NEWS 2004.7.19



第16回 関東IVR研究会報告

平成16年7月17日に、京王プラザホテルで開催された第16回関東IVR研究会に参加した。うだるような暑さの東京だが、会場は凍えるように寒く、私をはじめ初老の医師達は頻繁にトイレに通うこととなった。もう少しホテルも省エネに配慮してもらいたいものである。

さて、関東は規模が大きい上に年に一度の開催なので、演題数も多く、プログラム編成は大変であったと思う。今回は一般演題が48もあり、それ以外の企画はランチョンセミナーと最後の「コツと技」と題された教育講演(私は最終便の都合で残念ながら聞けなかった)を入れるのがやっとという感じであり、それでも予定終了時間は18:50であった。地方会の常として、症例報告が大半なのは当然であり、それも貴重なのだが、今回は残念ながら例年に比べてわくわくするような症例は少なかった印象である。しかしその一方で、関東IVRは、関西・中部と比べると、討論が極端に少なくて会場がし〜んとしていることが多いのが例年の印象なのだが、今回はかなり討論は多く、このために時間は予定から大きく遅れていった。討論が盛り上がるのはまことに結構だが、制限時間を守らない演者が多かったのには閉口したし、持論を長々と述べる質問はほどほどにしてもらいたい。

印象に残った演題を下記に列挙する。

びまん性神経線維腫に対する術前TAEの報告があった。単発で大きい腫瘍の場合、切除してほしいと患者は願うだろうが、皮膚科医の多くは「出血が多くて危険なので手を出してはならない」と教えられている。それが術前TAEを併用することで極めて少ない出血量で切除された4例の報告であった。驚くほど劇的な効果であり、とても印象深かった。

慈恵医大柏病院から肺腫瘍に対するRF治療の初期成績が発表された。他施設と大差は無い結果だが、興味深いのは、柏病院は凍結凝固治療を日本で最も熱心にやっている施設の1つだと言うことである。現在は、肝臓・腎臓・子宮を凍結で、肺をRFでやられているようで、その理由は医学的なものではなく、治験の関係でということであった。RFと凍結は、それぞれが独自に成績を蓄積して、真のエビデンス無しに「有効」と結論づけている報告がほとんどである。どちらの方法がよいのか、両者をどう使い分けるのが正しいのか、是非、prospectiveな臨床試験でエビデンスとともに示して欲しいと思う。

リザーバーについての演題がいくつかあったが、何となくリザーバー研究会と比べると"5Fの投げ込み"が平気でされているなど、ちょっとレベルに問題がある印象を持った。リザーバー研究会の世話人も大勢いるのに不思議な現象である。

透析シャント症例に生じた左腕頭静脈狭窄にWallstentを留置したところ、左反回神経麻痺を生じた報告があった。透析シャント機能不全へのIVR症例は全国的に急増しており、中心静脈狭窄へのIVRも当然増加しつつある。この部位ではステントを留置することが多いので、インフォームドコンセントに加えるべき合併症かもしれない。ただ、この症例では、ステントのフレア部分が問題だったのでは?という印象も持った(真偽は不明)。

骨盤内うっ血症候群を塞栓で治療した演題が2つあった。この手技は最初の発表から10年以上たつのに、いまだに一般化する気配がない。この疾患について全く知らない婦人科医がまだとても多い。自験例でもつい昨年、典型的な症例を診察し、1時間かけて患者さんに説明したのだが、その患者が普段通院している某大病院の婦人科医にそれを伝えたところ、「そんな病気は聞いたことがない、そんな侵襲的な治療は危険だから止めなさい」と言われてしまった。この手技の辛いところは、画像と症状の相関性が他のIVRに比して低いという、かなり根元的な問題を有している点であり、今後も一般化するかどうかは疑問である。ただ、本手技が劇的に奏効する症例が確実に存在するのも事実であり、今後も婦人科医・内科医への働きかけを続けて行かねばと思う。

下肢動脈閉塞では、塞栓防止バルーンの併用、線溶療法の併用、血栓吸引カテーテルの併用などが報告され、コストについての討論もあった。コストを論じる際には、「保険が通るかどうか」は、確かに病院にとって重要な因子であるが、保険が通るからといって高いデバイスを安易に使っても良いという訳では勿論ない。IVR医は、患者にとって最善の方法をとるのは当然であるが、コストに関しては、自分の病院にとっての経済性と医療全体の経済性の両方を考慮してデバイスを使うべきであろう。

血管造影しただけで(塞栓していないのに)壊死した肝細胞癌2症例の報告があった。不思議な現象だが、かなり多くのIVR医が、1例くらいは経験しているだろう。急速に増殖しすぎて自滅するのとタイミングが同じだったのか、手技で一時的に血流が低下したのがきっかけになったのか、真実はいまだに良くわからない。

医療過誤(動脈圧モニタのために入れていたのを誤って切断)で、手動脈分枝に迷入したテフロン針(外套)を経皮的に回収した症例があった。異物が透視では見えないので、マイクロスネアの動きだけで(おそらく手の感触も)つかんだかどうかを判断されていた。ビデオが臨場感にあふれていて楽しかった。

IVRコンサルタンツ 林信成


HOMEへ戻る
Copyright 2004 Medical Eye, All rights reserved.
●お問い合わせは eda@medical.email.ne.jp