富士フイルム、改良を遂げた経鼻内視鏡レザリオを発表-胃がん早期発見の新たなツールとしての可能性-

2014.10.20

富士フイルム(株)は10月14日、東京ミッドタウン(東京都港区)にて、上部消化管用経鼻内視鏡「EG-L580NW」と新技術「LCI(Linked Color Imaging)」を発表した。
 はじめに、玉井光一氏(富士フイルム(株)取締役・専務執行役員)より、メディカル事業システムの取り組みについて説明がなされた。同氏は「富士フイルムにとってヘルスケア部門は自社の成長を牽引する事業である。中でもメディカルシステムは大きな一躍を担っている。今回発表した内視鏡ソリューションは現場の医師と連結し開発を進め、医師の声を盛り込むことで完成まで至った」としユーザーの意見を最大限取り入れた製品であることをアピールした。
 続いて、早川利郎氏(同社執行役員メディカルシステム開発センター長)は「レザリオ経鼻内視鏡EG-L580NWはレーザー光源を搭載しており、経鼻内視鏡にも関わらず経口内視鏡同等の視野角と画質を実現した。また、鉗子口径を拡大することにより、操作性、処置性能を大幅に向上しかつ吸引力も従来の7倍となった(鉗子有りの場合)」と述べた。
 春間 賢氏(川崎医科大学消化管内科教授)は、「がんや胃炎を早期発見するには、より詳細な診断が求められる。小さながんも発見するためには、微細な凹凸と色の違いを見極めることが最重要である。そこで強力なツールとなりうるのが、「レザリオ」に新たに搭載された「LCI」である。本機能は医師が見たい色を鮮明に映し出すことが可能となり、病変だけでなく、背景の粘膜も映し出す。医師が正確な診断を行えれば、日本の胃がん死亡率は確実に低下する」と語った。
 また、加藤元嗣氏(北海道大学病院光学医療診療部診療教授)は「従来、胃の粘膜を診断する際は、熟練の医師でも微妙な赤色を見極めるのは難しかった。しかしLCI導入により、微妙な赤色はより濃い赤へ、白はより鮮明な白の発色を実現した。結果ピロリ菌に感染して炎症を起こしている胃の粘膜を見つけ出し、客観的に診断することが可能となる。今後は、LCIも胃・十二指腸の内視鏡スクリーニングに使われるようになると期待される。」としてLCIにより感染者の早期発見が期待出来るとした。
 最後に、後藤禎一氏(同社執行役員メディカルシステム事業部長)より「今後、富士フイルムは医療現場のニーズに応え、医療の質、人々の健康の向上を目指し、社会に貢献していく」と締めくくられた。

玉井光一氏
早川利郎氏

春間 賢氏
加藤元嗣氏

後藤禎一氏
上部消化管用経鼻内視鏡「EG-L580NW」