平成16年度厚生労働省がん研究助成金「がん治療におけるIVRの技術向上と標準化に関する研究班」(荒井班)の本年度第1回の班会議が開かれた。班長である荒井保明先生が愛知県がんセンターから国立がんセンター中央病院に転任されたのに伴い、会議も国立がんセンターで開かれた。今回の班会議ではまず最初に、これを母体として組織された研究グループであるJIVROSGで進行中の10本の臨床試験について、現在の進行状況が報告された。中には症例登録の症例数がまだとても少ないものも含まれているが、多くはさほどスピーディーではないものの順調に症例の蓄積が進んでいる。来年、淡路夢舞台で開催されるIVR学会の国際シンポジウムでは、かなりのデータが発表できるのではないかと期待している。
今回の班会議で画期的であったのは、肝細胞癌のTACEについてもついに臨床試験を行う準備が始まり、コンセプトシート作成の段階までは来たことである。TACEに関しては、我が国が世界で最先端の技術と経験を有しているにもかかわらず、レベルの高いエビデンスは何ら発信していないし、スペインやイタリアなどから発信される報告も、その具体的内容には問題が少なくない。今回は、「シスプラチン粉末溶解液の動注にゼラチンスポンジの塞栓を追加する」という手技の臨床試験であり、現在のTACEの標準的方法とはいささか異なるが、これがきっかけとなって、このデータを元に、リピオドールの是非やアドリアマイシンをはじめとする他の薬剤との比較試験の立案が容易になることが期待される。荒井班にとって、今まで意識的に避けてきた(逃げていた?)領域についに足を踏み入れたわけであり、何としても成果が上がって欲しいと切望している。
なお、本研究グループの活動内容に関しては、下記のHPで内容を知ることができます。
http://jivrosg.umin.jp/index.htm