クックジャパン、日本初のPAD治療用デバイス「Zilver(R) PTX(R)薬剤溶出型末梢血管用ステント」発表会を開催

2012.07.13
矢込和彦氏
ロブ・ライルズ氏
浅見光雄氏
大木隆生氏
「Zilver(R) PTX(R) 薬剤溶出型末梢血管用ステント」
会場風景
 クックジャパン㈱は7月12日、コンファレンススクエアエムプラス(東京都千代田区)にて「Zilver(R) PTX(R)薬剤溶出型末梢血管用ステント」のメディア発表会を開催した。
 はじめに、矢込和彦氏(同社代表取締役)が登壇し、同社の製品開発力や今後の展望について述べ、「クック社は最新鋭の医療技術開発に率先して取り組み、世界中の患者様のケア向上を目指す」と同社のミッションを語った。
 続いてロブ・ライルズ氏(クックメディカル本社PI事業部国際事業部長)、浅見光雄氏(同社副社長)が続けて登壇し、同製品開発の背景やビジネス戦略、治験から申請・承認までの流れ、同製品の特徴などを語った。ロブ・ライルズ氏は「日本が重要な市場であると認識している。本製品も80億円を投入して開発した」と述べた。浅見氏は「同製品の国際共同治験は日米医療機器規制調和(HBD)の一環として行われた。同製品の特徴としてはポリマーフリーのパクリタキセルコーティングが挙げられ、ポリマーによりもたらされる可能性のある有害な影響の懸念がない」と語った。
 その後、大木隆生氏(東京慈恵会医科大学外科学講座統括責任者・血管外科教授・診療部長)が「血管病治療の最前線とデバイスラグ問題」をテーマに講演。人は年齢が上がるにつれ血管病の罹患率が上がることに触れた上で、「食生活が欧米化した世代の高齢化などで、血管病治療のニーズはこれからも増えていく。血管外科の収入稼働額や診療報酬請求額の急激な増加をデータが示していることからも伺えるように、血管病が本邦において医療の主役になっている」と語った。
 PAD(大腿-膝窩動脈領域における末梢動脈疾患)については、「閉塞性動脈硬化症においては、放置すれば下肢切断率は半年で50%であり、下肢切断をしても血行再建がなされなければ再発してしまう」と血管病の危険性について述べた。
 血管内治療については「バイパス手術は侵襲が高いことが欠点であり、低侵襲治療が可能なステントは有用である。しかし、これまで日本では浅大腿動脈閉塞(ASO)に対する低侵襲治療においてはバルーンしか使用できず、欧米と比べて約10年は遅れている」とした上でさらに、「デバイスラグの大きな原因は日本で治験が行われないことにあり、マーケットが小さく、薬事承認のハードルが高い日本はメーカーに後回しにされてしまう。しかし、ZILVER(R) PTX(R)においては同一プロトコールによる日本初の国際治験を2007年から行なってきた。これは米国で同製品の運営委員を勤め、メーカーとの信頼関係を築いていた私が日本へ帰国したこともあり可能となった」と述べた。「この国際治験は日本の4施設(東京慈恵会医科大学附属病院、小倉記念病院、奈良県立医科大学附属病院、京都大学医学部附属病院)と米国50施設で行われた。この治験において、同製品が術後5年を経過しても再狭窄を起こさないことが確認され、薬剤溶出ステントである同製品の有用性が実証された」という。
 「この国際治験の結果、日本が米国よりも先に同製品の保険適応を受けるという逆デバイスラグ状態が生じた」として、同氏は「これを日本の治験環境整備の足がかりにしたい」という夢を語った。

本会の一部模様を動画にてお届けいたします。