日本血管造影・IVR学会 第16回中部地方会レポート
平成15年2月21日に名古屋市立大学で開催された日本血管造影・IVR学会第16回中部地方会に参加した。演題は23題と少なめで、討論もやや盛り上がりに欠けたのが残念である。
TRA(橈骨動脈アプローチ)による頭部血管造影のまとまった報告があった。95例中93例で完遂可能であり(高位分岐例で大腿動脈に変更)、合併症は局所の血腫の1例のみであった。TRAの普及は放射線科医の間でも、遅ればせながら少しずつ進んできたようである。
表面にマーカーをつけたガイドワイヤーの治験の報告があった。マーカーつきガイドワイヤーは、その先端がカテーテルの先から出るまでの長さをコントロールすることが容易なので、被曝量が低減するし、不用意にガイドワイヤーがカテーテルから盲目的に出るミスの予防に役立つし、計測にも使える。問題はコストだけである。
UAEの際の被曝量と膀胱の造影剤貯留の関係に関する動物実験の報告があった。膀胱に造影剤が貯留してくると、画質が低下するだけでなく、自動制御装置の働きで管電流が増加し、被曝量が20〜40%も増加するとのことであった。これはUAE術者にとって必ず知っておくべき重要な知識であろう。
経皮的椎体形成術で、脊椎管に腫瘍が露出している症例での治療成績が報告された。神経症状が出た症例もあるが、有効性は高かかった。高度に進行し、症状が強い患者さんが対象であるだけに、適応の拡大は福音である(勿論、慎重さは必須だが)。
その他、症例報告で面白かったのは、以下のようなものであった。
経皮的肺生検後に胸壁播種が生じたノカルディア症の1例はとても刺激的だった。一瞬、生検による癌の播種を考えてぞっとしたであろうと思う。
慢性解離性大動脈瘤に対するステントグラフト治療の際に、偽腔からの臓器血流がエントリー閉鎖で消失することによる虚血の防止目的で、経皮的開窓術を併用した症例。
総腸骨動脈が拡張している症例に対し、遠位端をフレア型に開かせたMKステントグラフトを挿入することで、内腸骨動脈を塞栓することなく血管内治療ができた症例。
クローン病による小腸出血をプレドニンの動注とバゾプレッシンの持続動注で治療し得た症例。
プレドニンの使用は潰瘍性大腸炎に準じたものであろうが、誰もそれが正しいのかどうか正確には答えられない。やはり全国レベルの症例登録システムの整備が望まれる。
IVRコンサルタンツ 林信成