一般社団法人遠隔画像診断サービス連合会(ATS)第2回セミナーが開催

2014.02.06
石垣武男氏
小谷良一氏
市川 守氏
煎本正博氏
森脇博信氏
川村洋一氏
中村尚史氏
会場風景
 一般社団法人遠隔画像診断サービス連合会(ATS)による第2回セミナーが、2月1日、全国家電会館(東京都文京区)で行われた。
 今回のテーマは「遠隔画像診断における検診読影」。石垣武男氏(同連合会理事長)の開会挨拶の後、6題の講演が行われた。
 はじめに、特別講演として水谷良一氏(公益社団法人全国労働衛生団体連合会)による「健診(検診)における胸部エックス線の読影の現状 全衛連の立場から」が行われた。
 同連合会主催の「胸部エックス線精度管理調査」は健康診断の精度の維持・向上を目的として行われている。「10年前は17%程度だったデジタル画像が、平成25年度は90%に増加した」と同氏。同調査では各施設の読影モニタや読影室の輝度管理の状況をA~Dの4段階に評価する。低評価であるCやDを複数回連続して取得すると施設名が公表され、全衛連の立ち合い指導が行われる。また「労働衛生サービス機能評価」では、大項目10種、全171項目をチェックし、水準に達した機関には認定書を発行するという活動も行っているという。
 市川 守氏(ダイヤメディカルネット)による「『健診アンケート』結果集計報告」では、ATSの会員・準会員に向けたアンケートの結果が紹介された。「回答者のうち9割が検診読影を請け負っており、事業の25%を占める」「遠隔読影企業のネットワーク化は100%だが、結果を郵送している機関が6割と多く、フォーマットも依頼主により異なっている」など、現状が明らかになった。「今後もアンケートを継続し、読影結果のフォーマットや判定基準の統一化も視野に入れ、遠隔画像診断の社会的地位向上につながる活動をしていきたい」と同氏は結んだ。
 煎本正博氏(イリモトメディカル)による「検診読影のアウトソーシング」では、遠隔検診画像読影の目標と展望について語られた。「検診読影の殆どが遠隔画像診断サービスにアウトソーシングされている今、フィルムレス時代の良好な検診画像診断のための精度管理こそが重要」と述べ、他団体と協力してのフォーマットの統一、ネットワークを利用しての医師の相互技術向上等を行い、検診読影の普及と質の向上を目指していくとした。
 森脇博信氏(ドクターネット)による「検診画像の実際」では、同社の遠隔検診読影の現状が図説された。検診施設ごとの判定システムから、同社のコード表と対応させフォーマットを作っていく苦労や、医師・依頼施設・社内など各所から発生する問題点などがあげられ、なかでも「医師ごと、施設ごとの判定結果のばらつきを抑え、より客観的な評価を行っていくため今後も定期的に調査を続けたい」とした。
 新たな試みとして、「シリーズ 遠隔画像診断事例紹介」も発表された。第1回にあたる今回は、川村洋一氏(ループス)より、イリモトメディカルにおける事例が発表された。同シリーズは、遠隔画像読影企業で実際に起こったトラブルを提示し、会全体の問題点として共有化を図ることを目的としている。
 最後に、「ATS会員向け団体保障制度『遠隔画像診断専門賠償責任保険』の説明」が中村尚史氏(損害保険ジャパン)よりあった。この新しい保険は、「医師賠償責任保険をベースに、医師の在不在、患者と会社の関係性などに拘わらず、すべての遠隔画像診断企業に一定の保障を約束することを趣旨に編成されている」とし、想定されるケース等が説明された。