日立メディコ、MEDICONNECTION開催

2011.09.08
三木一克氏
大日方 研氏
成瀬昭二氏
川又郁夫氏
林 宏光氏
ImageConcier
ECHELON RX
SCENARIA
(株)日立メディコは9月3日、新大阪イベントホール レ ルミエール(大阪府大阪市)にて、「MEDICONNECTION」を開催した。 

MEDICONNECTIONでは(株)日立メディコの最新機器の展示と共に、最新事例を紹介するセミナー会場も併設された。

セミナー会場ではまず三木一克氏(同社代表取締役執行役社長)が「MEDICONNECTIONには、製品やシステムを実際にお使いいただくことによって、よりニーズを反映しながら、快適にご使用いただける環境を提供させていただき、お客様との距離を狭める、コネクションを深めたいという目標がある」と、開催趣旨を語った。
その後、大日方 研氏(有限会社ONM代表 大日方医院副院長)が「脳梗塞MRI信号の経時的変化~超急性期・急性期と亜急性期以降の画像比較~」と題し、講演を行った。同氏は「脳梗塞において、治療方針の決定や患者さんの予後に大きく影響するものとして、超急性期(1~6時間)、急性期(6時間~1週間)の判断は非常に重要になる」と述べた。その後、「脳梗塞の診断において、CTでは発症直後には異常信号は認められない。また、MRIのT1強調画像・T2強調画像・FLAIRでも発症直後は異常信号を認められず、発症後12~24時間で異常信号を呈する。DWIでは発症後約1~3時間で高新号として異常を示す」と説明し、脳梗塞の超急性期と急性期における各画像の信号の変化を、症例を示して解説した。また同氏は「超急性期および急性期ではADCは低信号を、DWIは高信号を示す。急性期から慢性期の移行期である亜急性期には、亜急性期前期でADCの信号の上昇が始まり、亜急性期後期でDWIの信号が低下してくる」と症例から得た結論を述べた。
次に成瀬昭二氏(社会医療法人岡本病院(財団)第二岡本総合病院検診事業顧問)が「遠隔画像診断・品質向上への取り組み」として、遠隔画像診断の利点と特徴、今後の課題について解説した。同氏は現在の画像読影依頼システムの問題点として読影医側では「依頼書の解読が困難(特に手書き)」「主訴、経過、検査目的、部位情報などの依頼情報の不足」「補助情報の不足」「過去画像の不足」という訴えがあり、依頼医側には「依頼書の記載が面倒」「補助情報を探して提出することが難しい」「多忙である」等の事情があると説明し、遠隔画像診断体制で、これらの問題点を解決するには「電子カルテ、PACS、電子オーダリングの活用」が必要であるとした。また、同氏は遠隔画像診断のシステムの重要事項について「依頼情報を負荷なく入力できる補助ツールの開発を伴った、電子カルテ、PACSと連動した遠隔読影オーダシステム。診断結果を読影医にフィードバックでき、医療施設と遠隔画像センター間で24時間双方向に情報を共有できるシステム。データのバックアップ、災害時復旧装置などを含めた堅牢なシステムの構築が求められる」と今後の遠隔読影システムの発展に必要な要点を述べた。
川又郁夫氏(東海大学医学部付属八王子病院診療協力部放射線技術科科長)は「SCENARIAの臨床試験経験と逐次近似を応用したIntelli IPの紹介」と題し講演。同院のSCENARIAに搭載されている逐次近似法を応用した被ばく低減技術であるIntelli IP1、Intelli IP2(仮称)について臨床データを示し紹介を行った。ノイズ減少による診断能の向上から「当院ではIntelli IP1ではCNRからは32~36%の被ばく低減、Intelli IP2ではCNRからは10~74%の被ばく低減が可能であるという結果を得る事ができた。また、再構成時間もほとんど今までと変わらないので、通常の業務の中に組み込んで使用することが可能である」と報告し、Intelli IPの臨床での有用性を示した。
林 宏光氏(日本医科大学放射線医学)は「64chマルチスライスCT”SCENARIA”その特徴を生かした実践的活用」としてSCENARIAの特徴について症例を示して解説。同氏は、0.35sec/rotで撮像が可能な高速撮像、Intelli IPなどによる低被ばく検査、検査寝台スライド機構(IntelliCenter)による高空間分解能を挙げた。また、その性能の向上について「CTは診断の為の検査法から治療戦略決定の為の手段へと変化した」と語り、今後のCT検査の可能性の拡がりを示した。

ImageConcier
次世代PACSとして開発されたというImageConcierは、ユーザの使いやすさにこだわった設計。新機能データコックピットのヒストリー画面では、過去の検査履歴を時系列で見ることができる。また、ヒストリー画面に表示された検査画像はダブルクリックすることにより、下部のスペースへの拡大表示が可能である。

ECHELON RX
ECHELON RXではワークフローの改善を目指し、コイルシステムを一新。頭部、頭頸部、胸椎、腰椎の検査では、コイルの乗せ替えがなくなった。更にモーションアーチファクト低減機能のRADARは血流アーチファクトなど今までは難しかったアーチファクトの低減も可能とした。また、RADARはどのコイルでも使用でき、部位を選ばない事も特徴の一つである。

SCENARIA
0.35sec/rotを実現し、高速撮影が可能となった64列CT、SCENARIA。搭載しているコリメーター2D-ASCは、対軸方向への散乱線をカットすることができ、高画質化に貢献している。また、寝台が横方向にスライドできることにより、画質の向上のみではなく、被ばく低減も可能とした。