NEWS 2004.8.5



JCRミッドサマーセミナー 2004.7.31-8.1 神戸ポートピアホテル

7月31日、8月1日の土日でJCRミッドサマーセミナーが開催された。
参加者は約900人。春秋の日医放総会・大会に比べると少ないようだが、総会などに出席する年齢層の高い会員が少なかったことを考えると、むしろ、若い放射線科医がめだち、活気のある会であった。
今回は神戸で開催し、ポートピアホテルの大輪田の間を分割しA・B会場とした。会場間には広いフリースペースが設けられ、食事や喫茶・休憩、質疑応答などに有効に使われた。
時間配分は各会場とも90分の講演に30分の休憩が設けられ、余裕のある配分となっていた。A・B会場のプログラムに30分の時間差が設けられたことも、中央のフリースペースを有効に使うことができ、いいアイデアと考えられた。
プログラムは世話人の京都市立病院の早川克己先生が中心となって作られた。すべてに出席することができなかったので、一部のみ報告する。

【第2日 あなたはどこまでわかっている? 医療被曝】
最近なにかと話題の医療被曝・障害がテーマに取り上げられた。
遠方からの参加者の利便を考慮し、セミナー全体の終了時刻を早くする目的で、開始は午前7時30分という異例の早朝からとなったが、開始時から多くの出席者があった。
愛知医大の石口恒夫先生は、"IVRの被曝 - ICRP Pub 85勧告をふまえて - "という演題で、IVR医の知るべき被曝のメカニズムと低減の具体的方法を整理して講義された。特に、装置のセッティングによっては同じ装置でも数倍の被曝量の差があり、自ら使っている装置についての再確認の必要を訴えられた。
また、心臓や脳血管のIVRだけではなく、肝動脈塞栓術でも皮膚障害がおこることを、自験例を持って示された。特に繰り返し治療を行う場合には、事前診察で以前の治療による皮膚障害の有無を確認しておくこと、インフォームドコンセントを行っておくことの重要性を強調された。さらに、障害の危険性のある被曝を与えた場合には、術後の長期間にわたるケアが必要であることも話された。
障害防止、早期発見のためには、術中の線量モニターは大切であるが、本邦で販売されている血管撮影装置の多くにはリアルタイムモニターは装備されておらず、この面での対策が必要であることを訴えられた。
また、術者自身の被曝に関し水晶体への影響については、実例をあげて紹介し、線束の工夫などによる障害防止方法を提案された。一方、IVR医と腰痛の関係にまで触れられたうえ、プロテクターの正しい選択と着用法を示され、適切な防護方法についてのお話されたことは大変参考になった。
なお、IVRによる放射線性皮膚障害については"専門医会NEWS 125、2001"で特集され、石口先生も執筆されている。参考にされたい。
講演の冒頭に石口先生が参加者への設問として示されたスライドが興味深いので紹介する。
正しいのはどれか?

  1. 患者の皮膚線量率は血管撮影装置のテーブル位置が高いほど、低い。
  2. 散乱線の主な発生源はX線管球である。
  3. 防護エプロンは重いほど散乱線遮蔽率が高い。
  4. IVR医は他の医師に比べ椎間板障害が多い。
  5. 頚部防護具(ネックガード)は甲状腺癌の予防に有効である。
講演の最後では、参加者はこの設問の正解はaのみであると、回答できるようになっていた。
このセッションの後半は公立甲賀病院の坂本力先生による"あなたは患者さんに医療被曝について説明できますか? - Lancet論文をふまえて"と題する講演である。坂本先生は誰もが認める放射線診断界の識者であるが、医療被曝に関しても大変造詣が深く(ご本人は早川先生に云われてから勉強したとおっしゃっていたが)、up to dateな話題も含めて、その一端を講演された。この講演の趣旨は、その内容を坂本先生から学べということではなく、画像診断に従事する放射線科医が持っておくべき放射線防護と障害の知識のミニマムリクアイアメントを提示され、再確認を求めたと考えてよいであろう。

その他の講演でも早川先生企画のプログラムらしく、各分野の放射線専門医に加え、臨床や病理の専門家にも講演を依頼し、画像との比較が論じられたセッションも多く、盛況であった。しかし、一部のセッションでは、疾患を列挙し、その画像を解説したにとどまったアトラス的講演も見られた。来場者の中には困った病変に遭遇したときの診断プロセスなどを期待して参加した医師も少なくない。所見から診断を導き出すGamut的方法論を解説するような講演がさらに増えることが望まれる。
今回も症例展示・投票はなされたが、フィルムリーディングセッションを行わない異例の形をとった。いまや、フィルムリーディングセッションは春秋の大会でも常設となり、マンネリ化の印象もいがめない。今回はセッションの合間の休憩時に展示症例を解説するスライドショーを流し、結構効果的であった。この方法がベストとはいえないが、学会での症例展示の方法のブレイクスルーとなることを期待したい。
来年の本セミナーは7月23、24日(土・日)で同じ神戸での開催の予定である。今回は夏休みとGLAYのコンサートが重なって、ホテルの確保に難渋した。早めの予約をおすすめする。

(有)イリモトメディカルイメージング 煎本正博


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