【Close Up!緊急インタビュー】 次世代イメージング・ソリューションを進めるGEヘルスケアの医療IT戦略~日本が抱える課題を「Centricity Universal Viewer」によって解消~

2013.03.15

ヘルスケア業界のリーディングカンパニーとして、世界の医療を支えるGEヘルスケア。世界に先駆けて超高齢社会を迎える日本市場を見据え、独自の戦略「医療ITイノベーションプロジェクト」を掲げるなど、医療IT市場に注力している。同社の世界戦略を策定しているビル・ストーバル氏に、市場戦略や新製品の特長などを伺った。

GEヘルスケア
ネクスト・ジェネレーション・イメージング担当
バイスプレジデント兼ゼネラル・マネージャー
ビル・ストーバル氏(Bill Stoval)
◎GEヘルスケア・ジャパンでは、3ヶ年にわたり「医療ITイノベーションプロジェクト」を遂行していると伺いました。どのような趣旨なのでしょうか?

当社の世界戦略「ヘルシーマジネーション」に基づき、日本では「Silver to Gold」戦略を進めています。これは、世界に先駆けて超高齢社会を迎える日本において、高齢世代の生活をより輝かしいものにすることが目的です。診療・検査効率の向上や医療施設間のネットワーク化、医療従事者と患者さんとのコミュニケーションの改善といった要素が、私たちに求められています。つまり、医療ITが果たす役割は、年々比重が大きなものになっているのです。そのなかで我々は、今の市場が直面している、“3つの課題”を検討し解決することを目標に掲げました。
1つ目の課題は、“生産性”です。日本の放射線科医は多忙なため、業務の効率化を図り、より生産性が上がるような製品が求められています。例えば、日本の放射線科医1人あたりの平均読影件数は年間約8,200件程度。一方、アメリカの放射線科医1人あたりの平均読影件数は約2,700件程度。つまり、日本の放射線科医はアメリカの放射線科医の3倍読影していると言えます。だからこそ、ワークフローの改善がはかれるような生産性の高い製品が求められているのです。2つ目の課題は、“技術的なチャレンジ”です。さまざまなIT技術が開発されている中、それらを見極め、統合させていく必要があります。3つ目は“臨床的な課題”、つまり 高齢世代の患者さんはもとより、急性期の患者さんへの対応が必須となります。
医療ITイノベーションプロジェクトでは、これら3つの課題すべてを解決するソリューションを提供することを目的として、日本を含む世界3か国に置かれた20以上の開発チームが、「生産性とビジュアリゼーション」、患者ケア全体を向上させる「ワークフロー」、患者さんと最適なコミュニケーションを図るための「コラボレーション」の3つに注力して取り組んでいます。

◎RSNA2012でも話題を集めていました「Centricity Universal Viewer」が、ついに日本で販売開始となりました。その特徴を教えてください。

医療ITイノベーションプロジェクトの3つの注力分野の一つであり最初のステップである「生産性とビジュアリゼーション」のソリューションとして発売するのがこのCentricity Universal Viewerです。この製品の開発にあたっては、日本の放射線科医から寄せられた多くのニーズを反映させました。例えば、シンプルで使いやすいユーザインターフェースです。複雑な作業がいらないシンプルなつくりになっており、作業効率を低下させるような繁雑な操作をなくしています。また、院外からでもタブレット端末などを使用しアクセスできるよう、「ゼロフットプリント」対応バージョンのリリースも今後予定しています。これにより、院外からでも患者情報へのアクセスが容易になり、より作業効率を高めることに成功しました。
また、「アドバンスト・ビジュアリゼーション」(※1)も注目していただきたいポイントです。当社のワークステーション「Advantage Workstation」(AW)にて培ってきた先進的なアプリケーションの数々を、本ビューワでも使用できるようにしました。
最後に紹介したいのが、インテリジェント・ツールが充実している点です。そのひとつの例が「スマート・リーディング・プロトコル」であり、これには業界初となる機械学習アルゴリズムが搭載されています。システム自体が放射線科医の作業を予測し、ハンギングプロトコルを学習してくれるものです。保管画像にあるパラメータやテキスト情報に基づき、個々のユーザの好みに合わせたスクリーン配置を自動で行ってくれます。セットアップにかかる時間を大幅に短縮できるため、ユーザにとっては大きなメリットと言えるでしょう。

※1高度な可視化ツール(マルチモダリティ画像の重ね合わせ、3Dレンダリング、プリプロセッシング、自動骨除去, 血管抽出機能や抗がん剤の治療効果判定ツールなど)

◎日本の開発チームが大きく関わったと伺っております。どのような役割を果たしたのでしょうか。

世界でもトップクラスの生産性を誇る日本の放射線科医のワークフロー、そしてそのニーズを製品に反映することは、世界の医療にとっても必ずプラスになると考えた我々は、日本に開発チームを配し調査・検討・開発を進めました。そこでわかったのは、日本の読影医は世界水準よりも先進的で高度な機能を使いこなしているということです。日本の放射線科医は、対応を求められる診療科の範囲が広いため、より多くの高度な機能が使えなければなりません。そこで日本の開発チームがワークフローをはじめとする業務の1つ1つを調査し、ニーズを製品に盛り込んでいったのです。実現することは大変難しかったのですが、AWの諸機能をシームレスに使用できるような仕様をとるなど、より高度な作業がシンプルな操作で行えるようにしたのです。

◎ITEM2013でも同製品は展示されるそうですが、「ここだけは見逃さないでほしい」という点を教えてください。

「アドバンスト・ビジュアリゼーションツール」を一目見てもらえれば、従来のビューワとは全く違うものだと理解していただけるはずです。3D画像やMIP、MPRなども簡単に表示できますし、血管抽出機能や抗がん剤の治療効果判定ツール(※2)などもぜひ試してみてください。先日、ユーザミーティーングを行ったのですが、参加した放射線科医の皆様から非常に好評をいただきました。我々の3ヶ年計画の考え方が、現場でのニーズと合致していたことを証明できたと思います。将来的な医療の変化を見据えながら、今後も医療全体の質を上げ、生産性を上げられる製品を提供していきたいです。

※2病変をWHO、RECIST1.0、RECIST1.1に準拠したパラメータで計測、レポート作成するアプリケーション。

※「Centricity Universal Viewer」の製品情報につきましては、下記URLからご高覧ください
http://greenwalrus5.sakura.ne.jp/wp/product/25552/