日立製作所、Hitachi Social Innovation Forum 2017 TOKYO開催

category:取材速報
2017.11.09
中田典生氏
西原広史氏
渡部眞也氏
株式会社日立製作所は、2017年11月1、2日、東京都にある東京国際フォーラムにて、日立グループ世界最大規模のイベントである「Hitachi Social Innovation Forum 2017 TOKYO」を開催した。本稿では、セッション「新医療×AI」から「AIの今後と課題」について取り上げる。

 まず中田典生氏(東京慈恵会医科大学放射線医学講座)は、「日本では100万人当たりのCTやMRIの台数は圧倒的に多く、データ量も多い。しかし放射線科医の数は少ないのが現状であり、AIは今後期待できるものだ。
 米メイヨー・クリニックのエリクソン氏が挙げた予測では、5年後にはMMGや胸部X線、10年後にはCTやMRI、USなどがAIに置き換わり、20年後にはほぼすべての画像診断がAI化していく。結果、今日以上にAIを目にする機会は増え、放射線科医は患者に重点を置いた手技などが増えていくだろうと予測している」と述べた。中田氏は反対意見として「米メリーランド大学のエリオット・シーゲル氏は、AIのアルゴリズムがブラックボックスであり、何故判定したかの根拠を人間が説明することができない。各々のアルゴリズムが本当に人間より優れているのか判定、証明することが難しい、などとしてAIが画像診断医に置き換わらないと述べている」という見方もあることを紹介した。
 中田氏は保健医療分野におけるAI活用推進懇談会の構成員であり、「人工知能(AI)は、ディープラーニングの登場により新たな局面を迎えた。保健医療分野におけるAI活用推進懇談会においては、AIの特性を踏まえ、その活用が患者・国民にもたらす効果を明らかにするとともに、保健医療などにおいてAIの導入が見込まれる領域を見据えながら、開発推進のために必要な対応およびAIを用いたサービスなどの質・安全性確保のために必要な対応などを検討している」と述べた。
 最後に中田氏は「今後は『AI vs 人間』ではなく『AIを活用する人間とAIを活用しない人間』に分かれていくだろう」と結論づけた。
 続いて、西原広史氏(北海道がんセンターがんゲノム医療センター長)からは、世界におけるゲノム医療の現状が語られた。西原氏によると、アメリカやヨーロッパなどでは、医療サービスとしてがん遺伝子パネル検査を2年以上前から行っており、日本では未だそういう状況になっていないという。同じ病名のがんでも一人一人背景は異なる。「だからこそ、その人にあったがんプレシジョンメディシン(遺伝子に基づく個別化治療)が必要であり、今後、がんゲノム医療の実用化に向けたネットワーク化と情報の共有化が求められる」と見解を示した。
 そして、渡部眞也氏(日立製作所ヘルスケアビジネスユニットCEO)は、現在ヘルスケア分野においてAIに期待されていることとして、新たな診断方法や治療方法の創出、全国どこでも最先端の医療を受けられる環境整備、患者の治療に専念できるよう医療・介護従事者の負担軽減を挙げた。その中で、複数のAIの使い分けにより、目的に応じた最適解を導出することを強みとし、実用化に向け、高品質なデータ収集によるデータベース環境整備や品質検証および有効性評価、性能監視による安全性評価などが必要となると述べた。
 また、渡部氏はデジタル先進国としてアメリカ、デンマークの例を日本の現状と比較したうえで、「今後、健診や放射線画像など個人の医療データと、企業などが所有する保険データや治験データを集約し、ヘルスケア・ビッグデータとして医療イノベーションを継続的に生み出すオープンプラットフォームを提供したい」と展望を示した。

●日立粒子線治療システム
 同社の粒子線治療システムは、すでにMDアンダーソンがんセンターで導入を始め、国内外のがん治療に貢献している。
 また、従来のカスタマイズ型だけでなく、標準型を提案することで、導入施設の拡大を目指す。これまでスポットスキャニング照射技術による治療時間の短縮やランニングコストの低減などにより、稼働率の高い粒子線治療システムを運用。

●画像診断支援ソリューション
 日立は現在、画像診断支援ソリューションの開発も進めている。病変の検出、解析、診断結果の文書化による効率化を図り、シームレスな画像診断における支援を目指す。診断領域としては肺、脳疾患、それ以降も診断の領域を広げていく予定であるという。
 同社が培ってきた技術とAIが融合されるだけでなく経営者視点から低イニシャルコスト、月額定額制、従量制などの導入も検討されている。

日立粒子線治療システム モデル
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