第29回日本脳神経血管内治療学会学術総会: Dual Energy CT を活用した脳動脈瘤コイル塞栓術後評価

category:取材速報
2014.01.08

第29回日本脳神経血管内治療学会学術総会

シンポジウム8(放射線技師部門)
脳血管内手術における画像支援のポイント:術前から術後まで

シンポジウム会場
第29回NPO法人日本脳神経血管内治療学会学術総会が2013年(平成25年)11月21日(木)~23日(土)、朱鷺メッセ 新潟コンベンションセンターで開催された。
シンポジウム8では、「脳血管内手術における画像支援のポイント:術前から術後まで」と題し、CT、MR、US、AX(血管造影)の4領域で診療放射線技師はどのような画像支援を行えるか、をテーマに4名が登壇した。
US部門からは今田秀尚氏(刈谷豊田総合病院)、MR部門からは北川 久氏(東京慈恵会医科大学附属第三病院)、AX部門からは栗山 巧氏(先端医療センター)がそれぞれ発表を行った。
CT部門は笹森大輔氏(札幌白石記念病院)より、「Dual Energy CT を活用した脳動脈瘤コイル塞栓術後評価」について講演が行われた。本稿では、その概要を紹介する。

Dual Energy CT を活用した脳動脈瘤コイル塞栓術後評価

札幌白石記念病院
笹森大輔 先生

図1 エネルギー変調とCT値
図2 コイル塞栓術後CTAの選択利用法
図3 61y/F Rt.ICA unruptred aneurysm
図4 再発動脈瘤内における血流解析の可能性
図5 VRDの描出(MIP画像)
図6 57y/F Rt.ICA unruptred aneurysm
CTによる脳動脈瘤評価
CTによる脳動脈瘤の存在診断や手術支援についてのエビデンスは確立しつつある。『脳卒中治療ガイドライン』でも「3D-CTアンギオグラフィによる脳動脈瘤の検出能はDSAとほぼ同等であるとの報告や、外科手術を行う上での情報がDSAより勝っているとの報告もある」といった記述がみられる。
これからは血管内治療領域において、CTがどれだけ術後戦略や再治療戦略に寄与できるかが課題となるだろう。脳血管内治療はインプラント・デバイスに対する依存度の高い治療であり、CT検査ではデバイス由来のアーチファクトにより評価が困難な場面が多いためである。特に脳動脈瘤コイル塞栓術の経過観察はより慎重に行う必要があり、いまだ多くの課題を抱えるCTは、新たな技術をもってこの領域に入っていかなければならない。

Dual energyへの注目
そこで注目したのがDual energy Imagingである。札幌白石記念病院では、Fast kV Switching方式を採用したDual energy CTを2011年に導入した。
Dual energy CTによる仮想単色X線CT像(Monochromatic Image)は、Beam Hardning効果が抑制され、エネルギーに対する線減弱係数の関係は1対1となる。そこで、デバイスの線減弱係数に応じた最適なエネルギーレベルで画像再構成を行えばどうか。例えばコイルの組成はプラチナとタングステンで、極めて高い線減弱係数を有している。これがアーチファクトの原因であるため、低い線減弱係数の部分で画像を再構成すればアーチファクト低減対策になるのではないか。これらの仮説に基づき、実際にコイルのCT値を測ってみたところ、コイルのCT値は3071HUの一定値(表示上限値を振り切った状態)を示し、実際には臨床使用上の制限があった。
この結果はCT装置の12bit階調制限によるものと考え、階調制限を利用したエネルギーサブトラクションの臨床応用を考案した。造影剤のCT値は高濃度ほど低エネルギー側で高値を示し、コイルのCT値はエネルギー変調によるCT値の変動を示さない(図1)。そこで、最も変化量が大きい40-140keVのエネルギーサブトラクションを利用すると、従来のCTAでは得られないような高いCT値が得られることになる。
コイル塞栓術後CTAにおける実際の利用法としては、まずLive ImageとMask Imageを撮影。撮影後に40-140keVのエネルギーサブトラクションによるMonochromatic Imageを作成すると、コイルそのものは消去され、造影剤のCT値は上昇する(図2)。実際の症例(図3)では、Monochromatic Imageではコイルに近接した血管の欠損が見られるが、エネルギーサブトラクションを行うと、高いCT値の確保により欠損は解消していた。

Dynamic Subtraction Cine CTAとの併用
Dynamic Subtraction Cine CTA(DSC-CTA)との併用も可能で、Base Image法を用いれば時系列で、Sequential Image法では単位時間で、造影剤濃度の変化量を画像化することができる。コイル塞栓術後のフォローアップにおいては、従来のCTではアーチファクトにより脳動脈瘤内血流の再開通が評価できなかった症例が、エネルギーサブトラクションとDSC-CTAのBase Image法を用いると、再発動脈瘤内の血流を捉えることができる。MPRなど3Dでの評価も可能で、従来のゴールドスタンダードであるDSAと比較しても描出能には大きな差異を認めなかった。患者にとっても、入院が必要なDSAが、外来通院で可能なCTAに変わることで、負担の軽減につながる。MRI適用外の患者に対してもメリットは大きい。
またBase Image法は時系列での造影剤濃度を反映しているため、Time density curveの取得が可能で、再発動脈瘤内の血流解析にも応用が期待される(図4)。またSequential Image法でHigh densityな箇所は周囲よりも血流の早い部分を示しており、経時的な追跡を行うことで再治療戦略への指標となる可能性があると考えられる。

VRD
当院ではVRD(頭蓋内血管再建機器)を併用した脳動脈瘤コイル塞栓術も行われ、術後評価が行われている。VRD併用脳動脈瘤コイル塞栓術後のフォローアップにおいてポイントとなるのは、塞栓結果、コイルの逸脱、VRDの形状、マーカー位置、キンクやステント内腔の潰れの確認など、塞栓血管の評価やデバイスの評価がポイントで、CTにアドバンテージがある。
代表的なVRDのストラット部分の組成はニッケルチタンで、線減弱係数の低い物質である。VRDの描出能をMIP画像で観察すると、40keVで最も高いCT値を示し、ストラット部分まで確認できた(図5)。実際の症例において術後の40keVのMonochromatic Imageを撮影したところ、コイルとステントを明瞭に描出することができ、エネルギーサブトラクションを行うと、塞栓血管の評価も可能であった(図6)。ステント内腔の潰れがみられる症例に関しても状態が確認でき、造影剤情報を重ねて表示すれば、ステント外に流れている様子が観察できた。

まとめ
当院ではDiscovery CT750 HD導入後からCT検査件数は増加しており、中でも頭部CTA、特にDual energy撮影であるGemstone Spectral Imaging(GSI)の検査が大きく増えている。前述のとおり、Dual Energy CTによって脳動脈瘤コイル塞栓術後評価が可能となり、VRD併用の術後評価も可能となった。DSAに比べ、CTで低侵襲・短時間に検査できるメリットは大きい。このような頭部CTAにおけるGSIの活用法を勉強会などを通じて情報発信し、普及してきたことが検査数増加という結果に表れているのではないかと考えている。今後外来でフォローアップに活用されるシーンが増え、脳動脈瘤の新たな画像診断にもつながることが期待される。 

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