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第35回NPO法人日本脳神経血管内治療学会学術総会 取材レポート

category:取材速報
2019.11.29

 第35回NPO法人日本脳神経血管内治療学会学術総会が、今年11月21日~23日の3日間にわたり、福岡国際会議場・福岡サンパレスにて開催された。会長は久留米大学医学部 脳神経外科学講座 教授の廣畑 優氏が務めている。
 同会の3日目(11月23日)を訪れた中で、注目した演題を、下記のようにまとめた。
 

 「一般口演 3-5 血栓回収 地域の救急体制4」では、阪井田博司氏(桑名市総合医療センター 脳卒中センター)が、「3施設統合新病院に開設した脳卒中センターにおける血管内治療の初期結果」というテーマで、以下のように述べた。
 はじめに、血栓回収とは緊急性を要する血管内治療医の仕事であり、症例数の増加傾向があることからも、血管内治療医が疲弊しないシステム作りが重要であるという。特に全体の6割が時間外症例で、そのうち半分が土日祝日であるという現状に対し、今後、できるだけ多くの術者や助手の育成が求められるという。
 また、阪井田氏はモチベーションの維持や負担軽減のため、①給与報酬、➁達成報酬、③社会的報酬、④ビジョン報酬の4つのポイント(特に➁~➃は負担を凌駕する原動力に還元される)を挙げた。そして、これらをうまく組み合わせることが血栓回収を広く行うためのシステム構築になると結論した。

 続いて西堀正洋氏(名古屋大学 医学部 脳神経外科)が、「血管内チームによるDrip and Goでの関連病院支援の実態と課題」というテーマで、以下のように述べた。
 名古屋大学 脳神経外科では、2014年頃より、脳血管内治療専門医不在の大学関連施設からの要請を受けて大学から専門医などが出向き(Drip and Go)、急性期血行再建術を行っていたが、昨年より治療数が急増した。そこでエビデンスから、「O2Pは4.5時間以内で、チームの到着までにカテ室の活性化や穿刺を少しでも進めてもらいたい」「D2Pが最も短縮化の見込みあり、短ければ短いほどよい(SNISの目標は60分)」などの目標を立てた。
 結論としてDrip and Goについて、近年は時間短縮傾向にあるという傾向が見られた。また、遠方施設では移動時間を要する分O2Rが長くなるが、予後は比較的良好で、遠方であることは問題ではない(DWI-ASPEC7点以上などの患者選択が要因と思われる)。また診療体制の整備は当然として、Drip and Goは、専門医不在地域をカバーする一つの方策と言えるとまとめた。
 

 「一般口演 3-29頭蓋内腫瘍1」では、坂本広喜氏(東京医科大学 脳神経外科)が、「脳蓋底腫瘍に対する術前meningohypophyseal trunk塞栓術」というテーマで、以下のように述べた。
 坂本氏は、東京医科大学の脳神経外科が施行した、頭蓋底腫瘍に対する術前MHT塞栓術の治療成績を報告した。期間は2013年9月から2015年4月までに行ったMHT関与のある40症例であり、後方視的に検証を行った。そのうち特に合併症率に関しては、頭蓋内髄膜腫術前塞栓の場合は4.6~6.5%、頭蓋底髄膜腫術前塞栓の場合は12~21.6%と、HMTを含む頭蓋底腫瘍の合併症リスクの高さに触れた。また、アプローチが難しいことや、高い塞栓率を実現しなければ有効性を示せないといった点から、適応にはより慎重になるべきと考えられる、と結論を述べた。

 次に、秋山武紀氏(慶應義塾大学医学部 脳神経外科)が、「SFT/HPDに対する摘出術全塞栓術」というテーマで、以下のように述べた。
 まずSHT/HPCのangiographicalな血管構築の特徴として、①Tumor stainが持続する、②Pial feederを認めることが多い、➂腫瘍内AVシャントを認めることがある、④コンパートメントをつなぐ血管がある、⑤Feederが腫瘍近くまで拡張している、との5点を挙げた。
 また、塞栓の戦略はMeningiomaと比較して、SFT/HPCでは腫瘍の血管構築に対する入念な検討と、適切な塞栓戦略が必要であり、その際には「液体塞栓物質の使用」が必須事項になることを結論づけた。

 次に、中條敬人氏(昭和大学藤が丘病院 脳神経外科)は、「液体塞栓物質を中心とした頭蓋底腫瘍の術前―DeFrictor nano catheterの有用性―」というテーマで、以下のように述べた。
 頭蓋内腫瘍に対する栄養血管塞栓術の考察として、易出血性腫瘍に対する摘出術の前処置は、術中出血の低減と腫瘍の軟化が目的である。また、脳神経麻痺・腫瘍内出血といったリスクは、塞栓材料の選択や、Dangerous anastomosis、神経栄養血管の関与が検討事項として挙げられるという。
 また、塞栓術の難易度と有効性を考慮すると、ECAの栄養血管から腫瘍直近まで到達することができれば、Embosphereと比べてNBCAで有効な塞栓ができるようになることが考えられるという。血管の径や蛇行のためにMCの腫瘍直近到達が困難な場合が多かったが、DeFrictor nano catheterの登場によってそれが可能になったという。最後に中條氏は、結論として、DeFrictor nano catheterの登場がより効果的な塞栓を可能にしたことを述べた。

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