シーメンスヘルスケア、MRI「MAGNETOM Lumina」(3T)と「MAGNETOM Altea」(1.5T)を同時発売―高い再現性・生産性を追求―

2019.03.29

 シーメンスヘルスケア(株)は2017年3月19日、ゲートシティ大崎ウエストタワー(東京都品川区)にてMRIの新製品2機種を紹介するプレスセミナーを開催した。宇根田宏徳氏(シーメンスヘルスケア ダイアグノスティックイメージング事業本部 MRI事業部)が3ステラMRI「MAGNETOM Lumina」と1.5ステラ「MAGNETOM Altea」の製品の特長などを分かりやすく述べた。なお本製品は2019年3月12日より販売開始している。

宇根田宏徳氏(シーメンスヘルスケア ダイアグノスティックイメージング事業本部 MRI事業部)

 宇根田氏は、新製品2機種の特長について以下のように語った。「新製品の特徴は大きく2つ挙げられる。1つ目は高い再現性を追求したことである。その再現性の高いハイクオリティな画像の提供を可能にしているのがBioMatrix SensorsとBioMatrix Coilshimという機能だ。BioMatrix Sensorsは被検者が寝台に寝るだけで、装置に内蔵された呼吸センサーが自動的に呼吸状態をモニタリングし、呼吸同期撮像の応用も可能にする。BioMatrix Coilshimは被検者によって乱される静磁場を高精度に補正することを目的に、頭頚部用コイルに専用のコイルシムを内蔵したものである。本来MRI装置は磁束密度が均一な静磁場環境が理想的とされている。しかし頭頚部は複雑な形状のため、安定した脂肪抑制が難しく、理想的な静磁場環境を整えがたい。そこで専用のシムコイルを使用し、被検者一人ひとりに適したシミングを行うことで高精度の撮像を可能にした。また、スライス毎に適切なシミングを施すことでDWIや脂肪抑制併用TSEの画質を改善できる。さらに広範囲の撮像で画像をつなぎ合わせる時も全身にわたってばらつきのない画像を提供する。被検者の年齢、性別、体型などの生理学的な特性に左右されることなく、安定した高品質な画像を目指した。
 2つ目の特徴は高い生産性を追求したことだ。MRIの最大の欠点は時間がかかること。日本の検査待ちの問題は深刻であり、それを打破するために時間短縮、生産性の追求を目指した。まず、セッティングから撮像までを高速化するためBioMatrix Technologyが活躍する。これまで必要だった呼吸ベルトや呼吸センサーのセッティング、ナビゲーターエコーの設定などの作業が不要となることによって約30%セッティングにかける時間を短縮できる*1。」
 次に宇根田氏によると、MRI検査一連の撮像を高速化するためにTurbo Suiteが活躍するだろう。Turbo SuiteとはParallel Imaging、Simultaneous Multi-Slice、Compressed Sensingとい3つの先進的な高速撮像技術を統合したものだ。検査部位や検査目的に応じて2D撮像・3D撮像どちらにも適応可能であり、それにより画質劣化を最小限に高速化を実現している。従来は撮像時間短縮のために、アンダーサンプリングがメジャーな考え方であったが、いずれのアンダーサンプリングの方法であっても画質劣化を招いてしまっていた。だが、今回の新製品に含まれているSimultaneous Multi-Slice(以下SMS)は複数断面を同時に励起し、同時にデータ取得できる。これはデータのアンダーサンプリングを伴わずに時間短縮が可能な画期的な手法であり、これらの機能を使うことにより、MAGNETOM LuminaのTurbo Suiteによる頭部MRI検査の一例では約34%の時間短縮に貢献した*1。加えて膝関節MRIの一例では約50%の時間短縮という結果を出している*1
 最後に宇根田氏は「MRIは他の画像診断と比べて検査時間が長いことから、長時間の体位保持が困難な症状の患者や、高齢者、小児などこれまでMRI検査を控えていた患者も多い。新製品はそのような患者に対してもMRI検査を適応できるかもしれない。より多くの被検者に負担の少ないMRI検査を提供すると同時に、投資収益率の改善を図り、病院経営を強力にサポートする。」と会見を締めくくった。
*1 自社比