キヤノンメディカルシステムズ、「画論26th The Best Image」を開催

2018.12.28
嶺 喜隆氏
濵口浩敏氏
粟井和夫氏
山下康行氏

 キヤノンメディカルシステムズ(以下、キヤノン)は12月16日(日)、「画論26th The Best Image」を東京国際フォーラム(東京都千代田区)で開催した。「画論 The Best Image」は今回で26回目を迎えるイベントで、ユーザーから応募を募り、診断・治療に必要な画像のクオリティはもとより、被検者へのメリット、撮影・処理技術の工夫等、臨床的価値(クリニカルバリュー)を総合的に判断することによる「最良のイメージ」の選定という試みである。
 CT、MR講演では「AIとモダリティの融合による新たな進化」をテーマとして、富山憲幸氏(大阪大学大学院医学研究科 放射線統合医学講座 放射線医学教室 教授)の座長のもと開催された。
 はじめに、CT部門で粟井和夫氏(広島大学大学院 医歯薬保険学研究科 放射線診断学研究室 教授)は、「Deep LearningがもたらすCT画質のquantum leap」をテーマに、放射線診断分野のAIに関して説明を行うとDeep Leaning Reconstruction(DLR)について「強力なノイズ低減にも関わらず、高い空間分解能を維持することが可能だ。また体格が大きい患者でも高画質で得られる可能性があり、頑健な画像再構成と考えられ、再構成時間はhybrid IRと同じである。今後、画像再構成の標準オプションとなる可能性がある」と述べた。
 続いて、山下康行氏(熊本大学大学院生命科学研究部 放射線診断学分野 教授)は、「AI融合によるMRI診断の新しい可能性」と題して、AIの放射線領域へのインパクトについてDeep Learningの概略を踏まえて述べると、「画像診断の様々な課程において、AIは適応可能である。DLRは様々なシークエンスに用いることができ、MRI画質向上や撮像時間の短縮、高分解能画像の画質向上、定量解析の寄与が期待できるだろう。今後、臨床症例によるDLRの有用性の検証が必要である」と語った。

 超音波講演では、「時代を先駆ける! 超音波画像診断の新たな進化」をテーマとして、平井都始子氏(奈良県立医科大学附属病院総合画像診断センター センター長・病院教授)の座長のもと開催された。
 はじめに、嶺 喜隆氏(同社超音波開発部主幹)は、「キヤノンメディカルシステムズが提供する超音波装置の最新技術」と題して、「我々の技術はDifferential THI というイメージング技術で平成30年度全国発明表彰式で文部科学大臣賞を受けて、我が社の技術力が評価されたものとして嬉しい。心臓の壁運動を歪みで診る、肝臓を組織性状で診るなど今後もますます発展していく。特にViamo sv7は、いつでも超音波検査が診れるといものみも積極的にチャレンジしたい。同装置はタブレットタイプで新基準になるだろう」と述べた。
 続いて、濵口浩敏氏(北播磨総合医療センター脳神経内科部長/脳卒中・神経センター副センター長)は、「Aplio iシリーズでみる 血管エコーの世界」というテーマで、「Aplio i シリーズは、詳細な病態評価を可能にしてこれまでの装置を遙かに凌駕している。特に705BXリニアプローブは脳梗塞の診断において、プラーク内部に血流が侵入し、潰瘍病変であることが観察され、臨床的有用性もとても高いものだ。またSMIにより、頸動脈潰瘍でも潰瘍病変が明瞭に描出されている。さらに超音波診断装置は適切な場所を考え、設置することが大事で、Viamo sv7を下肢静脈エコー検査に使用しており、首の動きがとても楽で満足した結果が得られている。我々は、Aplio i 800、Aplio500、Aplio a450などをそれぞれ、超音波検査室、手術室、救急室、外来などに置き、適材適所で活用することが望ましい」と語った。

 最後に、瀧口登志夫氏(キヤノン代表取締役社長)は、「受賞された方は本当におめでとうございます。我々は、日々皆様の熱いご支援を頂き、機器開発をして参りました。臨床画像も常に変化をしてきました。昨今は機能診断の時代を迎えつつあり、キヤノンはAIを世界で初めてCTに搭載し、続いてMRにも載せていきたい。本日の講演で山下先生が仰られていたように、AIは放射線科の皆様にとっては役立つツールとなりえると思う。今後ともご指導ご鞭撻賜りたい」と述べ、閉会した。

表1 CT部門

1~160列部門
【最優秀賞】 岩手医科大学附属病院 精索静脈瘤
【テクニカル賞】 札幌医科大学附属病院 末梢性肺動脈瘤
一般財団法人大原記念財団大原綜合病院 巨大下顎腫瘍
【優秀賞】 医療法人社団武蔵野会 TMGあさか医療センター TACE後のHCCに対するSURE Subtraction Iodine Mappingの有用性
社会医療法人 杏嶺会 一宮西病院 肺血栓塞栓症
1~160列(心血管)部門
【最優秀賞】 平塚市民病院 ステントグラフト内挿術後 vasa vasorumを介したtypeII endoleak
【優秀賞】 医療法人 沖縄徳洲会 湘南鎌倉総合病院 TAA(胸部大動脈瘤) [造影剤使用量17mlで大動脈CTA]
Aquilion ONE部門
【最優秀賞】 岩手医科大学附属病院循環器医療センター 右上肢AVM
【テクニカル賞】 一般財団法人大原記念財団大原綜合病院 右上葉肺癌
公益社団法人 地域医療振興協会 横須賀市立市民病院 下垂体腫瘍の疑い
【優秀賞】 新潟市民病院 短腓骨筋腱縦断裂または筋腱脱臼を疑った立位ストレス低線量CT
独立行政法人 労働者健康安全機構 富山労災病院 腰椎椎弓根スクリューのルースニング評価
地方独立行政法人 佐世保市総合医療センター 息止め不可患者の腹部volume scan撮影の有用性
Aquilion ONE(心血管)部門
【最優秀賞】 医療法人 春林会 華岡青洲記念心臓血管クリニック たこつぼ型心筋症
京都府立医科大学附属病院 主要大動脈肺動脈側副血行路
【テクニカル賞】 医療法人 春林会 華岡青洲記念 心臓血管クリニック 心房中隔欠損症
順天堂大学医学部附属順天堂医院 狭心症疑い
【優秀賞】 社会医療法人財団 石心会 川崎幸病院 腹部アンギオで損傷部同定が困難であったグラフト損傷例の4D-CTA
日本赤十字社 和歌山医療センター 胸部大動脈瘤ステント留置後endoleak
社会医療法人財団池友会 福岡和白病院 不全穿通枝同定における4D-CTV
表2 MR部門

1.5テスラ以下部門
【最優秀賞】 自治医科大学附属さいたま医療センター 椎骨動脈解離疑い
【テクニカル賞】 公益財団法人小倉医療協会 三萩野病院 肩関節領域における1minute T2map
【優秀賞】 医療法人社団 千栄会 高瀬クリニック 超音波で発見された右冠動脈由来の巨大腫瘤
医療法人 顕正会 蓮田病院 右足部腫脹
自治医科大学附属さいたま医療センター 血管腫を併発した多発奇形(ブラッドアクセス挿入血管の検索)
草加市立病院 発作性斜頸における頭頚部動脈の評価
医療法人社団 CVIC 心臓画像クリニック飯田橋 心アミロイドーシス
一般財団法人津山慈風会津山中央病院 腎静脈Time-SLIP法
医療法人社団大谷会 島の病院おおたに Time-SLIPとASLが新生血管の評価に有用であった肩関節周囲炎の一例
1.5テスラ以下(脳神経)部門
【最優秀賞】 社会福祉法人 恩賜財団 済生会熊本病院 脳動静脈奇形(AVM)
【テクニカル賞】 医療法人暁会 安永脳神経外科 左内頸動脈狭窄症におけるSTA-MCAバイパス術
【優秀賞】 医療法人社団 三喜会 横浜新緑総合病院 動脈瘤血栓化
3テスラMR部門
【最優秀賞】 自治医科大学附属さいたま医療センター 脾動脈瘤
【テクニカル賞】 福山市民病院 食道がん術前検査における胸管撮像
【優秀賞】 社会医療法人社団 三思会 東名厚木病院 前立腺癌 FASE DWI
社会医療法人社団慈生会 等潤病院 頸部腫瘍(アテローム)疑い
3テスラ(脳神経)部門
【最優秀賞】 社会医療法人社団慈生会 等潤病院 左内頸動脈狭窄により左の脳血流速度が低下した一例
【優秀賞】 藤田医科大学病院 AVM
【Clinical Update賞】 JA新潟県厚生連 佐渡総合病院 右椎骨動脈解離
社会医療法人社団 慈生会 等潤病院 右内頸動脈狭窄

表3 超音波部門

心臓部門
【最優秀賞】 岡山大学病院 修正大血管転位:左室流出路形成術後の導管狭窄
【優秀賞】 国立研究開発法人国立循環器病研究センター 巨大心房中隔瘤を合併した心房中隔欠損(ASD)の一例
九州大学病院 Smart Fusion機能を用いて右鎖骨上窩アプローチにて超重症大動脈弁狭窄症と診断できた一例
血管部門
【最優秀賞】 東邦大学医療センター大橋病院 左外腸骨静脈瘤
【優秀賞】 一般財団法人厚生会 仙台厚生病院 腸骨静脈圧迫症候群
滋賀県立総合病院 頸部動脈瘤
関西電力病院 下肢深部静脈血栓症 (左膝窩静脈弁尖血栓)
腹部部門
【最優秀賞】 日本赤十字社 成田赤十字病院 索状物性イレウス
【優秀賞】 医療法人共生会 松園第二病院 虫垂憩室症
日本赤十字社 相模原赤十字病院 S状結腸腫瘍手術待機中に発症した上腸間膜動脈閉塞症による腸管気腫
飯田市立病院 RFA治療後に生じた肝仮性動脈瘤
北九州市立八幡病院 診断から治療まで超音波検査を活用し完遂した小児腸重積症の一例
乳腺・甲状腺・表在部門
【最優秀賞】 社会医療法人禎心会 札幌禎心会病院 下咽頭癌術後再発 放射線治療後皮膚潰瘍の一例
【優秀賞】 東京医科大学八王子医療センター 良性汗腺腫瘍(Poroid cell neoplasm)
金沢医科大学病院 左大腿部内に10年くらい前から認める3.5cm大の皮下腫瘤
運動器・リウマチ部門
【最優秀賞】 医療法人 豊田会 刈谷豊田総合病院 特発性後骨間神経麻痺の症例