NEWS 2008.5.27


JIVROSG 平成20年度第一回全体会議

〜より大きく、より広範囲に、IVRに貢献していく〜


林 信成(IVRコンサルタンツ)

  平成20年5月24日に愛知県がんセンター中央病院にて、JIVROSGの平成20年度第一回全体会議が開かれた。細かいことまでご存じの方は、この会議の報告の表題名が微妙に異なってきていることにお気づきかもしれない。そう、この組織は元々、IVRの有効性を世の中に知らしめるために、厚生省がん助成金の班会議の一つとしてその前身が始まった。しかし、現在では実に10以上の関連する研究班・事業班が、このJIVROSGという組織の一員となったり連携したりしているのである。諸般の事情でその詳細をホームページで紹介することはできないのが残念だが、今やこの組織は人的にも資金的にも発足当時を思えば格段に大きくなっている。また厚労省との連携もますます良好になっているようであるし、IVRに関して手技・デバイス・薬剤のいずれの面をとっても、多くの患者さんにとって望ましい方向へと進みつつあると確信している(きわめて抽象的な表現ですみません。前述のように決まっていないことまで希望的観測で具体的なことは書けないので)。
  今回は最初に代表者である荒井先生が、約1時間にもわたって現状の説明をされた。これは極めて異例のことであったし、発足当時からずっと参加している者たちは、きっと様々な感慨を持ちながら「ようやくここまで来たか」と思いながらも、これからますます高まって行くであろうこの組織の責務の大きさを改めて認識し、気を引き締めたに違いない。しつこいが、詳細は書けないものの、この組織が行ってきたこと、そしてさらに推し進めようとしている多くのプロジェクトは、間違いなく数年以内に次々と具体的な形で臨床の現場に反映されることと確信している。今はその程度で、どうかお許し願いたい。

  今回、極めて画期的なイベントといえば、新規の臨床試験として「骨粗鬆症性圧迫骨折に対する経皮的椎体形成術」に関する第II相臨床試験実施計画書が提出されたことであろう。誰もがおやっと思うかもしれない。JIVROSGの名前は「腫瘍に対するIVRを研究する組織」という意味である。子宮筋腫の場合はまだ、腫瘤性病変なので容易に受け入れられた。しかし骨粗鬆症となると、Oncologyとは何の関係もないといっても過言ではない。しかし、この手技・それに必要なデバイス・薬剤が公に認知されることは患者さんにとってもIVR医にとっても大きな意味があることであるし、それを進めるための組織としてJIVROSGが最適であることに異議を唱える者はいないであろう。この手技は、未熟な術者が安易に過剰に行うことが決してあってはならない一方で、熟練した術者が正しい適応で行えば、患者さんのQOLを劇的に改善し、結果として最終的な医療コスト・社会的コストを大幅に改善できる手技だと確信している。是非とも多くの方がこの趣旨に賛同してくださり、試験に参加してくださることを祈っている。

  なお現在進行中の試験の進行状況については、ペースはおおむね従来通りである。何度も症例不足で存続が危ぶまれた骨盤内悪性腫瘍に対するRFAにしても、合併症が続けて生じたために一時中断に追い込まれた大静脈ステントにしても、ともに何とか生き延びることができて続いている。日韓共同の肝細胞癌に対するTACEの試験も、今のところは日本の症例数の方が韓国を上回っている。

  また症例登録が終了した試験については、国際学会を中心に多くの発表がすでになされている。残念ながら論文として結実するまでにはまだもう少し時間がかかるが、できるだけ真にインパクトの高い形での発表を目指して関係者が鋭意努力中である。

  ついでながら、肝内胆管癌に対するゲムシタビン動注療法の試験では、その有効性が否定された。これは目立たぬようであるが、重要な成果の一つである。多くの方は色々な学会で、「こういう癌に対してこういう治療をやってみました。そしたらお見せしたように、こんなに効いたのがありました。今後、さらに検討を進めていきたいと思います。」といった発表をいやほど見聞きされてきたと思う。座長も安易に「すばらしい結果ですね。さらに症例を積み重ねてまた報告してください」ということが稀でなかった。しかし、このようなかたちで症例を積み重ねていくことは、今では決してやってはならないことなのだということを、皆さんにはどうかわかっていただきたい。有効性が期待できる治療法である可能性があるのなら、きちんとしたプロトコールを作り、統計学的に必要な症例数を算出し、それらを公表した上で第三者機関の監視の下に行わなければ、それは真の前向き臨床試験ではないし、いくら結果が素晴らしくても腫瘍医には決して認められないのである。標準的治療の確立していない領域の個別の症例で、臨床医がそのベストと考える治療を患者さんの了解を得た上で施行することに問題があるわけでは決してない。ただ、「あの患者さんに効いたから、この患者さんにもやってみよう」といったことをいつまでも継続的に行ってはならないのである。長くなったが、「肝内胆管癌に対するゲムシタビン動注療法の有効性が、統計学的には否定された」ということの意味は、そういうことである。統計学的な結果と個別症例の結果は当然異なるが、臨床医は科学的に証明された事実を軽んじて「信念」だけで治療することがあってはならない。

 

 

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