ボストン・サイエンティフィック ジャパン、朝日インテック、「COMETTMプレッシャーガイドワイヤ」発売発表会を開催

2016.07.20
内木祐介氏
宮田昌彦氏
多田荘一郎氏
杉浦一保氏
中村正人氏
松尾仁司氏
 ボストン・サイエンティフィック ジャパン(株)と朝日インテック(株)は、7月13日(水)、アーバンネット大手町ビル(東京都千代田区)にてFFRに用いる「COMETTMプレッシャーガイドワイヤ」の発売に先立ち、発表会を開催した。
 「FFR」とは、ガイドワイヤをベースとして冠動脈内の狭窄部位の前後の血流の圧較差から狭窄の有意性を数値的に把握する手技。現在、FFRは冠動脈疾患の病態把握やPCI(経皮的冠動脈形成術)の要否判断において重要性が増している。
 同製品は、2014年8月にボストン・サイエンティフィック ジャパン(株)と朝日インテック(株)が開始した共同開発・製造プログラム(業務提携)によって登場する国内初の製品。
 内木祐介氏(ボストン・サイエンティフィックジャパン代表取締役社長)は、同社が世界中の患者さんの健康状態を改善するために革新的な治療法を提供していることを述べ、今までは治療領域にフォーカスしていたが低侵襲治療を追求しつつ、診断領域においても挑戦するとした。早期診断、さらに診断に基づいた適切な治療、が求められる現在、「COMETTMプレッシャーガイドワイヤ」は意義がある。日本の医師は高いスキルがあるため、これに応えることができるデバイスが必要とされており、「ベストな治療には、ベストなデバイスを。ベストなデバイスには、ベストなパートナーを。」のもとに、同製品を朝日インテック社と共同開発したという。今後も匠の技をもって、よりよい製品を同社と共同開発していきたいと述べ、挨拶とした。
 宮田昌彦氏(朝日インテック代表取締役社長)は、朝日インテック社のPTCAガイドワイヤが循環器系製品を中心として106の国と地域に販売されており、国内市場シェアは2015年には68%にものぼると説明。同社のガイドワイヤはステンレス素材などに独自の加工設備を用いて特殊な回転追従性(トルク技術)を付与。さらに先端部に独自のACT ONE技術を搭載することで、耐久性を実現するなどしており、素材を扱う高度な技術が同社の強みである。
 次に、多田荘一郎氏(ボストン・サイエンティフィックジャパン専務執行役員)と杉浦一保氏(ボストン・サイエンティフィックジャパンインターベンショナルカーディオロジー事業部マーケティング統括部ダイアグノスティックスマーケティング部ディレクター)より、「COMETTMプレッシャーガイドワイヤ」の紹介がされた。これまでのFFRワイヤの課題として操作性が悪い点や測定精度が低い点が挙げられるが、これらの課題を解決することを同製品の開発コンセプトとした。共同開発により技術レベルの高い日本人オペレータも満足するガイドワイヤ技術により操作性向上を実現し、従来の電子式センサに代わる高圧センサの採用で測定精度も向上。また、インテリジェント・コネクションという新しい技術を取り入れ、光信号を伝達するコネクション部分を工夫。ワイヤ操作時のオペレータのストレス軽減、着脱時におこるドリフトを低減する。同製品の導入は、超音波イメージングシステムiLab(IVUS)をPOLARISへアップグレードすることで可能。既存システムを活用でき、カテ室内のスペースも有効に使え、末梢から心臓領域までのIVUSとFFRをこの1台で使用することができる。
 その後、中村正人氏(東邦大学医療センター大橋病院循環器内科教授)より「成熟期を迎えたインターベンション治療の課題-What is the next stage-」、松尾仁司氏(岐阜ハートセンター院長)より「いまさら聞けないFFRのすべて」と題して講演があった。
 中村正人氏は新しい薬剤溶出ステントの登場と進歩により、Late Lumen Lossのばらつきが減少し1)、成績が安定したことが成熟期を迎えたといわれる所以だと述べた。臨床試験などからは、虚血ガイドの重要性が強調される結果などが得られており、PCIが必要な症例(メリットが高い症例)を明確に決めることが重要。しかし、血管造影法による目視での評価では限界もありFFRガイドPCIで、血管の狭窄だけではなく機能的な面も測定をし、正確に虚血を評価することが必要であるという。RCT(ランダム化比較試験)だけでは結論は得難く、対象によって成績が異なるため個別化対応が重要であると同氏は述べた。
 松尾仁司氏は、FFRは血管造影よりも正確に虚血の有無を判断できると説明。FFRであれば、狭窄が虚血を発生させるか判断する際のグレーゾーンが狭いため、治療すべきかの判断が明確にでき臨床的にも使いやすい。目視による判断よりもFFRガイドでのPCIは治療成績を向上させる試験結果も得られており、また、使用するステントが少なく済むこともありコスト面でも優れているといえる。しかし、プレッシャーワイヤの問題点として操作性や耐久性、圧ドリフト減少などがあり、日常臨床で使用している施設が少ないのが現状。これらの問題点を解決できれば、プレッシャーワイヤはPCIのためのworkhorse wireとして使用可能であるが、「COMETTMプレッシャーガイドワイヤ」は優れた操作性と簡便な取扱い、少ないドリフトを実現していることを述べ、臨床からの期待を寄せた。

1)Eur Heart J.36:2608-2620,2015

COMETTMプレッシャーガイドワイヤの展示