平成16年9月18日土曜日に、東京コンファランスセンター・品川にて開催された第4回子宮筋腫塞栓療法研究会に参加した。昨年は、他の研究会と日程が重なって出席できなかったので2年ぶりの参加となったが、この2年間は何だったのだろうと大いに不満が残った。一般演題が24題に子宮筋腫の画像診断に関する教育講演が1題という構成であったが、UAEに関して新しい知見はほとんど何もえられなかったに等しく、何かコンセンサスを形成していこうという動きも全く感じられなかった。
最初のセッションは症例報告であり、このセッションだけが討論が盛り上がって楽しかった。ただ、このセッションで時間を20分以上超過したことが、以降のセッションで質問の数を制限したり討論時間を制限する雰囲気につながったのは残念である。また、関東IVRの報告にも書いたが、だらだらと制限時間を大幅に超えて発表する演者が目立ち、彼らに座長や運営責任者が注意しないのは問題である。PCプレゼンになって、この傾向が強いように思う。時間超過はみんなに迷惑をかけるだけでなく、討論時間を制限することで医学の進歩を妨げることになるのだということを、発表者は銘記していただきたい。
症例報告は、肉腫であった症例や肺塞栓の症例、卵巣動脈から栄養されていた症例、UAEと核出術の後に妊娠した症例など、多くは貴重な報告であり、前述のように討論も盛り上がっていた。ただ、ひとつ気になったのは、患者のイニシャルや施術日が記載された発表があったことである。ご存じのように現在では、患者を特定しうる情報をこのようなオープンな会で開示することは厳に慎むべき行為である。実際、イニシャルや日付は不要なはずなのだから。
続いては、各施設の治療成績に関する報告がいくつか続いた。きちんとしたプロトコールに基づくprospective
studyと思われたのは済生会滋賀県病院からの発表だけであったこと、そしてどの演題に関しても白熱した討論がほぼ全く無かったことが、とても残念であった。またUAEと腹腔鏡手術の術後QOLを比較検討したという発表もあったが、ランダム化されているわけでもなければ背景因子が揃えられているわけでもない。それぞれの術後QOLがどうであったかという検討は重要だし、聞かせていただいた甲斐があったが、このような不揃いな2群を「比較」することに科学的な価値はほとんどない。この演題というわけではないが、学会や研究会で「今後、症例を重ねてさらに検討したい」と結ばれる発表は極めて多い。しかし、科学的に価値の低い研究デザインのままだと、100例が200例になったところで、医学に与えるインパクトの差は皆無に等しい。臨床医はもう少し、科学的な視点で研究を進める必要があろう。
UAEの被曝量に関するファントム実験の報告が放射線科からあったが、演者はいくつか出た疑問・質問にまったく答えられなかった。婦人科医が同席している会で、放射線科医がこういうことではとても困る。放射線科医こそが、被曝の専門家であるはずなのだから。
UAEで血清タンパク群がどのように変化するかという発表があった。とても難しい学術的研究のようで浅学非才な私には全く理解できない高度な内容のようであったが、とにかく気になったのは、患者の内腸骨静脈にカテーテルを12時間留置して経時的に採血を行った研究であった点である。いかにインフォームドコンセントを得ているからといって、本当にそんなことが許されるのか、それほど医学の進歩にとって重要な研究なのか、凡人の私には大いなる謎であった。
合併症のセッションでは、感染の問題が大きかったのは今まで通りである。マーカインと塩酸モルヒネを用いた硬膜外麻酔による徹底した疼痛管理の演題もあったが、これも何の討論も無く終わってしまった。
CTアンギオやMRアンギオの有用性に関する演題もあった。確かに有用なのだが、問題は時間とコスト、そして前者では加えて被曝量である。これらが正当化される症例があることは確かだが、高級な装置を安価に使える日本以外では施行しづらい手技であり、今後どうなるのかは不明である。
一般演題24題中放射線科からの発表がまだ約3分の1にとどまっているのは、好ましい状況だと思う。UAEの細かい技術的問題にばかり議論が進みすぎると、婦人科医が発言しづらくなってしまう可能性がある。婦人科は、ほとんどの施設で患者への窓口であるし、術後管理を担当していただいていることが多い婦人科医の参加率が高く保たれないと、この治療法は展望が開けない。是非、このような専門科の枠を越えた会はずっと続いて欲しい。ただし、繰り返しになって申し訳ないが、とにかく実のある討論が乏しかったことには、とても落胆した。また豪華な会場、豪華な懇親会には、どうしても違和感を感じるこの頃である。