メディカルITセキュリティーフォーラム第6回セミナー開催

2016.02.17
深津 博氏
山崎文明氏
白水重明氏
宮司 順氏
会場風景

 平成28年2月12日(金)、東京都千代田区にてメディカルITセキュリティーフォーラム第6回セミナーが開催された。同フォーラムは2014年8月に発足し、医療系ユーザーに対して最新のセキュリティー情報と、その運用を含めたソリューション活動を提案することを目標とした団体であり、今回で6回目を迎えた。
 最初に、同法人代表である深津 博氏(愛知医科大学医療情報部長・特任教授)が会場に集まった会員を前に挨拶をした。同フォーラムは発足以来徐々に会員数を伸ばしており、同会員有志によって厚生労働省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン4.2版」のユーザー視点によるマッピング・ガイダンスの作成を行っているなど、分科会活動の成果を報告した。
 まず、山崎文明氏(公立会津大学特任教授)が「Data Diodeを用いた気密性に応じた情報管理」を題として、昨年発覚した日本年金機構による大量の年金加入者情報漏えい事件から「パスワードの強化」「重要機関PCのスタンド・アローン化」を重視する考えが広まっているが、ネットワークから完全に独立することは、今のシステムでは難しいと論じた。対策の一例として、電気信号を片方向にしか許可しないデータ・ダイオード技術について、その仕組みと有用性、応用事例を紹介した。
 次に山崎氏が座長を務め、藤本康二氏(内閣官房健康医療戦略室次長)の「次世代医療ICT基盤の構築に向けて」の指定発言が行われた。政府は平成27年1月に「次世代医療ICT基盤協議会」を設置し、世界最先端の医療行政、医療サービスと世界最先端の臨床研究基盤を実現するためのICT基盤を構築し、医療において強力なICT化を推進していくための取り組みについて説明した。
 その後、「医療機関および関連事業者における有用なセキュリティ対策と、来るべき医療データの二次利用推進について」をテーマにパネルディスカッションが行われ、深津氏が座長を務めた。
 最初に登壇したのは白水重明氏((株)UNI代表取締役)。同社は「E2E」「oVo」などの数種のソフトウェアを組み合わせ、医療業界向けネットワークソリューションを提供している。「漏えいしても絶対解読不能」な状態でデータを保管し、ビッグデータ利活用も見据えた同社ソリューションについての概要を紹介した。
 二番目に、宮司 順氏((株)イー・メディカルソリューションズ代表取締役)が登壇した。自社の遠隔読影サービスにUNI社のE2E通信を導入し、セキュリティ確保と読影業務による動作検証を行ったとし、その結果の報告、有用性と今後の課題について語った。
 最後に、同フォーラム代表である深津氏が登壇し、漏えいした場合のリスクが大きいことから医療情報のビッグデータはほとんど利用されてこなかったといった経緯があると指摘し、大学病院における医療情報のビッグデータの実現によるメリットと、今後解決していくべき課題を論じ、最後に総合討論が行われた。