サムスン電子ジャパン、乳腺の腫瘍診断をサポートする超音波診断装置「RS80A」販売開始

2014.10.16

 サムスン電子ジャパンは、乳腺腫瘍診断をサポートする機能を持った超音波診断装置「RS80A」の日本国内向け販売を開始した。BI-RADS(乳腺腫瘍判断基準)に基づいた約7,800件のデータをベースとする診断サポート、MEDISONの超音波診断技術、サムスンのIT技術を融合した製品として婦人科だけでなく放射線科や内科などでの貢献が期待される。
 

RS80A
会場では松原 馨氏によるRS80Aの操作実演があり、使い勝手の良さをデモンストレーションしていた。
サムスン電子ジャパン法人長
Bang Sangwon氏
サムスンメディソンマーケティンググループ
Yu Pilsung氏
元東京慈恵会医科大学放射線科技師長
松原 馨氏
サムスンメディカルセンター放射線科教授
Ko Eunyoung氏
亀田京橋クリニック診療部部長
戸﨑光宏氏
発表会会場

 サムスン電子ジャパン(株)は、乳腺腫瘍診断をサポートする機能を持った超音波診断装置「RS80A」の販売を開始し、発表会を10月11日、東京都(港区)で開催した。
 販売発表会では、まずBang Sangwon氏(サムスン電子ジャパン法人長)による冒頭挨拶があり、「RS80Aは、世界各国で採用されている機器であり、医工連携のできるサムスン電子ならではの製品として、日本での販売・普及について力を入れていく」と述べた。

 次にYu Pilsung氏(サムスンメディソンマーケティンググループ)よりRS80Aの機能説明が行われた。RS80Aは、米国放射線学会のBI-RADSに基づいたデータ約7,800件を搭載し、リアルタイムに正確性の高い診断サポートを実現できたという。同社のHybrid BF Engine evo、SDMRなどといったBモードイメージは従来より定評があり、クリアで高解像度、フレームレートが低下せずリアルタイム性が高い臨床画像の表示が可能で、「シングルクリスタルプローブ『S-Vue Tranceducer』の採用により深部の診断に際しても高解像度の画像を再現できる」と述べた。さらに診断支援のアプリケーションとしてS-DetectとE-Breast、E-Thyroidを搭載。S-DetectはBI-RADSに基づいた世界各国からのデータを元に腫瘤を描出するCADアプリケーション。E-Breastは病変の弾性比を色で、E-Thyroidは頸動脈の拍動で甲状腺の弾性比を表示するエラストグラフィ技術である。そして診断の現場での負担を減らす様々な工夫としては、サムスンのディスプレイ技術を用いた23-inch Full HD LED Displayや、操作パネルの配置を実際の診察レイアウトに対応した非対称配置としたことを挙げた。

 その後、松原 馨氏(元東京慈恵会医科大学放射線科)が登壇。松原氏は、RS80Aを試用して感じた有用性について、「SSD搭載により起動時間が約45秒と短い。またコントロールパネルのスイッチが右に寄せて配置されていることが、実臨床における術者と被検者の位置関係に則しており操作しやすい。プローブはケーブルが細く柔らかいため取り回しが良く、さらにルーチン検査のプリセット設定を検査部位ごとに設定できる機能が検査効率の向上に役立つ」ことなどを挙げた。

 続いて実際にRS80Aを運用しているKo Eunyoung氏(サムスンメディカルセンター放射線科)よりS-Detectによる乳癌診断の運用経験が報告された。サムスンメディカルセンター放射線科では、RS80AのS-Detectを用いて腫瘤性病変の解析を行い、1万件の症例を用いてBI-RADSカテゴリーとの適合性をチェックした。その結果、S-Detectによる腫瘍の良性・悪性の抽出精度は、読影医の診断結果に対して91.2%の一致率を示したと語った。

最後に戸﨑光宏氏(亀田京橋クリニック診療部部長)より、RS80Aへの期待と試用結果について講演が行われた。戸﨑氏は「日本では乳癌診療ガイドラインが用いられてきたが、世界的にはBI-RADSが主流であり、BI-RADSに基づいたRS80A のS-Detectを使うことで日本の診断の現場が国際基準のカテゴリー分類に慣れるきっかけになるのでは」と期待を寄せる。同院におけるS-Detectによる診断は、試用期間2週間・腫瘤性病変46例(良性26例、悪性20例)で、「当院医師による診断と比較してS-Detectの正診率は84.8%(感度90%、特異度80.8%)と高かった」と語った。