NEWS 2007.9.20


第8回RFA談話会報告

北海道大学病院放射線科 作原祐介


 平成19年9月1日に、大阪市立大学医学部で開催されたRFA談話会に参加しました。当初は「肺RFA談話会」で始まったこの会、昨年は我々の北海道大学で開催され、この時から「RFA談話会」に名称を変更、肺以外の臓器に対するRFAにも対象を広げ、多種多様な演題が集まるようになりました。今回は一般演題が15題、企業発表が3題。予想通り(?)時間をオーバーして、白熱した討論が展開されました。以下、いくつかの演題について報告します。

 胸壁を巻き込む長径11cmの病変に対して、volume reductionを目的としたRFAを行った症例では、4cm展開針(LeVeen針)で、roll-offに至らなくても80W-10分×4回で治療を終了し、広範囲な凝固を得ていました。「LeVeen針はRF3000を使った場合、RF2000よりも凝固範囲が広いのでは…?」という印象を多くの方が持っている様です。理論的には変わらないはずですが、対極板の数に起因するのでは、という意見もありました。4cm展開針でroll-offになるまで治療すると、非常に長い時間がかかってしまいますし、palliativeな症例ではviableな病変が残っても許容されるので、必ずしもroll-offにこだわらなくても良いのかも知れません。

 多発性(10ヶ所以上!)の転移性肺腫瘍に対して凍結療法を行った症例では、数セッションに分割したとは言え、あの太い凍結用プローブを何回も…と思いましたが、良好な結果を得ていました。凍結療法は低温麻酔効果で疼痛が無く、RFAより大きな病変でも治療可能。胸膜や心外膜に接した病変に対しても、RFAより安全に施行できるのではないかと期待されます。温度分布の推定も、今後臨床に応用されれば非常に有用でしょう。気道閉塞下での熱伝導変化が話題になり、気道を閉塞すると凝固範囲が広くなるのは、空気による冷却効果より、血流の低下が大きく影響しているらしいというのは、とても興味深い話でした。

 類骨骨腫のRFA治療報告は、冷却併用の有無が話題になりました。冷却併用が優勢の様ですが、今後さらに検討が必要でしょう。大腿骨頸部の病変に対する治療では、骨折の危険が高く、欧州では禁忌とさえ言われている様ですが、外科手術もまた極めて困難な部位であり、RFAで安全に治療できる方法の模索が必要かも知れません。発表された症例では、X-pで硬化を確認するまで荷重しないようにしたとの事で、こうした工夫で適応を広げられれば、大きな前進でしょう。

 クッシング症候群を呈する副腎腺腫のRFAは、副腎の穿刺の工夫が非常に参考になりました。生検にも応用できるでしょう。治療中、血圧はすぐに200mmHg以上にもなるそうですが、ペルジピンを適宜使用し、無事に完遂できたそうです。

 直腸癌再発に対するRFAは、徐痛を目的としたpalliativeな治療の症例が中心。前述の様に、症状が緩和されれば良い訳で、「焼きすぎない事」も重要です。非常に有効で、今後積極的に取り入れたい治療法ですが、前述の様に、LeVeen針では予測よりも広い範囲が凝固される場合があり、小さめの展開針を選択したり、低出力にしたり、roll-offにこだわらないといった配慮が必要と思われます。排尿障害を生じてしまった報告もあり、慎重な判断が必要とされる事を痛感させられました。「仙骨神経叢は両側にあるので、半分残れば膀胱直腸障害は起きにくい」というのは知っておくべき点でしょう。

 余談ですが、今回筆者はこの機会を利用し、我々の施設が抱える難易度が高い(と思われた)症例ついて、治療適応の有無、技術的工夫などを経験豊かな諸先生方に伺う事にしました。Coffee breakの間に、PCを片手に症例を呈示すると「うーん…こういうのは、うちではあんまりやらないなあ…」というご意見や、「これはねえ…垂直に刺してもいいし平行に刺してもいいし…○○針で刺して、ちょっと××してみるとうまくいくと思いますよ。」というご意見もあれば、とある先生からは「あー、これ? こんなの簡単だよー。楽勝楽勝!」と、こちらがすっかり拍子抜けするようなご意見も頂きました(汗)。本当に“楽勝楽勝!”なのか…経験の浅い筆者には自信が持てませんが、経験豊かな先生方の間でもこれ程の意見の差があるというのは(しばしばある事ですが)興味深く、今回の大きな収穫(思い出?)の一つになりました。

 “Experience-Based Medicine”が、日々の臨床の現場では非常に重要である事は、疑いのない事実。こうした小・中規模の談話会では、経験豊かな諸先生方の貴重な経験談・感想がどんどん出てくるのが楽しみの一つです。まだ発展途上にあるとも言える治療法ですから、経験談の“価値”はとても大きなもの。Evidenceの確立は非常に重要ですが、それはExperienceがあってこそ、ではないでしょうか。
  JIVROSGでもRFAに関する臨床研究が始まり、今後も適応を拡大して数々の臨床研究が開始されることでしょう。Evidenceの確立に向け、必要な検討事項は数多い訳ですが、方法論の確立もその一つ。「○○病院ではどうやっているんだろう」と思いながら日々治療している方々、少なからずいらっしゃるのではないでしょうか? 数々の経験談を伺っていると、このRFA談話会にも“標準化”へのヒントが数多くある、と感じました。

 日々のRFA症例で困ったこと、疑問などお持ちの皆さん、是非RFA談話会へ参加してみましょう。明日から役に立つ、何かを持ち帰ることができるのでは、と思います。

 

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