断し読影の参考にすれば良い。こうした技術を組み合わせ、より医療の発展につなげていきたいですね」と、利用者ならではの鋭いアイデアを示していた。

 

 

【大原医療センター/施設プロフィール】
生活習慣病による心血管イベントを発症した患者の救命を図るべく、平成2年8月、福島駅から約8km北に位置する福島市鎌田に開設。循環器内科、腎臓内科(透析部門を含む)、脳神経外科、心血管外科、外科および放射線科の指導医や専門医の指導下に診療を行っている。主な検査機器は、X線単純撮影装置、超音波、CT、MRI、マンモグラフィなど。

所在地:福島県福島市鎌田字中江33
TEL:024-554-2001
URL:http://ohara-hp.or.jp/o_center/
許可病床数:195床

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