遠隔画像診断サービス連合会、第11回ATSセミナー開催

2018.01.29
長谷川雅子氏
森口修逸氏
煎本正博氏
中田典生氏
 一般社団法人遠隔画像診断サービス連合会は、2018年1月20日(土)、全国家電会館(東京都文京区)にて、第11回ATSセミナーを開催した。
 まず、長谷川雅子氏(株式会社ドクターネット代表取締役社長)は、ATS認証制度の発足が不可欠であるとし、これまでも遠隔診療の推進を行政に働きかけを行っていたが、今後も平成32年度以降の診療報酬改定を見据えて継続的に続けていくと語った。
 続いて森口修逸氏(株式会社エム・ピー・オー代表取締役)は医療情報サービスに、能力・公平性・安全性への信頼を得た第二者監査団体による監査が必要だと唱えた。一般的アプローチを定義し適合性評価を定めて、監査と併せることで認証の仕組み開発の手順の一環として成り立たせていくことが重要だとも述べた。
 煎本正博氏(株式会社イリモトメディカル代表取締役)はATS認証制度発足に向けて遠隔画像診断サービスが守るべき3つの質について語った。1つめは情報・施設管理で、主に読影医の働く環境や資格取得といった教育も重要になる。2つめに医学管理を挙げ、商品(報告書)の管理こそが画像診断の本質との考えを語った。3つめは安定経営であり、継続したサービスを提供するためにも各種理念や保険制度を整えることが求められると述べた。
 特別講演では中田典生氏(東京慈恵会医科大学放射線医学講座准教授)によってディープラーニングについての解説とAI推進行政の現状と展望が語られた。氏は、「プロの囲碁棋士に勝利する等、目覚ましい発展を遂げるAIが、医療の現場においてもディープラーニングによる学習で医師でも発見できないような所見を発見する事まで可能となる。海外でも以前からAI推進派と慎重派による議論は行われていたが、双方の意見は今や近づいてきており、実用化に向けてより現実的なビジョンができはじめている。AIの診断によって読影医の立ち位置がなくなるのではないかという危惧もあったが、AIのアルゴリズムはブラックボックスであり診断の根拠までは示してくれないため、人間はその診断結果を説明する形で共存が成り立つだろう。またアメリカでは、AIを利用した製品の開発とAIの学習に適したACR(American College of radiology)主導のサイクルが構想されており、これがどのような成果を上げるのか注目していきたい。日本においてもAIの活用が、患者や国民にもたらす効果を明らかにするとともに、サービス等の質や安全確保のための対応が議論されている」と語った。氏はこれから先、ますます発展を見せるであろう人工知能は画像診断にとって第4の技術革新であり、将来的にはAI VS 人ではなく、AIを持つ人VS持たない人という構図ができあがるだろうと結んだ。


アメリカで構想中のサイクル